ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

あなたも私も「やっちまうかも」

2024-04-03 08:16:30 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「悪の巣窟」3月27日
 『ハラスメント窓口 設置見送り』という見出しの記事が掲載されました。『茨城県議会の議会運営委員会で、ハラスメントの相談窓口を4月1日に設置すると今月19日に報告していた半村登議長が26日、一転して設置を見合わせると明らかにした』ことを報じる記事です。
 記事によると、『自民党のベテラン議員が反対を表明していた』とのことです。その理由は『議員は自制を持っている』『議員の威厳の問題。(茨城ではハラスメントを)誰もやっていない』ということのようです。
 すごいですね。驚きの感覚です。私は茨城県民ではないので何もできませんが、こういう人が議員でいること自体、県の恥です。次の選挙がいつなのか分かりませんが、是非落選させてほしいものです。
 それはさておき、実はこの議員と同じ発想の人は少なくないと思われます。自分たちは絶対に間違わない、間違うかもと思われること自体腹立たしい、という思い上がりに疑いをもたない人たちです。こういう発想の人は、人間を大きく2種類に分類しています。間違いを犯す愚かな「お前たち」と、そんな連中とは出来が違う高等な自分たちという分類です。
 ですから、他者から自分の間違いを指摘されると激昂します。「お前らのような下等な人種が、私のような高等人種に何を言う」という怒りです。この怒りが爆発すると、事の是非、事実の有無など関係なくなってしまいます。自分を批判したということだけがクローズアップされ、自分を被害者とし、相手を加害者として糾弾し続けるのです。
 実は、セクハラにしろ、パワハラにしろ、カスハラにしろ、あらゆるハラスメントをする人たちは、こうした自称高等人種なのです。自分がしたことはすべて正しいのですから、何の罪悪感もなくハラスメントをしまくるのです。
 ハラスメントをしない人はいません。これは絶対の真理です。違いがあるとすればその程度と頻度に差があるだけです。人間はハラスメントをする存在であるという苦い事実認識に基づいて対処法を構築しておくのが、現代人の知恵なのです。ですから、議員も、企業人も、公務員も、教員も、全てハラスメントという愚行をしてしまうという前提の下、相談窓口の設置は必須のことなのです。
 教員と議員には共通点があります。他人から「先生」と呼ばれることです。これは、教員もまた「自分はハラスメントなんかしない」「疑われること自体不快だ」というような意識に陥りやすいことを示唆しています。子供からの訴え、保護者からの訴え、同僚教員からの批判、それらに対し「自分はそんな人間ではない」と感情的に反発してしまう教員は少なくありません。
 学校は聖域ではありません。むしろ、悪の巣窟だというくらいの感覚で、個々の教員が油断なく自他の言動に目を光らせてやっと人権が守られるという意識でちょうどよいのです。それは、同僚教員を疑う卑しい行為ではなく、ハラスメント被害者も加害者も生まないための助け合い精神の発露なのです。ハラスメント相談窓口がない学校、まさかないでしょうね。

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