ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

正念場がくる

2023-01-30 08:09:37 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「禁止の実効性」1月25日
 『AI応答ソフトに1兆円 マイクロソフト投資へ 「思考力低下」利用禁止する学校も』という見出しの記事が掲載されました。『米新興企業「オープンAI」が開発した人工知能を使った自動応答ソフト「チャットGPT」』に関する記事です。
 記事によると、『対話のスムーズさが話題となり、インターネットの使い方を変える可能性が指摘される一方、思考力低下につながると利用を禁止する学校も現れた』ということです。『学生がリポートの作成などに使用する恐れがあるため』だそうです。
 授業や講義などの際に使用を禁止するのは、イメージが浮かびます。でも、教員の目の届かないところ、放課後や休日に自宅で、となればどのように禁止令の実効性を確保するのでしょうか。別のAIを使って照合すれば、「チャットGPT」を使ったか否かが分かるのでしょうか。でもそれならば、わざわざ禁止と言わなくても、使用したら減点とか、失格とかにすると宣言すれば済むことです。おそらく、将来はともかく、現時点ではそうしたソフトは開発されていないのでしょう。
 もっとも、仮にそうしたソフトが開発されたとしても、次にはそのソフトでも照合できないような高度な「チャットGPT改良版」っが開発され…、といういたちごっこが続くだけという気もします。
 つまり、学校は永遠に「チャットGPT」的なものの存在を前提に教育活動を進めていかなければならない時代になったということなのではないでしょうか。こうしたソフトが我が国に入ってくるのも時間の問題でしょう。ですから、今米国の学校が対応に苦慮していることは、明日の我が国の学校の問題でもあるのです。文科省や教委は、対応に動き始めているのでしょうか。
 記事には、ニューヨーク市教育局の担当者の『(チャットGPTは)批判的思考や問題解決のスキルを育てることはできない』という話が紹介されていました。もしそれが本当であるならば、学校は批判的思考や問題解決のスキルを育てる場となることによって、チャットGPT的なものに対抗できることになります。
 なんのことはありません。今、我が国で進められている、自ら問題を発見したり創造したりして、その問題について多面的に考え、仲間との意見交流を経て自分の考えを磨き上げ、その解を分かりやすく表現して提示する、という学習を深めていけばいいだけのことです。
 それができないというのであれば、今のような学校システムは、チャットGPT的なものに滅ぼされる時を迎えるのかもしれません。正念場です。
 

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