ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

組織の態をなしていない

2020-09-12 08:30:10 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「報告?」9月2日
 『「コロナ禍解消には戦争」 新潟燕市教育長が発言、謝罪』という見出しの記事が掲載されました。『新潟県燕市の遠藤浩教育長が8月下旬の定例教育委員会で、「コロナ禍を解消するには戦争」などと発言していたこと』が明らかになったと報じる記事です。
 発言の詳細やその後の弁解についても報じられていますが、そのことに触れるのは時間の無駄というものです。私が不思議に思ったのは、この発言が、「定例会での教育長報告」においてなされたということです。ここでいう定例教育委員会とは、教育長を含む5人の教育委員による会合のことだと推察されます。教育委員は、非常勤であり、その経歴も医師や弁護士、PTA会長など多岐にわたり、教育行政の経験者は含まれていないのが普通です。つまり、素人です。
 誤解のないように言っておきますが、私は教育委員が素人であることを非難しているのでも揶揄しているのでもありません。素人だからいいのです。長年、教育行政というある意味狭い世界で生きてきた玄人が気付かない、あるいは疑問を感じない事柄について、良識ある市民の代表として、見解を述べるところに存在意義があると考えるからです。
 しかし、全く何も知らずに発言するのでは、効率が悪いですし、本質的な議論に行き着く前に時間切れということにもなりかねません。そこで、教育委員会事務局、つまり玄人を代表して、教育長が議題について考え論じるにあたり必要な情報を提供するのが、教育長報告なのです。
 そして、学校教育だけでなく社会教育や生涯スポーツなど多くの分野について、いくら教育長と雖もその全てを正確に把握するのは難しいことから、所管課、つまり庶務課や学務課、指導課やスポーツ振興課、生涯学習課などがレジュメを作成するのです。教育長はそのレジュメを基に報告をするのです。
 私自身、事務局の幹部として教育委員会に出席したことがあります。その経験からすると、いわゆる「雑談」的な場面において、「不適切な発言」を耳にすることはありました。それはおそらく、官庁の他の会議や企業における諸会議においてもあることなのではないかと思います。ですから、今回の妄言が、そうした場面で発生したというのであれば、事の善悪とは別にそれほどは驚かないのです。ですが、報告の中で行われたというのが理解できないのです。戦争云々という言葉が記述されたレジュメを事務方が作成するはずがないのですから。また、教育長の発言について、平和教育等を推進している立場から「問題があります。訂正をしてください」という「耳打ち」はなかったのか、それも気になります。
 発言の詳しい状況を知りたいものです。特に事務方の関与と対応について。これは、教育長個人の資質という問題とは別に、教育委員会という組織の機能についての問題でもあるのです。

 

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