ゆきちゃん通信++日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日を
母親(tomi)の目を通してお伝えします。

ゆきちゃん通信 No8

2001年02月15日 | 新聞 ゆきちゃん通信
これは由紀子が一年生になったのをきっかけに
お世話になった方たちに郵送していた新聞です。
それを日記風にアップしました。
もともとの新聞としてPDFで見ることもできます。

2000年6月5日発行


ゆきちゃん通信No8

前号で落ちこんでしまった由紀子の様子をお伝えしました。

あれから二ヶ月が過ぎ由紀子はすっかり立ち直って、
またニコニコの笑顔で学校へ出かけて行くようになりました。

辛かった時期、学校の先生方が由紀子をしっかり支えてくださいました。

今回は由紀子が大好きな学校の先生方の特集をしてみようと思います。


※校長先生


毎朝校門の所に立って子ども達を迎えてくださる校長先生に、
由紀子は『おはようございます。』のご挨拶をするのが日課です。

ある朝、由紀子を送って行って
いつものように少し離れた所から見送っていると
校門の近くで由紀子の足が止まってしまいました。

校長先生がいないのです。

3分程そのまま立っていたでしょうか、
背中を押しに行こうかと思った時、
校長先生が出ていらしゃいました。

するとどうでしょう由紀子はニッコリ笑って走り出し
校長先生に抱きついて行きました。

その頃からです、
由紀子にとって校長先生は特別な方になりました。

毎朝のご挨拶はもちろんのこと、
昼間も校長室を覗いては校長先生の顔を見に行くようになりました。

教室が二階になって階段の上り下りが辛かったけれど
移動の途中に校長室があったお蔭で
これもクリアできたのでした。


※M原先生



保健室の先生です。
とてもやさしい先生で
いつも由紀子の事を気にかけてくださいます。

そしてM原先生と由紀子の間には二人だけの合言葉があります。

『ごきげんいかが?』…。

どこででも、先生の姿を見ると
ピューと走って行ってこの言葉をかけにいきます。

どんなに遠く離れていてもです。

例えば、放課後、校門を出ようとした時でも
保健室から外に出た先生の姿が見えたら…

もうダメです。

運動場を横切って一目散に走って先生の元へ…。

ハァハァ息を切らせながら
『ごきげんいかが?』。

先日も雨の中
傘を放り投げて運動場の真ん中を走って行きました。(笑)

きっといつもニコニコと返事をしてくださる
M原先生のやさしい笑顔がたまらなく好きなのでしょうね。


※K林先生


交流学級の担任の先生です。

前号でも、ご紹介しましたが由紀子はみどり先生と呼びます。

ベテランの先生で由紀子をゆったりと見てくださっています。

毎朝時間割を確認するのですが
音楽と生活科・体育の言葉が出ると
「みどりせんせいだぁ!」といいます。

細かな所に気を配ってくださる先生を親子共々頼りにしています。

時々黙って教室を抜け出して
先生をハラハラさせる事もありました。
申し訳ありません。



他にも由紀子にかかわってくださる先生方がたくさんいます。
紙面の都合でご紹介できないのが残念です。

これも担任のY田先生が毎日『えがお』と名づけられた通信で、
全部の先生に5 組の子ども達の様子を知らせてくださっているお蔭です。

去年の『えがお』の発行号数は180 号程もありました。



※先生が好き!


前号でツライお別れをお伝えした
O野先生と運動会の日に再会をしました。

この満面の笑みを見てください。

再会という事ををどうしても受け入れる事ができず
強烈なパニックを起こしてしまう由紀子が
ついにその壁を破ったのです。

でも、この笑顔の裏にはたくさんのお話があるのです……。

まずこの再会を果たせたのは、
ひとえにY田先生とO野先生の努力のお蔭なのです。

Y田先生はO野先生とお別れをしたその日から
毎日『運動会に、O野先生がくるよ!』と
言い続けてくださったのです。

まず『運動会=O野先生』が
由紀子の中にインプットされていきました。

そして、次は手紙です。

「ゆきこ」としか文字の書けない由紀子の手を取って
手紙を書かせてくれました。

その後、O野先生から返事がきた時の
由紀子の喜び方は大変なものでした。

書けなくても読む事はできる由紀子です。

何度も読み返しては
『運動会にO野先生がくるよ!』と繰り返していました。

さらに、次は電話です。

家から夜にO野先生の所に電話をさせるように指示をされて
最初は私が付き添ってかけさせたのですが、
『キャ~!』の一声をお伝えしただけで
終わってしまいました。

その翌日、
Y田先生は、O野先生と連絡を取って、
携帯を使い空き時間にもう一度
電話をかけさせてくれました。

そして、そこで二ヶ月ぶりにO野先生とお話が出来ました。

これだけの準備をして運動会のこの再会があったのです。

それでも、最初にO野先生を見た時は
顔は笑っていたものの身体は緊張して
どうしても側に寄る事ができませんでした。

先生が近づくと逃げ出してしまいます。

私はこのまま終わるのかと思ったのですが、
先生方はあきらめず何度も由紀子にチャンスを作ってくださり、

最初に会ってから3時間後にはこの写真の笑顔です。

由紀子の難しい世界の前に嘆くばかりで
努力をしなかった自分がはずかしいと思いました。

今回の事でお二人には
頑張れば由紀子の世界の扉をこじ開ける事ができることを
学ばせていただきました。

由紀子はまたO野先生と会えることを信じて
今から楽しみにしています。


=END=
コメント
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