1994年の今日(12月22日)は、女優・乙羽信子【本名 新藤(加治)信子=映画監督・進藤兼人夫人】の忌日。(1924年10月10日生まれ)
宝塚時代“おカジ”の愛称で呼ばれたお姫様スター。同期生に越路吹雪、月丘夢路などがいる。乙羽信子は、1950(昭和25)年“百万ドルのえくぼ”のキャッチフレーズで大映に入社。「処女峰」でデビュー。
翌1951(昭和26)年、後に夫となる新藤兼人の第1回監督作品「愛妻物語」に主演。この映画は進藤が戦争中に死別した妻との短い日々を描いた傑作で、乙羽は感動的な演技を示し、この作品が新藤との生涯の結びつきにもなった。その後、着実に力をつけ、大映の看板女優となった音羽信子は、新藤の脚本・監督による「原爆の子」に出演。原爆の後遺症に苦しむ広島市民の姿を熱演した。その後、そのまま進藤の主宰する独立プロ近代映画協会に移り、彼とともに歩むようになり、新藤作品のほとんどに出演。“100万ドルのえくぼ”とは、正反対のシリアスな役、汚れ役を演じ、演技派の実力第1の名女優になった。そして、1978(昭和53)年、長い恋愛生活の後に終生のコンビでもある新藤と正式に結婚した。
1994(平成6)年、夫・進藤兼人監督作品「午後の遺言状」(近代映画協会 )へ出演した。この作品は、女優で進藤兼人の愛妻でもあった乙羽の生涯最後の作品となった。彼女の余命が、1年半と医者に告げられた進藤監督は、女優として生きた乙羽の人生最後の時を、女優として生き抜いてほしいと願い撮影に入った。乙羽も監督の思いに賭けて、競演の杉村春子もそれと気づかないほど自然にこなし、無事完成した映画を観た数週間後の平成6年12月22日、70年の人生の幕を下ろした。この映画は、互いに尊敬を抱きながら人生のパートナーとして時を重ねてきた二人が、いかに、最後の時まで共に生きたかを描いたドキュメントである。この作品は女性客を集め大ヒット、映画賞を独占した。
新藤 兼人の「愛妻記」(岩波現代文庫)では、妻の肝臓がんの手術が終り,余命1年余と告げられたとき、夫は妻主演の映画を撮ろうと決意。人は老いをいかに生きるべきか、火花を散らす2人の老仕事師夫妻の凄絶な愛と慈しみを哀惜をこめて描いている本であり、そして、完成した映画が「午後の遺言状」である。本当の大人の愛というものは、こういうものを言うんだろうな~。今、若い人達が、愛・愛と言っている薄っぺらな愛に比べて 、どれだけ深い愛であろうか。
(画像は、映画「午後の遺言状」のチラシ)
参考:
CinemaScape-映画批評空間-
乙羽信子 Nobuko Otowa
http://cinema.intercritique.com/person.cgi?name=%B2%B5%B1%A9%BF%AE%BB%D2
1996年 第19回日本アカデミー賞
http://www.japan-academy-prize.jp/allprizes/1996/index.html
宝塚時代“おカジ”の愛称で呼ばれたお姫様スター。同期生に越路吹雪、月丘夢路などがいる。乙羽信子は、1950(昭和25)年“百万ドルのえくぼ”のキャッチフレーズで大映に入社。「処女峰」でデビュー。
翌1951(昭和26)年、後に夫となる新藤兼人の第1回監督作品「愛妻物語」に主演。この映画は進藤が戦争中に死別した妻との短い日々を描いた傑作で、乙羽は感動的な演技を示し、この作品が新藤との生涯の結びつきにもなった。その後、着実に力をつけ、大映の看板女優となった音羽信子は、新藤の脚本・監督による「原爆の子」に出演。原爆の後遺症に苦しむ広島市民の姿を熱演した。その後、そのまま進藤の主宰する独立プロ近代映画協会に移り、彼とともに歩むようになり、新藤作品のほとんどに出演。“100万ドルのえくぼ”とは、正反対のシリアスな役、汚れ役を演じ、演技派の実力第1の名女優になった。そして、1978(昭和53)年、長い恋愛生活の後に終生のコンビでもある新藤と正式に結婚した。
1994(平成6)年、夫・進藤兼人監督作品「午後の遺言状」(近代映画協会 )へ出演した。この作品は、女優で進藤兼人の愛妻でもあった乙羽の生涯最後の作品となった。彼女の余命が、1年半と医者に告げられた進藤監督は、女優として生きた乙羽の人生最後の時を、女優として生き抜いてほしいと願い撮影に入った。乙羽も監督の思いに賭けて、競演の杉村春子もそれと気づかないほど自然にこなし、無事完成した映画を観た数週間後の平成6年12月22日、70年の人生の幕を下ろした。この映画は、互いに尊敬を抱きながら人生のパートナーとして時を重ねてきた二人が、いかに、最後の時まで共に生きたかを描いたドキュメントである。この作品は女性客を集め大ヒット、映画賞を独占した。
新藤 兼人の「愛妻記」(岩波現代文庫)では、妻の肝臓がんの手術が終り,余命1年余と告げられたとき、夫は妻主演の映画を撮ろうと決意。人は老いをいかに生きるべきか、火花を散らす2人の老仕事師夫妻の凄絶な愛と慈しみを哀惜をこめて描いている本であり、そして、完成した映画が「午後の遺言状」である。本当の大人の愛というものは、こういうものを言うんだろうな~。今、若い人達が、愛・愛と言っている薄っぺらな愛に比べて 、どれだけ深い愛であろうか。
(画像は、映画「午後の遺言状」のチラシ)
参考:
CinemaScape-映画批評空間-
乙羽信子 Nobuko Otowa
http://cinema.intercritique.com/person.cgi?name=%B2%B5%B1%A9%BF%AE%BB%D2
1996年 第19回日本アカデミー賞
http://www.japan-academy-prize.jp/allprizes/1996/index.html