僕と猫のブルーズ

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ゴールデンスランバー

2010年12月13日 | 伊坂幸太郎
先週伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」文庫を購入。
土曜日に読了。今日2回目を読んでます。
日曜日、ケーブルテレビで映画版を放映。録画して昨晩見ました。


粗筋はこんな感じ。仙台市内で新総理金田のパレードが開催。
主人公青柳は大学時代の友人森田と再会。彼曰く「お前はオズワルドにされる、逃げろ!」
総理は爆殺。青柳は総理殺人犯として追われる。身に憶えの無い罪。ワケが分からない。
でも犯人が青柳を示す証拠が次から現れる。
警察は青柳の言い分など耳を貸さず追跡する。予告も無しに発砲。
青柳をかばおうとする後輩に暴力を振るう。有り得ない状況。
マスコミも青柳を守ってくれない。特ダネ欲しさに青柳を追い回すだけ。
このままでは何れつかまる。追詰められた青柳が取った行動は。


大きな権力が個人に対して牙を剥く。無力な個人に何が出来るか?
「魔王」「グラスホッパー」と同じテーマ。個人が大きな力に対して何が出来る?
しかも今回の主人公はいつもと違い「特殊な能力」は無い。しかも権力と闘わない。
無手無力、ひたすら逃げるのみ。
最初緊張感溢れるサスペンスとして読んでましたが、読み進むにつれ笑ってきました。
おかしな連続通り魔が登場したり、マンホール・花火。なんじゃこれ有り得ねぇ!
ひたすら広がる大風呂敷。なのにオフビートなセンスは相変わらず。
いや、むしろ磨きが掛かってる。サイコー!V(^^)

現代の逃走シーンと大学時代の回想が繰返し重なります。ビートルズの名曲に乗って。
この大学時代の回想シーンが凄くイイ。目の前の事しか考えなくてひたすら純粋でバカで。
だからこそ、青柳は昔の仲間から「信頼」を得たのでしょう。
大学時代の友人、前の職場の同僚は青柳の無実を信じます。彼が犯人なんて有り得ないと。
みんな一生懸命青柳を信じて助けようとします。その友情にはジーン。
青柳も「習慣と信頼」を武器に大きな権力に対し反撃を開始します。
個人の力なんてタカが知れてる。でも諦めるのはイヤだ。
何よりこれ以上自分のために周りを傷つけたくない。
そして最後に彼に残された手段は・・・・・。

映画版も秀逸な出来。伊坂さんの作品を過去2度映画化した中村義洋さんが監督。
とても疾走感溢れる作品として仕上がってます。
堺雅人は気弱な普通の青年を演じきってるし竹内結子、劇団ひとりもピッタリ。
でも何よりもキルオ役の濱田岳、佐々木役の香川照之の怪演が素晴らしい。
ホントキモチよく視れた。

この小説と映画が描いてるのはは国家権力・マスコミが個人を潰そうとする怖さ。
監視社会の恐ろしさ。メディアの流すニュースを無邪気に信じる民衆の愚かさ。

若しオレがこの小説の登場人物の立場になったらどうするだろう?
多分警察やニュースの流す犯人像を簡単に信じるだろう。
そこにウソがあるなんて露とも疑わないだろう。
ただ、若し自分の家族や友人に濡れ衣が掛かったら・・・絶対無実を信じる。
国家やマスコミよりも家族や友人の方が信じるに値する。
国やマスコミのことは知らないが家族や友人のことはよく「知っている」から。

そしてオレ自身が犯人に仕立て上げられたら・・どうする?
少なくとも易々とつかまってあげない。絶対逃げる。
国やマスコミなんぞの思いどおりになるのは真っ平ゴメンだ。
オマエ等の生贄には成らないぞ。オレはオレだ。絶対逃げ切ってやる。

そのとき、皆はオレのことを信じてくれるだろうか?
会社のヒトたち・・・さっさと切り捨てるだろうな。(^_^;
家族・友人はどうだろう?

で、嫁に「オレに濡れ衣が掛かっても最後まで信じてくれよ」と言うと
嫁は「あぁ~さっさと警察に突出す。あいつならやりかねないと言って」と
のたまいました!!\(T▽T)/

まぁどうしても逃げられないときは・・・・最後の手段に出るしかない。
その場合は青柳クンと同じ手段を取ります。で追っ手の目を晦まします。
そうしたら、嫁とヨモギの側にはずーっといられるから、ね。(^_^;

青柳クンが最後に何をしたか?ぜひ読んでください。みてください。
「個人」に残された最後の「武器」。「個人」が出来る最後の「反撃」。
ラストシーン・・・ボクはサイコーにシビれました。

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