僕と猫のブルーズ

好きな音楽、猫話(笑)、他日々感じた徒然を綴ってます。
コメント欄はモラルを守った上で御自由に書込みどうぞ。

七尾旅人ワンマンライブ歌の大事故スペシャル〜解散総選挙〜

2014年09月28日 | 七尾旅人
昨日は日本青年館に七尾旅人のライブを見に行ってきました。
元春の「ソングライターズ」出演が切っ掛けで彼の表現に興味を持った。
前衛でアートでポップ。作品ごとに表現が変わる幅の広さ。
独特の世界観、表現に惹かれ何度かライブに行った。
昨年見た渋谷ワンマンは矢鱈トークが長く進行もグダグダ。
でも、七尾クンから放たれる熱量がハンパ無くオモシロかった。

今回はなぜか「解散総選挙」と銘打ったライブ。ソロなのに「解散」???
日本青年館は初めて。客は若い女性が多い。
イベントで共演した小林幸子から花が届いてた。


ライブは基本七尾クンの弾き語り。曲の終わりもハッキリせず。トークも長い。
「をいをい、もうちょっとまとめろよ」とツッコミたくなる。
でも、ともかく声とメロディが素晴らしい。
あの表現の凄さの前には「ライブ進行の完成度」なんぞどうでも良くなる。
「完成度」は大事だが、その外にも大切なことはある筈だ。
若いお客さんは心得たもので彼の歌を楽しんでいた。
手拍子だの総立ちだのは無かったが彼の歌をジッと聴き大きな拍手で応えていた。

総決算といいつつ旧い曲は殆どやらず。未発表の新曲ばかり。
「サーカスナイト」「湘南が遠くなってゆく」のヒット曲も早目にやった。
原爆・原発に翻弄される家族を歌った「ぼくらのひかり」は鳥肌が立った。
サポート石橋英子との即興パンクセッションも凄かった。

後半はヒットした「Rollin Rollin」(やけのはら参加!)で盛り上がり客も歌う。
新曲だけど、客とのコール&レスポンスが延々続いた「HAPPY TALK」でクライマックス。

七尾クン、ここでようやく「解散」について赤裸々に話す。
「音楽業界への絶望、自分のやってる音楽が伝わっていない事への失望」等を話していた。
痛々しかった。
アーティストがステージでこういった内輪の愚痴話を客に話すのは如何か?という意見もあろう。
でも、生身の人間を感じてオレは・・・良かったと思う。

ラスト2曲(新曲)は素晴らしい歌だった。
「鼻歌ラジオ」の中で歌われていた「誰も知らない」・・・
障碍・差別・誰にも分らない・・・といった歌詞・・・・簡素なメロディがズンと響いた。
オーラス「Farewell Kid」・・・尽き得ぬ音楽への愛情を真摯に歌う。
七尾クンは歌いながら、マイクで自分の体やアタマを叩き、何度も叫ぶ。
何とも悲しい・・でも一方で力に溢れた叫びだった。
最後、「ありがとう」と呟きマイクを床に置いて去って行った。
客席は熱い拍手で見送った。
そして、石橋さんの描いた美しいピアノで幕は閉じた。素晴らしい音像だった。

何とも凄まじいライブだった。いや、あれはライブだったのか?
演劇を見たような、或いは独りのアーティストのドキュメンタリーを見たような気分だ。

彼の言う「解散」の意味は今1つ分からない。
来月も大阪でライブを予定しているし音楽活動は止めないと思う。
(客席も「また言ってるよ」みたいにクスクス笑ってたし^^;)
ただ、彼が色んな絶望を抱えていることは分かった。
このまま続けるのがツラいなら「休む」のは全然有りだと思う。

でも、あれだけの歌が歌えるんだ。あれだけの表現ができるんだ。
こんな熱量を持ったシンガー他にはいない。
どんな形でもイイから歌い続けてほしい。やめないでほしい。
名前を変えても整形しても性転換してでもイイからまた聴きたい。

今朝は何か不調。七尾クンの叫びが耳に残って離れない。
今夜は川崎で元春&コヨーテバンドのツアー初日に参加。
七尾クンの歌に悪酔いした後で元春の歌がどう響くか不安もあり(^^;
でも、「前衛、アートなロック」の元祖は元春だ。
心配ないさ。
コヨーテの吼え声、たっぷり味わってきますV(^^)


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高野寛「TRIO」インストアライブ@渋谷タワレコ

2014年09月21日 | オトの記憶(CD、ライブ)
週末の仕事はバタバタ。
上手く行ったのもあれば、一生懸命やったのに好き勝手な批判を浴びて凹む。
正直「やってられねーな」と思うが、仕事なんてそんなモンだ。落込むだけアホらしい。

金曜日の夜は渋谷タワレコに高野寛のインストアライブを見に行く。
ニューアルバム「TRIO」発売に伴うイベント。
ホントは整理券持ってなかったが或る友人のお蔭で入手。Thanks☆


(セットリスト)
1.See You Again(RIO Ver)、2.Dog Year, Good Year、3.エーテルダンス、
4.グリーンダカラの歌、5.虹の都へ、6.べステンダンク、7.(それは)MUSIC、
8.確かな光(RIO Ver)

ライブは高野クンの弾語り。大勢の人が集まってた。女性が多い。
高野クンは過去何度かライブは見たけど、こんなに間近で見たのは初めて。
ルックス全然変わんないが少し老けた?枯れた感もあるが、それは同時に「味」でもある。
ヒット曲満載の内容にはビックリ。ギター巧い!声もあの爽やかさと伸びを失ってない。
「グリーンDAKALA」は大盛上り笑
ライブスペースの横に有った星野源が書いた「イカだいおう」のイラストをネタに笑いを取る。
個人的には「エーテルダンス」は大好きなので嬉しかった。ラストの「確かな光」も良かった。

ライブの後はサイン会。アーティストを前にするとロクなことを言えない自分。
やめようか?とも思ったが折角なので参加。
高野クンを通じてYMOやトッド・ラングレン、ムーンライダーズを辿って自分の聴く
音楽の幅が広がった事についてお礼を言った。やっぱりシッチャかメッチャかだったが(^^;
高野クンは笑いながら握手してくれた。


高野クンの曲を聴くと何故か「懐かしい」と思う。それ程熱心に聴いてない曲でもそう感じる。
オレは音楽に「想い出」だの「ノスタルジー」は求めないが高野クンの曲にはミョーな「郷愁」を憶える。
それが不思議だった。でも、昨日分かった。自分は彼に影響を受けていたのだ。
彼が好きなYMO、トッド、ライダーズを聴いたり彼と同時期に出てきた
遊佐未森やTheBoomや鈴木祥子にハマったり。今カーネーションにハマってるのもその流れだろう。
ある時期の自分の音楽的嗜好は彼の影響を強く受けている。いや決定づけたと言ってもイイ。
自分が好きなのは、惹かれるのは「ひねくれポップ、一風変わったロック」それだった。

自分の音楽ルーツに大きな影響を与えたアーティスト。だから彼の作品に「懐かしさ」を感じるんだろう。
同時に同い年の彼が時代と格闘し時に逡巡しながらも真っ直ぐさを失わない事に励まされるんだろう。
仕事のモヤモヤは彼の音楽に触れたとき、サッパリと消えていた。

週末のお休みは嫁@パンダとエスニック料理を食べたり、家具を見に行って楽しく過ごした。
ヨモちゃんは嫁@パンダにデレデレ。相当ダメな顔になってます(T▽T)

来月、高野クンのライブを見に行く。本格的ソロライブを見るのは実に4年ぶり。
「同い年」のアーティストの現在(いま)の立っている場所をしかと見届けたい

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てつがくカフェ@せんだい×TOKYO

2014年09月14日 | 東北のためできること
3連休。土曜日は都内であった震災関連のイベントに参加した。
「てつがくカフェ@せんだい×TOKYO」
http://tetsugaku.masa-mune.jp/

311を切っ掛けに仙台で始まった所謂「語り場カフェ」。
実はこのイベントの存在はずっと前からチェックしていた。
「311」について誰かと話したいキモチがあって、「語る場」が無いか
チェックしていたらこのイベントを見つけたが・・生憎仙台のみの開催。
でも今年から東京でも開催。良い機会だと思い参加しました。

会場は練成公園の中にある千代田アートギャラリー。
地下鉄を出た後、迷って(^^:・・かなり遠回りして到着。


主宰者スタッフは5人程度。東京の人、埼玉の人、仙台から来てる人も居る。
参加者は10人程度。若いヒトが多い。
ファシリテーターは主宰者の女性。終始穏やかに進行してくれたので緊張せず話せた。

今回のテーマは「震災を語る資格?」。重いタイトルだ。
先ず今回のテーマ「震災を語る資格?」について参加者が意見を自由に話す。
次にそこからキーワードを拾い、最後に1つ問いを決めて焦点をあてて話し合うという進行。
以下、備忘録を兼ねて各自の意見や思った事を列記します。


1.震災を語る資格
 ①東京に住んでて大した被害を受けてない自分に「語る資格」があるか
  ②東北に何度も行って色々見たが「語る自信」が未だ無い。
  何かを語ったとしても「それって真実か?」ともどかしさを感じる。
 ③誰に何を語るのか?
 ④語る「資格」は誰にでもある。感じたことは誰でも語れる。問題は「共有」できるか?
 ⑤「伝える」と「語る」は違う。「伝える」は事実を伝えること。
  「語る」は自分の感想や想いを表現すること。

2.キーワード
  ①「語る」とは何?言葉で伝える。意志を込める。キモチを込める。
 ②語る主体は「個人」。客観性は無くても良い。
 ③実際に知っていること、見たことでないと語れない。
  では「経験していない」と語る資格は無いのか?
 ④時間、空間、距離感

3.問い
  ①語ることで共感できるか?何を語るのか?何を以て語るのか?
 ②語ることで何を埋めたいのか?語ることのゴールは何か?
 ③なぜ震災を語る資格が問われるのか?
 →「③」をセッションテーマに決める。

4.なぜ震災を語る資格が問われるのか?
 ①他県から来た人で「阪神大震災を経験してる」とか
  「ボランティア何回も来てる」を言う人がいるけど「だから何なの?」と思う。
 ②①は「共感したい」という意志表明ではないか?
 ③「同じような経験をしてる」「現地に行ってる」を話すのは「怖い」から。
   第三者が当事者に話すときどう話してよいのか不安がある。
  だから「コミュニケーションの糸口」を模索する。
 ④東京に住んでいても311で喪ったものがある。
  他者に語ることで「311で喪った自分のアイデンティティ」を取り戻したい。
 ⑤ゴールは矢張り他者との「共感」だと思う。


議論は白熱したが残念ながら時間切れ。
参加者は積極的に意見を出してたし相手の意見を否定しない。
ファシリテーターは進行を急がず、仙台スタッフの議論を波立たせる(笑)
ツッコミもオモシロかった。
今日の一連の流れ、何となく元春の「ソングライターズ」を思い出した。
あれも元春がファシリテーターとなって参加者が自由に伸び伸びと意見交換ができた。
今日もそう、ファシリテーターが沈黙を怖がらずゆっくりと進めてくれたおかげで
キモチよく話せた。
若い参加者も臆すること無く堂々と意見を述べていて好感が持てた。

一旦議論が終わった後、残ったメンバーでフリートーク。
「311を切っ掛けに失恋した」「それも被害では?」
「経験したことしか話せないならボク等は戦争についても話せなくなる」
「経験=すべてならアーティストは何も歌えない」等々、色々話した。

ボクは幸い音楽友達と311について色々話す機会を持てている。
でもほかの参加者は日常生活の中でそれほど話す機会は無いのだろう。
皆さん、葛藤や逡巡を抱えながらも「自分の想いを語ろう」としていた。
それが素晴らしかった。
ボク自身は「語る資格が自分にあるか?」はワカンナイ。
東北には何度も行っている、色んな場所の被災状況は見てる。でも、だから何だ?
被災した方の本当の痛みを分かっているか?なんて言い切れない。
いや・・・多分分かってないんだろう。
でも、行って見て・・・こういうネット上でその体験を書き綴る。それはやめない。
黙っていたって何も変わらない。間違えようが勘違いしていようが、まずは語ること。
自分がこの眼で見てきたことを書き記すこと。そこから何かが始まるはずだ。
そう信じたい。

刺激的な時間だった。次回は11月開催。タイミングが合えば是非参加したい。

お休みの間、ヨモちゃんは矢鱈甘えっこ♪
嫁@パンダはウチにいるのがウレシイのか嫁にベッタリ(T▽T)
明日からまた仕事。「話したくない人」だらけだけど諦めて必要なだけは話します。(゚゜)\バキ☆



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リ・スタート~仙台荒浜ボランティアレポ

2014年09月08日 | 東北のためできること

週末、仙台荒浜にボランティアに行ってきました。
7月の日記で「暫く東北には行かない」と書いた舌の根が乾かぬうちにもう行きました(^_^;
スンマセン、オレは平気でウソをつく男です。(゚゜)\バキ☆

7月に行った荒浜、南相馬、福島で圧倒的な「無力」を感じた。
311以外でも色んな「無力感」に苛まされてた。
でも、もともと自分が「無力だ」なんて分かってたこと。
「無力だからって何もしない」それはイヤだ、腹が立つ、ムカつく。
全てはそこから始めたんじゃなかったのか?

今回、現地主宰者から「ひまわりプロジェクト」に誘われたので良い機会と飛びついた。
いつも通り深夜バスで仙台に入る。仙台の朝の空気は澄んでいる。空もキレイ。

バスで海岸部に向かう。いつも通り深沼海岸を見学。
海岸に向かう途中、学生ボランティアRe-Rootsのメンバーが作業をしていて声を掛けられた。
あ、チャンとオレの名前覚えてくれてるんだ。それが嬉しかった。
まぁ荒浜には10回近く来てるし、体型も目立つしね(^_^;

深沼公園は防災公園として利用するそう。工事が進んでる。
あちこちにRe-Rootsが植えたヒマワリが咲いている。
慰霊碑にお参りした後、色々歩いてみる。荒れた土地もだいぶキレイになった。
でも、此処にはもう人は住めない。それを考えると胸が痛くなる。

Re-Rootsに向かう。多くの人が集まっている。顔見知りもいる。
今日行う作業はヒマワリの種の収穫。再度海岸地区に向かう。

20人ほどで作業。ヒマワリの花を刈り取り種をこそぎ取る。
かなり暑い。今日の最高気温は30度。
ヒマワリの花、結構重い。種を取るのもちょっとした作業。
でも大勢で和気藹々とお喋りしながらの作業は楽しい。
何より、こんなに沢山のヒマワリを触ったのは生まれて初めて。貴重な体験をした。

午後まで作業して終了。
その後はRe-Rootsが行ってる「野菜の移動販売~くるまーと」を見学。
Re-Rootsでは被災した農家さんが再び作付に入るのをサポートしてる。
更には出来た農作物の販売をしている。
その一環として自分で車を改造し海岸周辺の地区で売っている。
この辺りは大きなスーパーマーケットは無いしお年寄りも多い。
よって「遠くまで行けない人」にとっては移動販売は大助かりなのだ。

大勢の人が野菜を買いに来ていて賑わっている。売っているのは皆大学生。
そのうちの一人は「くるまーと」のテーマソングを自分で作ったとの事。
聴かせてもらったけどかなりレベル高い!PV作ってYouTubeにUPしてほしい!
オレも折角なのでヒマワリの種からとれた「なたね油」を購入しました。

ここでRe-Rootsとはお別れ。知り合いに駅まで送ってもらった。
道中、2人で「Re-Roots凄いね」と話す。
知り合いと別れた後も、今日「見たこと」を振り返った。

農業の体験が無い学生が地元の農業の復興に携わり荒れた土地を復旧し
作付け出来るまでの段階に持っていく。更には販売まで行ってる。
東北の若者の実行力、発想力には只々感服する。
簡単に書いてるけど、これって凄い事なのだ。
東北の「底力」、しかと見せて貰った。

「支援」なんてとんでもない。彼らは自分(テメエ)の力で何とかしてる。
自分でチャンと「おとしまえ」をつけている。

もう「支援」とかじゃない。Re-Rootsが何処まで行くのか見たい。
これからも機会があれば「ボランティア」は参加するけど、むしろ
Re-Rootsが企画するイベントに参加するって形が増えていくんだろう。
イヤ、それは良いことだ。3年半経ってようやく次の段階(復興)に進んだんだ。
勿論、未解決の問題は山ほどある。でも彼らならそれも乗り越えていけるだろう。
その段階でオレにもお手伝い出来ることがあれば当然行く。

オレは彼らの未来(おとしまえ)を今後も見ていきたい。
そして、別の場所(南相馬、閖上)にもまた行こう。
「無力感」を感じて止まっている場合じゃない。
「無力感」があるのは当然なのだ。
だから行くのだ。東北へ。もう、それでイイじゃないか。

帰宅したらヨモちゃんが甘えてきてくれた。ヨシヨシ、イイ子、イイ子(T▽T)
昨日は筋肉痛で寝込んでました。今日は会社はお休み。(゚゜)\バキ☆

ヨモちゃん、行って良かったよ。
これでまた始められそうだ。オレの偽善(おとしまえ)を。また行くぜ。必ず、な☆


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奥田英朗「オリンピックの身代金」

2014年09月04日 | Art・本・映画
ボクは1964年生まれ。丁度東京オリンピックが開催された年に生まれた。
嫁が東京オリンピックを題材としていた本を持っていたので借りて
読んだ。作者の奥田英朗は1959年生まれとボクに年齢が近い。
「空中ブランコ」等、どちらというとコミカルな作品が印象に残ってる。
でも、「オリンピックの身代金」は終始シリアスなハードな作品だった。

奥田英朗「オリンピックの身代金」
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200811-02/
昭和39年 東京オリンピック。
東大大学院生の島崎国夫は、急死した兄に代わって土木工事の孫請け
会社でアルバイトを始める。
現場の建設会社では大企業による下請けイジメ、作業員同士のいがみ合い、恐喝。
労働者に対する搾取、華やかな東京と自分の生まれ故郷の秋田のあまりの落差、
兄がヒロポンの過剰摂取で死んだこと、一方でそんな暗いニュースに見向きもせず
「全国民一丸となって外国に恥ずかしくないオリンピックをしよう」
という美辞麗句の元に盛上る社会に違和感と怒りを感じる。
国男は「平等な社会を実現するために資金を得る」ためオリンピックの
設備爆破の脅迫文を警察に送りつけ、身代金を要求する。


クライムサスペンスとしても面白く読めたが、寧ろ綿密な社会描写に
感銘を受けた。奥田さんは当時の社会事情を徹底的に取材し得た情報を
ストーリーに反映した。
物語自体はフィクションだが背景にあるものはノンフィクションなのだ。

東京と地方の格差、建設現場の多重構造、労働者の報酬の中抜き、
都合の悪いニュースを隠す政治、イベントに浮かれる東京。
これって現代でもそんなに変って無いんじゃないか?
昨年、東京オリンピック招致決定に盛り上がった国内の浮かれよう
を想い出すと・・・この本で書かれた事は「遠い過去のことじゃない」
と思わざるを得ない。

国男のキャラが本当に魅力的。マジメで純粋。
彼のやってることは犯罪だがその動機はある意味「正義感」から来ている。
知らず知らずに彼を応援している自分がいた。
国家に独りで闘いを挑んだその勇気を讃えたい。
それと彼を助ける同郷の老スリ留吉のキャラが秀逸。
国男との関係が実の親子みたいで読んでて心が温かくなった。

留吉が巨大なオリンピック施設を見て国男こんなことを言う。
「東京と東北は似たような名前なのに何でこんなに違うんだ?」
「だから、やるんです。だから、オリンピックを妨害するんです」
読んでて胸を撃たれた。

ボクは京都出身だが東京で働く様になって20年になる。
千葉に住み、嫁と結婚した後、埼玉、荒川区に住んでいる。
荒川は下町で旧い文化や商店街もチャンと残っていて好きな街だ。
ボクはここを終(つい)の棲家にする積りだ。

でも、旧い豊かな文化が残っているのも矢張り「東京」ならでは。
東京も不景気や貧困はあるが、それでも地方よりはマシ。
地方は疲弊している。シャッター商店街だらけ。
311のため姿を変えた東北の街。未だ明るい未来は描けていない。
東京は問題は山積みだが夢や希望に溢れてる。。やはり「独り勝ち」してる。

東京は毎日の様に色んなイベントが起こっている。
新しい店がどんどん出来て、ライブ、展覧会、映画、スポーツイベント、
丸で毎日が「祭り」の様だ。
そして、数年経てば店が入れ替わり別の風景になってる。旧い景色が消える。
こんなにしょっちゅう変わる街も珍しいのでは?
「東京」・・・これ以上どこに行く気だ?

もう、いいじゃん。この辺で留まろうぜ。
新しいイベントスペース、ショッピングモール、ブランドショップ?
要らない。前のままでイイじゃん。昔の店で何か問題か?
2020年に東京オリンピック?要らない。
オリンピックやらなくても毎日色んなイベントやってるじゃん。
そんなにあれこれ欲しがるなよ。1つ位ガマンしようぜ。

オリンピックで夢や希望を見せるのも大切。
でも、現在は夢や希望を持てない人が大勢いるんだ。応援するなら先ずはそっちだろう?
日本全体にゆとりが出来たらそのときこそオリンピックを呼べばいい。

勿論、出場する選手の活躍は祈るし競技そのものは純粋に楽しもう、と思う。
でも、「東京でオリンピックを開催する」というコンセプトにはずっと反対する。

国男は最終的には失敗する。残念。でもキミの意志はオレが継ごう。
オレは爆破はしないけど(笑)オリンピックには逆らい続けるぜ。
なんたって「非国民」ですからV(^^)

読み応えがあった。
そして・・・この時代を舞台とした小説をもっと読みたくなった。
読みかけで頓挫した赤坂真理「東京プリズン」もう1度読もう。
川本三郎「マイバックページ」も読んでみたい。

自分が生まれた「戦後」「昭和」に何があったのか?
あの時代に何があって、現代(いま)がこうなってしまったのか?
知りたい・・・いや、知らなくちゃいけない、そう思う。


週末、また東北に行く。チャンと見届けてこよう


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