話題の映画「花束みたいな恋をした」。興行収入1位の大ヒット。
基本、ヒット映画は見ない(笑)、恋愛映画も見ない(笑)ボクですが
大好きな坂元裕二の脚本ということで先週23日の祝日に観てきました。
上野TOHOシネマの午後の回で見たけど、ほぼ満員。
客層は若い男女カップルだけで無く男同士、女性同士、年配の夫婦と幅広い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/f5/a7cfaa81300fe7e05def30fb12863adb.jpg)
趣味が似通った若い男女が出会ってから別れるまでの5年間を描いた映画。
ストーリーは公式HPをどうぞ(笑)
https://hana-koi.jp/
で以下映画の感想を。
見終わってから何度もこの映画の感想を書くことにトライしたけど上手くいかない(^^;
オモシロかったし凄く楽しめたのに・・・何故だろう?
で、長年坂元裕二が手掛けるドラマを見てきたファンの視点で感想を書きます(^^;
上にも書いたが、この映画凄く楽しめた。
軽やかに始まり、軽やかに終わった。オチにも笑ったし終わった瞬間拍手した。
中盤、主人公2人の間にズレが生じてからはヘヴィーな場面もあったけど、
嘗てみた坂元裕二のドラマに比べれば引きずるような重さは無く、
爽やかな気分で映画館を出た。
で気づいた。こんな軽い爽やかな気持ちで見た坂元裕二の作品って嘗てあったろうか?
ボクが坂元作品にハマったのはフジ2007年ドラマ「わたしたちの教科書」以来。
それ以来「Mother」「それでも、生きてゆく」「Woman」「問題のあるレストラン」
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「カルテット」「anone」
「Living」「スィッチ」と殆どのドラマは見ている(「最高の離婚」は見てない(笑))。
坂元さんのドラマは、どれも違う立場にいる人物が話しながら、ぶつかり合い、
お互いを理解していく・・・。大雑把にまとめれば、そこが見どころだと思う。
その中で独特のセリフ使い、モチーフとなるような小道具、途中でのどんでん返し。
観る側は、それぞれの人物に感情移入し、その言動に振り回されニヤニヤし泣き・・
途中はヘヴィーな展開があっても、ラスト明確な解決が無くても、
「ま、イイや」と幸福な気持ちでドラマを見終える。
でも、今回見た「花束みたいな恋をした」は過去の作品と異質だった。
いや、この映画も独特のセリフ坂元節は健在だし他のドラマ同様、色んな仕掛けがある。
2020年麦と絹が同じレストランにいるシーンが、2人の出会いかと思ったら
実は2人はもう別れていて、ここから5年前に遡る。。という展開には
「やられた!」と思った(T▽T)
そこからの怒涛のモノローグ、2人のサブカル会話にも一々笑った。
前半の2人が海岸でイチャイチャしてる背景に「死と恋の終わり」を
語る絹のモノローグを被せるシーンには「流石坂元裕二!」と膝を打った。
イラストレーターとして全然食べていけない麦の焦燥や
職場で同僚から少し仲間外れの絹の様子も坂元裕二らしさを感じた。
一方で、前半の2人の恋模様をキラキラしたトーンで描く展開に違和感があった。
過去、坂元裕二が描く恋愛はこんなキラキラしてなかった。
「いつかこの恋を‥」も「anone」もヒリヒリしててくすんでた。
対して麦と絹の恋の始まりには、そういう痛さやヒリヒリ感が全くない。
好きなことについて話して、好きなことをして・・・凄くキラキラしてる。
あれ?坂元裕二が描く恋ってこんなんだったっけ?
楽しく見つつも・・どこか違和感があって正直入り込めなかった
(それはキラキラした青春が無く恋愛経験が乏しいボクの感じ方の問題化も^^;)
だから、麦が就職してから絹とズレが生じる中盤からのシーンに入り込めた。
好きなことを仕事にしたい、仕事を楽しみたいという絹に対し
仕事は責任、生きる手段、稼ぐためなら何でもするという麦。
このシーンは刺さった。痛かった。
前半のHappyさとは対照的に生活というリアルをチャンと描くのは流石だと唸った。
一方で、麦と絹はそれ以上はお互いに真剣にぶつかろうとはしない。
それぞれの世界で生き、お互いを労わるも思いやるもない。
互いの欠点を声高に非難するシーンも無い。
無言のまま、お互いの埋められない裂け目を想いつつ・・・別れに向かう。
スンナリ別れに向かう展開に、もっと葛藤があっても良いんじゃないかと思った。
坂元裕二らしくないとも思った(面倒くさいファン ^^;)。
坂元さんのドラマには、いつも感情のぶつかり合いや葛藤があった。
或いは、コトバにならない感情をやっと絞り出すみたいなシーンが必ずあった。
でも、この2人の別れはそうはならない。ドロドロ展開は無くキレイに別れる。
最後、別れを決めたレストランのシーンでは別れたくない麦と別れたい絹の
ぶつかり合いがあったが・・・それでもキレイすぎる。
でも・・・でも・・・別席の嘗ての自分たちに似た若い2人の恋のはじまりと
麦と絹の別れを決める光景を対比して描くシーンは素晴らしかった。
こんな別れの描き方があるのか!と感嘆した!
(ホメてんのか落としたいのか、どっちやねん(゚゜)\バキ☆)
別れを決めた後も絹の引っ越し先を探すのに時間が掛かること、
飼い猫をどっちが引き取るかを決める。
一緒に棲んでる2人が別れるって結構大変なのだ。手続きが色々あるのだ。
恋愛がリアルな日常生活の上に成り立ってることをチャンと描いてる。
恋は夢物語じゃないのだ。現実なのだ。そこを描く坂元裕二凄い!
そして2人が別れて2020年の最初のシーンに戻る。
2人とも横に現在の恋人がいる。
お互い知らんぷり。会話もしない。ましてや、また恋をはじめようとしない。
さりげなくバイバイする。そして最後の最後のオチ。
ここ、ホント笑った。素晴らしい終わり方だった。拍手した。
坂元裕二らしくないといいつつ・・・結局大絶賛で終わってますね(^^;
いや、麦と絹の周囲の人物について深く描写していない。
麦と絹と周囲の人物の係りが表面的で全然深くない。
過去あれだけ群像劇を深いレベルで描いてきた坂元裕二なのに・・・
今回は麦と絹以外の人間を全然描いてない。
とまぁ色々意見はあるけど・・・それでも楽しく見れた。
菅田将暉と有村加純の若い2人が画面の中でイキイキ動いていた。
出逢ったころは幼く、別れるときは大人の顔になってる。この2人素晴らしい。
大友良英の音楽もキュートでよかった。
そして。。。今回、感情のぶつかり合いや葛藤や群像を描かなかった。
それは・・寧ろ、坂元裕二が新しいフェーズに入ったと喜ぶべきではないか。
「違う立場の登場人物が話し合ってぶつかり合う群像劇」のパターンから
「分かり合えてると思ってた登場人物が実は分かり合えてなかった」
そんな作風に変わっていったのかもしれない
(「Living」や「スィッチ」にもそういう萌芽が見られたし)。
文句をいいつつ、この映画楽しんだ。
映画見終わった後もパンフやユリイカの坂元裕二特集読んで反芻してニヤニヤしてる。
今日は、ついにシナリオブックも買ってしまった!(゚゜)\バキ☆
そして・・嬉しいことに坂元裕二の新作ドラマが春から見れる。
「大豆田とわ子と三人の元夫」。松たか子主演というだけで今から楽しみ。
絶対見ます。4月の朗読劇舞台もチケット何とかゲットして見に行きたい!
ヨモちゃん、お楽しみはこれからも続くぜ。たっぷり楽しませてもらいますよ☆