僕と猫のブルーズ

好きな音楽、猫話(笑)、他日々感じた徒然を綴ってます。
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「怪物」を視た

2023年07月23日 | Art・本・映画
先週は新宿ピカデリーで映画「怪物」を見た。
脚本が大好きな坂元裕二、監督が是枝裕和という最高の組合せ。
いつも通り前情報を一切遮断して見た。
以下、感想(少しネタバレ有)

坂元裕二は以前インタビューで脚本を書く際に心がけている事として
「登場人物に本音を語らせない」と言ってた。
人間は思っている事と逆の事を話す。或いは大事な事と関係ない事を話す。
この映画は「本音を語らない」から更に進んで「真実は何処にもない。何処にでもある」を描いている。
学校で起きたある事件。事実をどう視るかは人によって変わる。
また場面場面での対応を間違えて更にややこしくする。
同じ人間が別の場面では全く違う事を言い出す。
或いは同じ相手に対しても、違う事を言う。
一貫性なんてない。同じ人が全然印象が変わる。
でも・・・ヒトってそんなモンだろ?

この映画の中にいるヒトは・・・現実にもいる。
相手によって人格を変える。オレもそうだ。
そこをチャンと描く坂元裕二。
そしてその人間模様を必要以上に盛上げず淡々と描写する是枝監督。
やっぱ、この2人信頼できると思ったV(^^)

また映画内に生活音が溢れているのにも感心した。
子供がドタドタと階段を駆け下りる音。子供を追っかけて走る母親の足音。
街中に流れる数々のアナウンス音。学校で流れる吹奏楽の音。
こういう音は存在してるのに映画やドラマではカットされる。
それをチャンと描く。そこにも感銘を受けた。

物語は二転三転して進む。子役の2人の有り様がともかく良い。
2人が森の中で遊ぶシーン、草原を満面の笑顔で駆けるシーンは
本当に素晴らしく美しかった。
この美しい世界がずっと続いて欲しいと祈った😿
そして坂本龍一の音楽が素晴らしい。
大仰に鳴り響くのでなく静かに静かに鳴り登場人物に寄り添う。
「aqua」の鳴るシーンはもう・・泣いて見た。😢
観終わった後、凄く満足してた。良い物を見せて貰った。

映画の中では度々「かいぶつ、だ~れだ」の台詞が出て来る。
他のコと少し違う依里は怪物なのか?それとも彼を異端扱いする周囲の子供が怪物か?
物語が進むに連れモンペ化する沙織?チャンと本当の事を説明できない教師?
映画の中で「怪物が誰か、何か」の答えは出されていない。
ただ・・・オレ自身も怪物になるかもしれない、その感覚は持ち続けよう。
自分は絶対「正義」の側にいる。だから他人を排除してイイ。
そんな思いあがった奴にはなりたくない(-_-)

 
最後にこの映画視て高校時代の同級生を思い出した。
オレは学校の中で浮いた存在でイジメられ仲間外れにされてた(^^;
ソイツも何処か浮いた存在だった。
でイジメっ子が面白がってソイツにオレの悪口を吹き込んでオレと無理やりケンカをさせてた。
仕方なくオレもケンカしたがソイツ凄く弱かった。(相撲取って倒して終わり)
それでもソイツは度々オレにケンカを売って来た。
クラス替えして以来、ソイツとは会っていない。
「怪物」視て・・久しぶりにソイツのことを思い出した。
ケンカして倒して・・・ゴメンな。
オレはイジメっ子に逆らうべきだったけど・・できなかったな😑
でも、オレ、キミの事嫌いじゃなかったよ。
出来れば・・友達になりたかったけど、言えなかったな。
 
今はどうしてる?元気にやってる?シアワセかい?
オレは嫁@パンダと猫と暮らして何とか必死に・・シアワセだ。
キミも元気で・・・シアワセだとイイな。そう願うよ。
ずっと忘れてたのに自分勝手な都合で思い出してゴメンな。
オレの事なんて、きっと忘れてるだろな。
それでイイよ。永遠に思い出さないでねV(^^)

↓ 我が家のカワイイモンスターです(^_^)

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夕焼けを視た夜~「冬にわかれて」LIVE@ビルボード東京

2023年07月08日 | 寺尾紗穂

6月は年度末対応でバタバタ。何とか無事終了したが疲労困憊。
先週初めはエライさんと今年度プランを協議。無理難題を吹っ掛けられてアタマがバグる(^^:
そんな中、7月4日(火)夜にビルボード東京であった寺尾紗穂のLIVEに行って来た。
第1部のマヒトゥ・ザ・ピーポーとのジョイントは仕事で断念。
第2部の「夜にわかれて」のLIVEに参加。

自由席で申込んだので2階か3階でノンビリ見る物と思ってたら案内されたのは何と1階1列。
しかも寺尾さんのKeyセットの真ん前\(T▽T)/
おかげで歌、オトをジックリ堪能できました。
時間どおりメンバー登場。寺尾紗穂(Vo、Key)、伊賀航(bass)、あだち麗三郎(Drums、SAX)。

1曲目は「もうすぐ雨は」。大好きな曲。ゆったりとした曲だけど聴いてるとココロがざわめく。
そこからは最新アルバム「flow」から次々と繰り出す、
POPS、ロック、ジャズ全ての音楽の要素を網羅しつつジャンルを超えるオト。
3人とも演奏は自由奔放。そのオトに触れて音楽=オトが空間を震わせて鳴る様と実感した。
「舟を漕ぐ人」から切れることなく「There’s flow in flower」が鳴ったシーン、
近藤達郎さんが入っての「Girolamo」の広がるオト世界には鳥肌が立った。
激しい演奏ではないけどオト1つ1つが粒となって空間に広がる。
寺尾さんのソロとも違う。巧く言えないが(笑)。
寺尾さんも「Girolamo」終わった後「別の世界に行けた」と楽しそうだった。

中盤「flow」ラストの歌「朝焼け」が歌われた。
「私は考える 貴方が愛を知っていたか 私が愛を知っていたか」の繰返しに・・ココロが震えた😿
オレは・・・愛を知っているのか?知っていたのか?直ぐ家族と友人の顔が浮かんだ。
昔は愛なんぞ知らなかった。ずっと独りだった。独りで生きて独りでのたれ死ぬと覚悟してた。
でも、家族ができて・・・愛ってモノが確かにあるのだと・・・知った教えてくれた😢
「朝焼け」の最期、ステージがほんのり紅く輝いている様な気がした。
その様は・・・何か綺麗な夕焼けを視た様な気がして・・・涙が出て来た。
そして、そのまま「幼い二人」に繋がる。後ろの窓がオープンとなり夜景が広がる。
優しく穏やかな曲なのに聴いてるとココロの揺れがとまらなくなる。
泣き叫びそうになるのを必死に。。必死に抑えた。

歌には泣いたがトークは楽しい。寺尾さんが伊賀さん、あだちさんに話しかけて2人が怯えてる様に爆笑。
更に第1部のマヒトゥとのセッションで70分の予定が100分と大幅な予定オーバーになった話にも笑った。
第1部、どんな曲やったんだろう。誰かレポしてほしい。

後半、寺尾さんは「最近色んな事件が起きている。それは孤独、孤立が理由かもしれない」そう言って
「なんにもいらない」を歌った。何ともエモーショナルな声(少し泣いている様な気がした)
最後は「彷徨い」。
以前はLIVEに行ったら嫌な現実を忘れられた。でも最近はLIVEの中でも現代の世を考えてしまう。
入管法、LGBT、神宮前開発、ジャニーズ性虐待。最近でも色んな問題が山積み。
解決してない問題も山積みだ。統一教会、ジェンダー、貧困、沖縄基地、被災地支援。
元春や七尾クン、寺尾さんの歌は現代(いま)を独自に切り取って描く(とボクには見える)。
LIVEで彼等の歌に触れると唯愉しい!でいられなくなる。外の世界を想って色々考えてしまう。

オーラスは「優しさの毛布で私は眠る」。寺尾さんの優しい歌とピアノにやっとココロが一息。
帰り電車の中で寺尾さんの「歌が生まれる場所」を聴いた。このフレーズが響いた。
「世界が変わらないと信じる貴方に美しい夕焼けをあげたい」
聴いてて一気に涙が溢れた。オレは世界がよくなるとか信じられない世界は変わらない。
でも、今夜オレは綺麗な夕焼けを視れたかも。
「朝焼け」が鳴った後、ステージが光り輝いてた。
ウン、夕焼け視れた。そう信じてる(^_^)

仕事は更に大変になりそうだ。社会問題も自分なんぞに何かが出来るなんてとても思えない。
でも、兎も角生きてりゃあんな綺麗な夕焼けに逢える日が来るかもしれない。
とりあえず不機嫌は嫌だ。笑っていこう。な、もなちゃん🐱おはちゃん🐱

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