僕と猫のブルーズ

好きな音楽、猫話(笑)、他日々感じた徒然を綴ってます。
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安野モヨコ展「ANNORMAL」

2020年07月26日 | Art・本・映画
7月4連休。コロナ感染拡大防止のため「外出自粛」のお達し。
ただし、1つ展覧会の予約済。色々検討したうえで行く事にした。当然予防対策はしたうえで。
場所は世田谷文学館。去年ここには石ノ森章太郎展を観に来た。
https://annormal.annomoyoco.com/


ボクは安野さんの作品はドラマ映画で見てるが漫画自体は未見。
唯、以前「情熱大陸」で見た安野さんの印象が強烈でその作品世界に興味があった。

展覧会は漫画原画500点の展示と共に作品ごとの世界観を表現する構成。
なお、撮影とSNSへの掲載可との事なので喜んで当ブログにも掲載します。

入場すると、いきなり「さくらん」の絵が大きく展示されていた。
その後は「ハッピーマニア」「バッファロー5人娘」「さくらん」「働きマン」
と代表作の原画と台詞、名場面が展示されている。


どの絵も美しく・・・同時にパワーが凄い。それぞれのキャラが力強くこちらに迫ってくる。
また、台詞を読むとかなりシビアな世界観で貫かれている。
ヒロインが棲む世界はみんなハード、はっきり言って地獄みたいな世界もある。
遊郭、砂漠の娼婦、パリの娼館、ハードな仕事、ダイエット地獄、終わらない恋愛。
でも、どのヒロインもみんなチャンと自分の意志を持って真っ直ぐ立って歩いてる。
「ワタシはこうしたい!」「ワタシはこう生きたい!」「ワタシはこうなりたい!」
どのコマからも彼女たちの声が真っ直ぐ聴こえてきた。
「生きよう」というひたむきな意志、「輝きたい」という熱い希望。

過去色んな男子マンガを読んできたが、こんなに主人公が「ひたむきに生きよう」と
してる姿には会ったことがない。
仕事を一生懸命する、勝負に勝つ、恋愛に突っ走る。そんなヒーローは沢山見てきた。
でも、こんな風に貪欲に生きる姿を男子マンガからは感じた事がない。
それは男と女の違いか、
女性の方が男性より社会的に不利な立場にあるので闘わざるを得ないのか。
それとも安野さん自身がそういう人なのか。

強烈なキャラばかりじゃなく、ファッショナブルな絵も素晴らしかった。
強く生きると同時に美しくありたい。美を捨てない。
それは女性だから、というより安野さんがそういう人なんだろう。


ダンナ様の庵野秀明監督との生活を描いたコーナーは微笑ましく見た。
そして「シンゴジラ」出演の俳優さんを描いた絵も素晴らしい。
市川実日子と長谷川博己の絵が特に良かった。

安野さんの自伝的漫画も刺さった。コンプレックスばかりで働き過ぎで体壊して活動休止。
ボクは安野さんの作品をチャンと読んだことは無いが、展示されている作品の
パワー、繊細さから手を抜く事なく真剣に仕事に取り組んできたことが伺える。
そりゃ、こんだけ仕事やってたら体も壊すだろう。
現在は復帰して連載もしてるとのこと、良かった。

全部見終わって凄く満足してる自分に気づいた。よく知らない作家さんなのに。
それでも、展示から伝わってくる世界観、メッセージに撃たれまくった。
中でも「さくらん」の中の台詞
「ここ(遊郭)を出て、外の世界に行っても同じだ」に撃ち抜かれた。
そう、別の場所に逃げても一緒。そこに楽園だのシアワセな世界なんぞない。
あるのは此処と同じ面倒と失笑するような現実と泣きたくなるような失望、だけだ。
なら、此処にいるしかない。此処でやっていくしかない。
このタイミングで、この展覧会視れて良かった。誘ってくれた嫁@パンダに感謝☆


ここ数年、女性が主人公だったり女性クリエイターが手掛けるドラマをよく見てる。
「問題のあるレストラン」「逃げ恥」「けもなれ」「凪のお暇」「私の家政夫ナギサさん」。
いずれの作品でも主人公は何らかの呪いにかけられている。
結婚、仕事、家族、そして男性からのハラスメント。
どの作品も、そういう女性の生きづらさを描いてる。
今回、安野さんの描く漫画でもヒロインには色んな呪いが掛けられていた。
多分、その呪いを生み出した大本は、男たち。旧時代に男たちが築いてきた世界。
そして、オレは女性たちが生きづらい世界で呪いと闘っている物語を見て楽しんでる。
勿論ドラマだから何も考えず楽しく見ればイイんだけど・・・
それって女性を搾取し呪いを掛けてる連中と同じじゃないか?それでイイのか?
女性が呪われてるなら、自分も何かすべきじゃないのか?

フェミニズムやMe Tooやポリコレの活動に参加する気は更々無い。
ただ、別のカタチで呪いと闘うことは出来る気がする。
若い頃から最近まで、男どもが築いた世界の中でオレもイヤな目にあってきた。
中高年オヤジたちによる暴言、説教、指導と言う名のモラハラ。
異論を認めず自分等と合わない物を口汚く罵倒する。
他人に勝手にレッテルを貼り決めつける。他人の趣味や若者文化をバカにし嘲笑する。
それは現実でも、ネット上でも度々見る。

この手の旧臭いオヤジ文化はもうウンザリだ。サッサと無くなってほしい。
でも、中々消えない。しつこく生き続けている。
もう令和だぜ?いつまで昭和の旧い文化を引きずってるんだよ。
こういうオヤジ文化が蔓延ってる限り、女性も若者もいつまでも呪われたままだ。
もう無くそうぜ、こんなの。

オレに女性を助けるなんて大それた事を出来るとは思えない。
でも、くだらないオヤジ文化にNo!と中指を突きつけるのは出来る。
他人に呪いを掛けるオヤジ文化なんてカッコ悪い。ダサい。
ことあるごとにそう言おう。叫ぼう。
そうすれば・・・オレも含めたオヤジももっと自由になれるはずだ。
そっちの方が絶対イイ。

カッコいい大人、になれなくてもかまわない。
でも、くだらないオヤジになるのは真っ平御免だ。
そういう呪いからサッサと逃げよう。な、ヨモちゃん☆


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