横浜映画サークル

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映画『凶悪』残虐性シリーズ(その4-62)警察の問題12桶川ストーカ―殺人事件2

2016-07-09 23:01:35 | 映画凶悪・戦争のサイコパス残虐性シリーズ

(その4-61)の続き。

)事件経緯と警察及び裁判の対応

経緯全体を3つに分けて、(b-1)詩織が殺害されるまでの警察の対応、(b-2)詩織が殺害された後の警察のマスコミ操作と対応、(b-3)裁判の対応、とした。

b-1詩織が殺害されるまでの警察の対応

下記表に警察の対応を時系列的にまとめた。特に刑事一課が対応した6月までの内容は県警の調査報告書ではほとんど無視されているので注目していただきたい。一方7月以降担当した刑事二課に対しては調査報告書では厳しく、ことごとく「不適切である」ことを強調している。刑事二課の対応に問題があることは明らかだが、刑事二課に集中して刑事一課や上司には注目が行かないよう配慮された調査報告書である。刑事一課もニ課も警察の対応が問題点だらけであること、詩織の家族が心底警察を頼りにしていたこと、それが裏切られた様子をはっきりさせるために表は長文になっている。

表の左「時期鍵」欄に時期に対応したキーポイントを記述している。情報元は下記4つ。( )内は情報元の略称。情報元を筆者が分かりやすいようにまとめているので、厳密な情報に興味のある人は情報元を見てください。

①ウィキペディア「桶川ストーカー殺人事件」(以下:ペディア)

②ウィキペディア「桶川ストーカー殺人事件」の最後の欄にある外部リンク“桶川女子大生ストーカー殺人事件”(以下:外部リンク)。

③鳥越俊太郎+取材班 『桶川女子大生ストーカー殺人事件』(メディアファクトリー)巻末資料の埼玉県警の本事件の内部調査報告書(以下:調査報告書、あるいは報告書)

④ネット「悲しい笑い:桶川ストーカー殺人、主犯である小松の異常性について」(以下:悲しい笑い)

尚、(ペディア。外部リンク)又は(ペディア。外部リンク。報告書)は情報元に共通していること、あるいは情報元を統合したことを意味する。

時期鍵

できごと

1999/1月

ゲームセンターに友人と来ていた詩織に和人が声をかけ、甘い言葉嘘を並べて付き合いが始まる。始めは週に一度食事やドライブに誘われる程度(外部リンク)

2月頃

詩織は買い物に誘われるようになり、ヴィトンのバッグやグッチのスーツなどブランド品を頻繁に贈られ*1、ある日100万円近くの品を押しつけられ、断ろうとすると豹変し、人前をはばからず大声で怒鳴られ、断れない(外部リンク)

和人に携帯番号しか教えていないのに自宅に電話詩織交際を続けていくことに不安を抱く(外部リンク) 

車のダッシュボードのクレジットカードの名前から偽名だったことを知る(ペディア)。詩織和人への不信深まる

和人から病院に呼び出され、行くと病室に暴力団風の男がおり、和人は「ミニパトにわざとぶつかってやった」などと自慢気に詩織に話した。詩織和人の職業の話などすべてに不審の念を強める(ペディア)。

3/20頃

詩織和人のマンションに行ったとき室内にビデオカメラが仕掛けられているのを発見、この理由を聞くと和人豹変、激怒。詩織を壁際に追い込み、顔をかすめるように壁を何度も殴った。詩織が恐ろしくなり別れたいと切り出すと「俺に逆らうのか。なら今まで貢いだ100万円を返せ。返せなければソープに行って働いて金を作れ。今からお前の親の所に行くぞ。俺との付き合いのことを全部ばらすぞ」などと怒鳴り、交際を続けることを強要した。詩織はその激しさから「交際を断れば殺されるかもしれない」という恐怖心を抱いた(ペディア。外部リンク)【和人はサイコの懐柔期から豹変期へ移行】

3/20後

和人豹変して以降、携帯で間断なく連絡し、詩織行動を束縛詩織は逃げられない恐怖の真白前期へ移行していく】

3/24

詩織は友人に「私、殺されるかも・・・」と相談するようになる(外部リンク)

3/30

詩織和人に別れ話を出す。殺されることを覚悟し家族と友人あて遺書を持っていた。和人は別れるなら「家族をメチャクチャにしてやる」「親父をリストラさせてやる」「長男は浪人生だよな。次男はまだ小学生だよね」などと危害を加えることをほのめかして脅迫。家族へ危害が及ぶことを心配して詩織は屈服し交際続く

3/30後

携帯での束縛・脅迫的行為以前より強まる詩織は家族が巻き込まれるのを避けるため、友人にのみ相談しながら交際続く。友人にも不審な電話が掛かるようになり、友人も和人を恐れるようになる(ペディア)

4月中旬

詩織何回か別れ話を出す。和人は「精神的に追いつめて天罰を加えてやる」「お前は2000年を迎えられない」「金で動く奴はいくらでもいる」(外部リンク)「ナイフで腕を切れ」「バリカンで頭を丸刈りにする」*3詩織を恐れさせた(悲しい笑い)。 詩織は友人に幾度となく「刺されるかもしれない」と話す(ペディア)

5月頃

和人の電話を詩織カセットテープに録音した:和人「お前、世の中なめすぎてんだよ、まったくよ。嫌いになって別れてそれで済むと思ったら大間違いなんだ。コケにされて騙され続けてよ。そんな人間どこにいるよ、お前。あん、それでバイバイなんて言う人間じゃねえんだよ、俺は。自分の名誉のためだったら、自分の命も捨てる人間なんだよ。そういう人間なんだよ、それだけお前を愛してたんだよ。それに対してなんだ、テメー、なんだよ、お前。信用なくしただ? ふざけんじゃねーよ、コノヤローテメー。・・・・・・俺は人間ってもんがどんなもんか、テメーに教えてやるよ。わかったかよ」。詩織「分かりました」。和人「分かったか、コノヤロー。人間てそんな軽くねえんだよ。ちゃんと誠意ある態度示せよ」*4(外部リンク)

5/18

詩織21歳の誕生日に和人がロレックスの時計を渡そうとするが、受け取りを拒否*1(外部リンク)

6/14詩織決別。

和人ら猪野家へ

詩織は再び決意を固め、池袋駅構内喫茶店で和人別れを告げた。怒った和人が家に乗り込んで来そうだったので帰宅途中に詩織は母親に電話を掛け、初めてトラブルを伝えた。同日午後8時半頃、和人と兄武史、Yの3名が詩織宅に押しかけてきた。Yは和人の勤務先社長を装い「和人が会社の金を500万円横領した。お宅の娘に物を買って貢いだ。精神的におかしくされた。娘も同罪だ。500万円の半分の250万円を支払え。誠意を示せ」と1時間以上脅迫し続けた。その最中9時過ぎに父親が帰宅。武史は父親を無視して恐喝し続けた。父親は短髪パンチパーマで金のネックレスの武史を普通の会社員でないと判断し「女、子どもしかいないところに上がり込んで、一体、何をやっているんだ」「話があれば警察で聞く! 行こう!」「贈られたモノがあるから、持って帰ってくれ」。武史が「そんなものは要らない」、和人が「返してもらっても困るんだよ」と言う。3人が退散するときに玄関で「会社に内容証明付きの文書を送り付けるから、覚えておけ!」「ただではおかない!」と言う*5。このやり取りは詩織分からないように録音していた(ペディア。外部リンク)

6/15警察最初の訴え拒否

詩織と母が埼玉県警上尾署前夜のテープを持参して相談に訪れた。テープを聞いた刑事一課の若い署員が「これはひどい、恐喝だ!」と言ったが、年輩署員たちが「これは民事かどうか。ギリギリのところだ」「ダメダメこれは事件にならないよ」などと述べ、脅迫・恐喝とは認められないとの判断。これに対し詩織と母は現実に危害が加えられる可能性を訴えて捜査を求めたが、年輩署員は「民事のことに首を突っ込むと、後から何を言われるか分からないんでこちらも困るんですよ。また何かあったら来てください」と要求を退けた*6(ペディア。外部リンク)

6/15電話

「プレゼントは返してもらっても困る」と和人が言っていたにもかかわらず、仲間の伊藤が電話で「田中」と名乗り、「プレゼントは全て送り返してください」と言った*7

6/16警察再び拒否。弁護士に矛先向ける

詩織、母に父が加わった3人で再び上尾署へ。対応は変わらず。刑事一課署員は「3ヶ月ほどじゃ、相手の男も一番燃え上がってるところだよね」「そんなプレゼントをもらっておいて、別れると言えば、男も普通怒るよ。あなたもいい思いをしたんだから。これは男と女の問題だ。立ち入れないんだよね」「また、何かあったら、来てください」と言った*8。商工会議所内の無料法律相談所へ行ってはどうかと矛先を向けた*9(外部リンク)

その日のうちに母は署員に教えられた通り上尾市商工会議所内の無料法律相談所を訪ねた。当番弁護士は「・・・でも、娘さんはいろいろ買ってもらていたわけでしょ」と言った。相談時間は10~15分程度*9(ペディア。外部リンク)

6/17和人の懐柔

詩織和人から「よりを戻したい」「会いたい」との電話*10詩織「警察の指示で生活しているから会えない」と答えると和人激怒し「どこの警察だ?」と警察署を聞いた後電話を切った。

6/21警察

贈られた品を宅配便で返送。父が上尾署を訪れ、「荷物は送り返しました。これからもよろしくお願いします」と申し出た*11(外部リンク)

6/21猪野宅

和人から再び復縁を迫る電話*10。猪野宅電話番号を変更。夜11時頃、和人が風俗店店員Kと猪野宅前に駐車し「詩織、出て来い!」と叫んだ。両親が車のナンバープレートを写真に撮った

返送品を受け取った6/22から、和人は理由のない恨みを増し、詩織の殺害を視野に入れた*11:刑事裁判で明らかに(ペディア)

6/22指令

和人指令を受け武史が久保田に詩織殺害をもちかけ、何度も頼み込んだ*12(外部リンク)。この4カ月後に殺害

6/23番号

和人か猪野宅の留守番電話に「なんで電話番号変えるんだよ」という伝言が入る(外部リンク)。

6/24警察

母「電話番号変えたのに掛かってきたんです」と訴えると、刑事一課主任「また替えた方がいいですね」と対応*13(外部リンク)

7/5沖縄

和人は武史に殺害報酬金2000万円入りの紙袋を渡し、自分は沖縄へ行く。沖縄から武史らを操った*14(外部リンク)

7/13ビラ

B5判の極彩色中傷ビラが猪野宅と周辺の民家の外壁や電信柱、詩織の学校、父の会社の壁にズラリと貼られた*15

7/13警察

朝8時半過ぎ,母は中傷ビラの被害を申告するため上尾署へ。ここから刑事一課から二課へ担当が変わる*16

7/15警察。告訴拒否

詩織と母は再び上尾署を訪れ、ニ課長片桐本多が応対し事情聴取を行なった。詩織和人から頻繁の電話や無言電話、6/21の深夜に和人が車で自宅周辺を怒鳴り徘徊していたこと、殺害も示唆されていることなどを説明し「こんなことをしたのは和人に間違いありません。このままだと、これからまた何をされるかもわかりませんから」などと必死に早く和人を捕まえてほしいと訴えた*17告訴拒否

7/20頃中傷カード

都内で「大人の男性募集中」と詩織の氏名、顔写真、電話番号入りの中傷カードがばらまかれ、近隣団地の郵便受けにも大量に投函され、インターネットにも同様の書き込みがされた。見た者からの複数の電話が詩織に掛かってきた(ペディア。外部リンク)

7/22告訴再度拒否

試験を終えた詩織と母は約束通り告訴のため上尾署を訪れたが、ニ課長片桐は「今日は事件があって担当者がいないので、1週間後にまた改めて来てもらえますか」と言う*18(ペディア。外部リンク。報告書)

7/29告訴

詩織と母約束の1週間後に上尾署へ。ニ課長片桐本多、他1人が詩織から事情聴取。和人を名誉毀損容疑で告訴する書状受理*19

8/22手紙

詩織の父の勤務先に中傷手紙が397通、23日には勤務先親会社にも391通が届いた(ペディア。外部リンク)*20

8/23警察

父は中傷手紙全部を持ち署へ「警察から犯人に接触してください! 脅迫ですよ! なんとかしてください!」と訴え。ニ課長不在*21

8/24警察

父が改めて上尾署を訪れる。中傷手紙を見てもニ課長片桐動かない*22

8/30告訴状宙に

告訴の書類は署員が8/19に整理し課長決裁に上げていたがニ課長は机の中に止めていた*23(ペディア。外部リンク。報告書)告訴状受理から1か月が立ち、ついに二課長片桐は警視・生活安全次長茂木邦英に決裁を仰いだが、告訴状は突き返された*24

9/1か2

警視茂木の意を受けた二課長片桐は本多に被害届を取り告訴を取り下げさせるよう指示*25

9/7被害

二課本多は猪野宅を訪れ、予め作った7/29付けの被害届(犯人欄が空白)に署名押印をもらう*26(外部リンク。報告書)

9/21取下

本多が猪野宅を訪れ、母に告訴取り下げを要請。母はこれを断る*27。後に県警は、取下げ要求は偽刑事の仕業と話した*27

書類改竄

後に詩織供述調書、領置調書、捜査報告書、実況見分調書、母の供述調書まで改ざん、ねつ造した*28(ペディア。外部リンク。報告書)

10/16猪野宅

深夜2時ころ、猪野家宅周辺に大音響で音楽を流す車が2台現れる。両親はすぐに車とそのナンバーを撮影し、110番通報したが、結局捕まえることはできなかった。これが詩織殺害前の嫌がらせの最後*29(ペディア。外部リンク)

10/18

詩織拉致計画を立てる、実行できず*30(外部リンク)

10/24

和人は沖縄から帰京(ペディア)。【帰京後和人は武史に殺害実行を具体的に指示したと思われる】

10/25

実行犯3人と風俗店店員1人が犯行現場下見

10/26

詩織殺害*31

*1がブランド品をに与えるのと類似。懐柔のためだけでなく、虐待の代償感覚を持ち、金品を与えることがある。相手が喜ぶのを期待してプレゼントをする健常者の感覚とも別のもの。また、金品で従属させるためのように見えるが、それも健常者の感覚で違う。このことは詩織21歳の誕生日5/18にロレックスの時計を渡そうとするが、詩織が受け取り拒否するときにも表れている。サイコパスの代償感覚は本シリーズ(その4-4)「9)サイコパス自身は自分をどう感じているか(c)虐待犠牲者に代償感覚を持つ」参照

*2和人興信所に依頼して詩織の父親の勤務先や家族のことや詩織の友人の情報も入手していた。「家族をメチャクチャにしてやる」はがよく使う言葉で、実際にめちゃくちゃにするが、和人も同じ言葉を使う。興信所を利用するなど、まんじゅうサイコパスは用意周到で頭が良い』。

*3犠牲者を丸刈り(坊主)にするのは例12の三上や例14のなどサイコパスが好んで行う虐待で、和人のサイコパス特性を示す言動である。

*4和人の電話はサイコパス特性がよく表れている。相手が困ることを好んで言いう一方的自己表出。どうでもいい理由で恨む。

*5:猪野家は和人以外の2人が疑似サイコ後期に至っていないために救われた。和人たちは、にせ社長になったり、500万円の半分を要求したり、小細工と言える脅しで、反社会性人格障害者のレベルに近い。が乗り込むときのマサや皆吉長男のように疑似サイコ後期状態になっていれば、相手が嫌がることを徹底的に行い、徹夜で居座り、何日も猪野家から出て行かずに、猪野家をめちゃくちゃにしたはずである。また、詩織と家族が毅然としていたことも功を奏したと考えられる。

*6:後の県警の調査報告書では刑事一課「捜査員の1名が『これは恐喝だ』と述べ、もう1名の捜査員が『事件にならない』と述べたというようなやり取りはなかったことが確認された』と詩織の母の話を否定した。報告書にはどう「確認された」かの記述はない。報告書の内容は徹底的に刑事一課長を擁護し、刑事二課長に桶川ストーカー殺人事件の責任をすべてかぶせている。「これはひどい。恐喝だ!」と述べた刑事一課主任巡査部長は後に、上司の警視自宅を放火し、自殺した。詩織の母はこの巡査部長が親切だったと話しており、筆者はこの巡査部長が常識的な刑事で、その上司たちが常識を失った状態、常識が逆立ちした組織状態だったと推察する。自殺に追い込まれた巡査部長の無念さが分かる気がする。

*7:これはサイコパスの判断と言うより反社会性人格障害者の損得勘定と言えるもので和人の直接指示でないと思える。以降、詩織殺害まで毎日のように1日平均20回の無言電話があるが、この無言電話はサイコパス和人らしいこと。

*8:この刑事一課署員は状況を把握しようとしないだけでなく、サイコパスの恐ろしさが分かっていない。この日の刑事一課の酷い対応について調査報告書は署員の記憶は明確ではないとしている。の事件でが血だらけになって香川県警高松署に飛び込んだ時に「事件か、事故か、家族のもめごとは民事不介入」との訴えを無視した署員の対応と共通する。警察の業務怠慢を争う裁判で警察側は6/16の「民事のことに首を突っ込むと、後から何を言われるか分からないんでこちらも困るんですよ」「3ヶ月ほどじゃ、相手の男も一番燃え上がっているところだよね」は言っていないと刑事一課を擁護する主張をした(ペディア。外部リンク)。警察は裁判でも刑事一課を擁護し刑事二課に責任をかぶせる弁論を展開していることが分かる。筆者は、刑事一課は責任逃れに「記憶にない」やを言っていると推察する。

*9:「弁護士へ行け」とするのは、の事件の兵庫県警や香川県警などの対応と共通。サイコパスの対応は弁護士では不可能、法律で解決しない警察の実力行使を背景とした動きがどうしても必要サイコ化事件に一般的には弁護士は無力。これは犯罪心理学がサイコパスを扱えていないことを反映して法体系にサイコ化事件が抜けているため、法に基づき活動する弁護士は活躍に限界。また、警察と同様、弁護士の多くはサイコ化事件理解できていない現状

*10和人は再び、甘い言葉のサイコパスの懐柔期の言動。サイコパスは懐柔、豹変を繰り返して残虐性を増していく

*11:刑事一課署員は6/21のことを、父は「『無事終わり、ひと安心です。こんなもので悪いのですが』と言いながら菓子折を差し出した」と主張。父は「そうした事実は一切なかった」と反論(ペディア)。【署員が捜査をしなかったことの責任逃れのために『無事終わり、ひと安心ですとでっち上げの嘘を言ったと推察する。なぜなら、実態は少しも終わっていないから、詩織の父が言うはずがない。この返品で和人は詩織殺害を視野に入れた。すなわち刑事一課の対応の時に殺害計画が始まった刑事二課に責任をすべて押し付けるのが誤りであることはこのことで明白】

*12:久保田はこれまで高い給料をもらって優遇されてきたこともあり、恩義に報いなければならないと考えるようになり、伊藤と川上を誘って決行することにした。その後、3人は具体的な殺害計画を立て猪野家付近や桶川駅などを下見した。武史からもらった詩織本人の写真も確認した(外部リンク)。具体的殺害実行は4か月後になる。3人らはその前に猪野家に恐怖を与え、嫌がることを次々行う。【殺人であっても「恩義に報いる」は暴力団に見られ、サイコパスが反社会性人格障害を利用するときのカラ理由として使う論理。例12映画『凶悪』原作のサイコパス三上静男が暴力団組長後藤良次を利用するときの論理と同じ。後藤良次は自分が裏切られ利用されていることに気が付き、「三上を許さない」と「自爆覚悟の三上告発」を行ったが、反社会性人格障害者でもサイコパスの行為は許せなくなる。もし久保田が和人に裏切られ、自分が利用されていることを知れば、和人の悪事を洗いざらいぶちまけたであろう。和人が自殺し、その機会はなくなった。

*13和人がどうやって新しい電話番号を知ったかは不明。サイコパスは相手が嫌がることにあらゆる能力を使う。和人がどうやって電話番号を知ったのかを捜査して、二度と電話できないようにしなければならない段階になっていた。そうすれば詩織殺害は防げた

*14詩織殺害計画が具体的に始動した。沖縄から武史らを操ったことは、前の項「(a)(ⅰ)和人のまんじゅうサイコパスとしての特徴、①遠在の『空気』を使い、詩織を殺した」参照

*15中傷ビラには「WANTED 猪野詩織」と題し「天にかわっておしおきよ!! FREEZE猪野詩織」「この顔にピンときたら要注意、男を食い物にしているふざけた女です。不倫、援助交際あたりまえ!泣いた男たちの悲痛な叫びです」とともに詩織の顔写真と、合成なのか不明だが、裸の写真がプリントされていた。全部で約300枚。猪野宅郵便受けにも約200枚が投函された(外部リンク。報告書)。夜明けに多数を使い行った組織的犯行、後に12人が逮捕された。詩織は状況確認も兼ねて通常どおり大学へ向かい、翌朝にも日課である犬の散歩を普段通りに行った。このとき「人に顔を見られる」と止める母に対し、「私は何も悪いことはしてない」と話した(ペディア。外部リンク)。【詩織はサイコパス和人から離れておりサイコ化せずに、健全な精神状況を維持している】

*16中傷ビラは名誉棄損扱いだとして、ここから刑事一課から二課へ担当が移る。【実態はそれまでの脅迫・恐喝の延長上なので継続的に刑事一課が担当すべきだが、なぜ移ったのか調査報告書にも裁判でも明らかにされていない。移る前に起こった出来事が刑事一課から二課へスムーズに伝達されたかどうかも疑問が残る。この移管に対する不満詩織殺害後の刑事ニ課長片桐の会見での「私は捜査一課(刑事一課)の代理ですから」と言う言葉に象徴されている】

詩織の母は刑事ニ課長片桐に「すぐに来てください」と懇願したが、片桐は「すぐには行けない。家に帰って待っていてください」と答え、簡単に事情聴取しただけで母を帰らせた。昼に、片桐の部下の刑事ニ課係員本多と野沢(見習いレベル)が猪野宅に出向いて実況見分を行なった(ペディア。外部リンク)。【母は貼られたビラを早く取り除きたかったが警察が来るまでできない】

*17:【刑事ニ課長片桐は、これまでの経緯を詩織と母から聞き、殺害も示唆されていることなどで、これは二課の仕事でなく一課の仕事だと強く思ったはずである】

詩織と母にニ課長片桐は「警察は告訴がなければ捜査できない」「嫁入り前の娘さんだし、裁判になればいろいろなことを聞かれて、辛い目に遭うことがいっぱいありますよ」「告訴は試験が終わってからでもいいんじゃないですか」などと難色を示した。これに対して詩織は「大丈夫です。家族で話し合ってきましたから。今日、告訴出しますから」「家族に被害が及ぶのが怖い」「覚悟はしてきているんです」「なぜ延ばすのか理解できません」「今日告訴しますからお願いします」と強く申し出たが、二課長はそれでも試験終了後に再訪するよう促し、要望に応じようとせず、その日の告訴はならなかった(ペディア。外部リンク。報告書)

*18:【担当者がいなくてもニ課長が事情聴取すればいいことだが行わない。*16、*17で述べた通り、ニ課長片桐は本件の仕事の担当に強い不満を持っており、この告訴の日程を伸ばしている間にその不満を刑事一課長や上司の警視(生活安全課担当次長)茂木邦英にぶつけていたと考えられるが、調査報告書や裁判では片桐の言い分は一切出てこない。片桐一人が悪者役を背負わされている】

(その4-63)へ続く。

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