ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

京都事情 その31 再び羅生門、日経に気品のある文章は無理?

2015年12月14日 | 京都現地事情

最近、日経新聞がネタを提供してくれるのでありがたいことです。

 

2015年12月日の朝刊1面の「春秋」に次のような記事が出ていました。

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 「がっかりスポット」というのがある。 誰もが名は知っているが、行ってみたら意外に地味だったという名所や旧跡のことだ。 水木しげるさんの漫画の人物なら「フハッ」と吐息(といき)しかねない。 JR京都駅から徒歩約20分の「羅生門(羅城門)跡」も相当ながっかり度だ。

 

住宅に囲まれた小公園のすべり台の横に石碑がぽつんと立つだけ。 幅40メートル、高さ20メートル、二重の楼閣を誇ったという壮麗な表玄関は跡形もない。980年に暴風雨で倒れ、そのまま放置されたようだ。 藤原道長は1023年に別の場所に寺を建立(こんりゅう)する際、羅生門の礎石を運ばせている。すでに、土台がむき出しだったのだろう。

(以下、芥川龍之介の「羅生門」の話が続くので省略)

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羅生門については、やはり似たような話が出ていたので、私が2013年03月12日のブログに既に書いています。

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京都事情 その7 羅生門は石碑だけ

 

テレビだったか、新聞だったか、羅生門のあった付近の小公園を訪れた観光客が、石碑だけが建っているのを見て、がっかりしていたそうです。芥川龍之介の小説を読んだか、黒沢明の映画「羅生門」を見て来たのでしょう。

でも羅生門が現存するはずが無いでしょう。羅生門があった場所は、普通の観光客なら行かない場所です。その場所を知っているのなら、観光ガイドブックを見たか、インターネットで検索したかでしょう。そうであれば、石碑しか無いことがわかるはずです。それとも、どこかのお城のように、コンクリートで再現されていると思ったのでしょうか。それもチープだと思いますけど。

羅生門に関しては、京都市のサイト

http://www.city.kyoto.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/toshi05.html 

が詳しく、羅生門は火事ではなく、暴風で平安時代(なんと西暦980年)に倒壊し、以後再建されることは無かったそうです。

(一部削除し、若干書き加えています)

(以下省略)

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ということで、羅生門は約千年前に倒壊したままになっています。平安京のメインストリートの朱雀大路も跡形もありません。この朱雀大路の南端が羅生門ですから。京都には「朱雀」という名前が地名や学校名として残っていまが、普通の市街地です。

 

羅生門跡はいわゆる観光地では無く、私も訪れたことは無いし、これから訪れる気もありません。したがって、ここを訪れたい人が羅生門跡を探そうとすると、詳しい観光ガイドブックを見るか、インターネットで検索するしかないですが、そのいずれも石碑しか無いことを書いていたり、写真を載せていたりしているはずです。ということで、石碑以外に何を期待して来るのでしょうか?

 

もしかして、羅生門が現存していると思って来るのかな? まさか!それは日本史を知らなすぎる。西暦980年に倒壊していなくても、その後の都の荒廃や度重なる戦乱で、倒壊もしくは炎上しているはずです。

 

あるいは

①コンクリートで再現された羅生門がある

奈良の平城京の羅生門は石碑だけですが、朱雀門(朱雀大路の北端)は復元されているので、こういうのを期待したのかな?

②礎石だけが残っている(上記京都市のサイトには、既に平安時代に礎石も他に流用していることが書かれているので、これはありえない話ですが)

と思っているのでしょうか?

 

ということで、先の日経新聞は羅生門跡を芥川龍之介の小説「羅生門」の記事の枕に使っているのですが、話の流れとして適切では無いですね。この記事を読むと、書いた人は実際に現地に行っていないと思う。 上記京都市のサイトを参考にしている節もある。行ってがっかりと言うネタをインターネットから探してきたのでしょうが、文章がチープですね。

 

日経新聞はイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」を買収しましたが、新聞の一面にこんな記事を書いていて「フィナンシャル・タイムズ」の記者に太刀打ちできるのでしょうか?

 

2015.12.14


500億円の東京駅の祟り JR東日本は気が緩んでいる

2015年12月11日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機
  • JR東日本は東京駅の改修工事に約500億円を使いました。この約500億円はホームの安全柵の設置などの安全対策や設備の更新など、もっと有効な使い道があったと思います。こういう浪費をすると、知らず知らずのうちに会社内に緩みが出て来ます。最近のJRの事故を見るとその思いが強くなります。

 

2015年02月06日のブログ「東京駅と東海道新幹線の改修費用」では、東京駅の改修工事費用約500億円を安全対策に回すべきと書きました。

 

2015年08月30日のブログでは「500億円をかけて改築した東京駅の祟り JR東日本は気が緩んでいないか?」で

①4月12日、山手線神田~秋葉原間で支柱が倒れて線路を塞ぐ

②8月4日、京浜東北線の横浜~桜木町間で架線切断トラブル

 本来、停止してはいけない区間で停止したため、過大電流が流れて架線が切れた。

③今夏に起きた電気ケーブルなどが燃える一連のボヤ火災

を取り上げました。③では犯人が捕まっていますが、彼が全ての犯行を実行したのかは未だ明らかになっていません。

 

これらの事故に加えて、JR東日本では最近にも事故が発生しています。

 

④12月3日、横浜線で架線を支えるポールが折れて停電した

未明に架線を張り替える工事を行っていたところ、架線を張っている鉄筋コンクリート製のポール1本が折れて停電した。架線の交換時にポールを引っ張り過ぎたので折れた? この日の未明は雨が降っていましたが、事故との関係はわかりません。

 

⑤新しい山手線の電車が運転初日(10月30日)にトラブル

新型車両E235系のデビュー初日に3件のトラブルが発生。1日でE235系の運転は取りやめになりました。

 

⑥11月6日、横須賀線の地下線路が浸水した

東京駅と新橋駅の間にある地下の排水装置のフィルターに泥が詰まって排水能力が低下し、横須賀線の線路が冠水して不通になった。

 

最近万単位の客が影響を受ける事故が続いています。気が緩んでいるのか、人員削減で人が足りないのか、保守費用を節約しているのか、技術を継承できていないのか、どれなんでしょうか? 大きな事故に結びつかないことを祈るばかりです。

 

最後に三言。

  • 山手線の新型車両E235系の事前のチェックは何をしたの?

⑤の山手線の新型車両E235系が運転初日にトラブルが頻発した件について。事前に試験運転を繰り返し行ったが見つけられなかったとJR東日本は言い訳していますが、そりゃあ違う。事前の試験運転で問題を見つけられなかったのは、試験運転の方法をまちがっていたからです。どこかのメディアが試験運転を半年やっていたと書いていましたが、事前の試験運転のやり方が悪かったら、いくら長期間やっても無駄です。

 

どこかに、JRべったりの記事を書いている人がいますが、批判精神を持って書くべきです。

 

  • メディアは何をしていたのか?

山手線の新型車両E235系が運転初日にトラブルが頻発してから、新型車両E235系は新しい車両制御システム「INTEROS(インテロス)」を採用していたと書いています。運転初日の一連のトラブルには、この「INTEROS(インテロス)」が関わっていると考えられます。デビューまでの新型車両E235系の紹介では、扉にウグイス色を採用しているとか、車内の中吊り広告が復活したとか、どうでも良いことばかり書いていました。大手メディアだけではなく、鉄道が専門の人も「INTEROS(インテロス)」の話をしていません。どうなっているんでしょう? 「お粗末!」と言うしかない。

 

  • WiMAX回線で大丈夫?

新しい車両制御システム「INTEROS(インテロス)」は、WiMAX回線を用いて運転情報を送受信しているそうです。専用回線ではなく誰でも使える公衆回線のWiMAXを使って、セキュリティは大丈夫なのでしょうか? 運転情報のどこまでにWiMAXを使っているのか現時点では不明(事故でも起きないかぎり、JRは明らかにしないでしょうが)なので、リスクの度合いがわかりません。仮にWiMAX回線を使って重要な運転情報の通信をしているのなら、外部からの攻撃に対し全く安全とは思えないので危険です。

 

2015.12.11


加工肉を毎日50g食べるとがんになる確率が18%上昇!~続き~

2015年12月10日 | 健康・薬・食飲料

11月16日に書いた「加工肉を毎日50g食べるとがんになる確率が18%上昇!」の続きです。

 

私はハムやソーセージ、ランチョンミートを毎日50g程度食べています。それでIARC(国際がん研究機関)の2015年10月26日の発表で動揺し、いろいろな資料(日本のがん研究センターなどの資料、農林水産省や食品安全委員会の資料など。「加工肉」「がん」のキーワードで検索すると出て来ます)を読みました。

 

結論は、ハムやソーセージを毎日50g以上食べるとがんになる確率が上昇するのはあり得るようです。また「赤肉」ががんの原因となると言う指摘も、そう考えた方が良いでしょう。ここで言う「赤肉」とは、脂肪分の少ない肉と言うことではなく、牛・豚・羊・馬などの肉のことで、鶏肉は「赤肉」とは違うようです。

 

また、この発表とは別にハムやソーセージ、ランチョンミートに発色剤として添加される亜硝酸塩にも発がん性の疑いがあると以前から言われていました。(日本の食品安全委員会の資料、EUの基準、ハムメーカーの資料による) IARC(国際がん研究機関)の発表では、加工肉でがんになる確率が上昇すると言っていますが、この亜硝酸塩の影響をどこまで考慮しているかは不明です。

 

以前と比べて日本人の大腸がんの死亡率が高くなっているのは、「食事の欧米化」が要因と言われてきました。「食事の欧米化」とは抽象的な表現ですが、平たく言えば「ハムやソーセージなどの加工肉」や「赤肉」を食べると言うことが含まれるでしょう。

 

加工肉がガンのなる確率を上昇させると言われても、「ハムやソーセージなどの加工肉」や「赤肉」を避けて、魚ばかり食べるわけにもいかないし、ベジタリアンのような食事も嫌だし、鶏肉ばかり食べるわけにはいかない。

 

薬ほどきつくは無いけど、薬と同じように食べ物にも体に良いこともあるし、その反対の副作用もあるのでしょう。人間の特徴の雑食性は、ある食物が本来持っている毒性を回避する知恵なのかもしれません。

 

微量ながら、米・ひじきには砒素(*1)、マグロには水銀(*2)、ホウレンソウにも硝酸塩が比較的多く含まれています。野菜には、放射線を出さないカリウム39(普通のカリウム)の同位体で放射線を出すカリウム40(*3)が含まれています。このように1種類の食物だけを食べるのは「体へのリスクを増やす」と言うべきなのでしょう。

 (注)

(*1)糠の部分に多く含まれています。米にはカドミウムも含まれます。

(*2)小さい魚を捕食する大きい魚(食物連鎖の上位にいる魚)に多く蓄積します

(*3)肥料の三要素(窒素・リン酸・カリウム)の一つ。野菜によって含有量は異なる。

 

いろいろな資料を読んだ結論は、「赤肉」も「ハムやソーセージなどの加工肉」も魚も鶏肉も食べて、野菜も沢山食べるしかないと思う。そして「がん」のリスクもあると認識してがん検診などを受けるしかない。「加工肉」や「赤肉」を食べないで「がん」にならなくても、これらを食べないことが原因で体調が悪くなったり、別の病気になったら結局同じですから。

ただし、がんになり易い家系の人は、こういう食物を減らした方が良いのかも知れこの結論が正しいかわかりません。

 

(ちなみに1)ワインは「亜酸塩」、加工肉は「亜酸塩」

話は変わりますが、ワインを長期保存するために用いる添加物は、「亜酸塩(ありゅうさんえん)」であって、ハムやソーセージなどの発色剤「亜酸塩(あしょうさんえん)」ではありません。えっ!私は間違って覚えていました。ワインのラベルをしげしげ見ると確かに「亜酸塩」と書いてあり、ソーセージのパックの裏を見ると「亜酸塩」でした。納得と言うか、今まで気が付かなかったのはショック! インターネットの書き込みを見ても、「亜酸塩」と「亜酸塩」を混同している人や、書き間違えている?方が多いので、仲間がいると安心しましたが。

 「亜酸塩」と「亜酸塩」、どちらにしても人体に良い物質とは思えません。

 

(ちなみに2)「赤肉」とは?

上に書いたように、「赤肉」とは脂肪分の少ない肉では無く、牛・豚・羊・馬などの肉のことです。しかし、インターネットの書き込みを見ると、「赤肉」とは脂肪分の少ない肉と誤解している人がいますので、間違えないように。(といっても、自分も今回調べてみて初めてわかったことですが)

 

2015.12.10

 

2015.12.14 若干補足しました


メディアに物申す その30 ~谷垣幹事長は京都育ちだから優柔不断?~

2015年12月07日 | メディアに物申す

自民党の加藤の乱(2000年11月)のときだったか?昔々の話です。自民党の谷垣禎一現幹事長に関する話が新聞(雑誌ではなかったはず、TVかも?)に載っていました。

 

谷垣禎一氏(衆院議員でしたが、その当時の肩書がわからないので谷垣禎一氏としておきます)が決断を迫られている時に、なかなか決断しない時があって、政治家だったか評論家だったかが「谷垣氏は京都の人だから、優柔不断」と書いていました。

 

谷垣禎一氏のお父さんは谷垣專一氏と言い、京都府の北部を地盤とした代議士で文部大臣にもなりましたが、京都市に住んでいた私にはほとんど知らない人でした。京都市を地盤にしていた自民党の代議士の一人は、衆院議長をやった伊吹文明氏です。こちらの人はいろいろ噂のある人ですが。

 

それで谷垣氏も京都府の北部(昔の国名でいうと丹波と丹後の一部)で育ったのかな?と思っていたら、代議士をやっていた父親が住んでいる東京で育ったと言うことが、それから数年経った新聞だったか雑誌だったかに載っていました。

 

あれ? じゃあ、「谷垣氏は東京の人だから、優柔不断」と言うべきでは!

でも、そういう人はいないでしょうね。その理由は「東京にもいろいろな人がいるから」かも知れないし、東京の悪口を言うと風当たりがきつくなるからかもしれない。

 

「東京にもいろいろな人がいる」のなら、「京都にもいろいろな人がいる」はずで、「京都の人だから優柔不断」とは言えないでしょう。きっと京都→お公家さん→優柔不断という想像なのでしょうが、京都市といえどもそんなにお公家さんは沢山いなかったし、もともと京都府北部にはお公家さんはいない。

 

この記事(発言?)のように、何事にも先入観を持って当たらない方が良いと思います。というか、東京の悪口になるような言い方を避けているように思えます。

 

と思っていたら、5日の日経新聞に次のような記事が出ていました。

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中国を訪問している自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は4日、北京で中国共産党序列4位の兪正声・全国政治協商会議主席と会談した。兪氏は南シナ海での中国の活動をけん制する安倍晋三首相を念頭に「指導者の慎んだ言動が大切だ。国民の感情を害することがあってはならない」と不快感を示した。

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谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は、当然反論したのでしょうね。まさか黙って聞いていたのではないでしょうね。もし黙って聞いていたのなら、「谷垣氏は東京の人だから、優柔不断」と産経新聞なんかは書いたらいかがでしょうか?

 

2015.12.07


年寄を東京から地方に移住させて東京は元気に!追加

2015年12月01日 | 社会・経済

11月25日の「年寄を東京から地方に移住させて東京は元気に!その2」を書いた後、ふと思いました。

 

例の日本創成会議の提言の概要は、以下の通り。

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「東京圏」に流入した住民の多くが高齢化し、推計では2025年には「東京圏」の介護施設が約13万人分不足する。そこで、介護施設などが充実している全国41地域を例示し、高齢者に移住を促すべき。

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ところで、日本創成会議の座長は増田寛也氏ですが、彼は岩手県知事だったはず。え~と1995年から2007年までです。2007年からは今の達増知事です。

 

日本創成会議の提言では、前述のように「東京圏」の年寄りが移住すべき介護施設などが充実している全国41地域を例示しています。なんとこの「全国41地域」の中に、岩手県は、準地域(意味不明、それほど整っていないということか?)として盛岡市が入っているのみ。どうして? 8年前からの後継知事のせい、それとも市町村長の政策が悪かった? でも少しは増田知事の政策にも問題があるのでは? 

 

ということで、何かすっきりしない提言です。

 

「介護施設などが充実している全国41地域」は、「東京圏高齢化危機回避戦略」の概要版(1ページ)を見てください。

http://www.policycouncil.jp/pdf/prop04/prop04_digest.pdf

 

2015.12.01