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「ペーパーレス」 その1 富士フィルムが米ゼロックスを買収するってすごい!

2018年05月22日 | 会社

最近のニュースから、会社や事業にも寿命があるという話を二つ。

 

一つ目。複写機メーカーのリコーが1200億円の赤字を計上した。その原因はペーパーレス化が進んで複写機やその消耗品が売れないから。特にアメリカで買収した販売会社の業績が悪いとか。

 

(「複合機」という言い方もありますが、その差がわからないのでここでは「複写機」にしておきます)

 

二つ目。富士ゼロックスによる米ゼロックスの買収。

 

日本国内でゼロックス製品を製造販売している「富士ゼロックス」は、昔は富士写真フィルム(現富士フィルム)と米ゼロックスの英国子会社の合弁なので、米ゼロックスからすると孫会社という位置づけで、随分格下(私の推測です)でした。

  

 現在の「富士ゼロックス」は、富士フィルムと米ゼロックスの合弁になっています。ついでに言うと、富士写真フィルムは大日本セルロイド(現ダイセル)から分離した会社です。

 

 富士ゼロックスという会社は、ゼロックスの中では格下(私の推測です)であっても、日本では業績が良く、給料も高くて、優良な会社として知られていたし、メディアには富士ゼロックスの経営と経営者の記事がよく出ていた。

 

私が大学生の頃、複写に使うのはもっぱら「青焼き」(「ジアゾ式」が正式かも?)と呼ばれる機械で、文字通り青っぽかったし、機械から出て来た紙はうっすら濡れていて臭いもした。そういう状況なのに、ゼロックスの複写機は白い紙に黒い文字がしっかりと出ていた。それに、専任のオペレーターがいて、自由に使うことが出来ない高級品だった。なにしろ、「複写する」ことを「ゼロックスする」と言う人が少数ながらいた。その頃、日本メーカーが作るゼロックスのような複写機は無かったと思う。

 

したがって、富士フィルムが米ゼロックスを買収するという報道は、大昔を知っている私や同年代の人にとって感慨深いものがあります。(ただし、米ゼロックスの買収は主要株主が反対しているので頓挫しそうです)なぜ米ゼロックスが買収されることになったかというと、ペーパーレス化で将来が見通せられないし、業績が芳しくないから。

 

写真フィルムや印画紙であれほど栄華を誇っていたコダックが消滅したのを目のあたりにすると、技術の進歩への対応を誤ると優良な会社であっても崩壊するのは速いと改めて肝に銘じなければならない。富士フィルムは、写真フィルムや印画紙の市場が急激に崩壊した経験があるので、今回は崩壊する前に米ゼロックスを買収して稼げるうちに稼いでおこうということかもしれません。長期漸減傾向の複写機は、写真フィルムや印画紙のように一気に消滅することは無い(と思う)ので、二十年くらい?は残り物に福があると思う。

 

日本の子会社がアメリカの元の本社を買収するという話を聞くと、セブンイレブン・ジャパンが米国セブンイレブン(経営していた会社名は別の名前)を買収したのを思い出します。この時も米国セブンイレブンの業績は悪化していた。

 

ここで取り上げたリコーと富士ゼロックスに共通しているのは、複写機のメーカーということで、紙に記録するということ。(国内三大複写機メーカーのもう一社はキヤノンですが、こちらは他の事業で何とかやっているようです)

 

私が学生の頃から「ペーパーレス」がお経のように唱えられていました。最近は当たり前になったのか、「ペーパーレス」という大きな声は聞こえてきません。そして私のような古臭い人間にも、実生活で「ペーパーレス」が進んできたと実感できるようになった。一つの事業の寿命は30年(若干前後するのはいろいろ事情があるため)と言われていますが、その通りだと思う。

  

そのペーパーレスの話は次の回ペーパーレス その2 ペーパーレスは40年かけて家庭まで」で。

 2018.05.22

 


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