安倍首相はかって「トリクルダウン」と盛んに言っていたが、途中から言わなくなった。
「トリクルダウン」に関して、以下のブログにも書いています。
2023年5月19日の「違う方向から風が吹く? 首相襲撃事件」
「トリクルダウン」とは?
野村証券の証券用語解説集に「トリクルダウン」の説明がある。それを引用すると
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「トリクルダウン(trickle down)」は浸透を意味する英語。トリクルダウン理論とは「富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される」と主張する経済理論。
この理論は開発途上国が経済発展する過程では効果があっても、先進国では中間層を中心とした一般大衆の消費による経済市場規模が大きいので、経済成長にはさほど有効ではなく、むしろ社会格差の拡大を招くだけという批判的見方もある。
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野村証券はその性格上、「トリクルダウン」を支持しているかと思ったら、意外と辛口ですね。
また、FPコンサルオフィス(株)のホームページには
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富裕層や大企業が優先的に豊かになるようにし、そこから恩恵がしたたり落ちてきて、一般庶民にも広がっていくという話です。
しかし、富裕層や大企業がお金を貯めこまずに、金融商品等に投資をせずに、実物投資・消費をすることが必要になります。
現実はご承知の通り、大企業は「内部留保」「自社株買い」等の現金保有にまわしていっていますし、富裕層もそうですね。
株式の儲けは株式に、投信の儲けは投信に、と金融商品(株式・投信等)へまわっていっています。
そもそもゼロ金利下では実物投資への期待はできないでしょう。
トリクルダウン支持者は、直接利益を受ける財界人です。
そこから献金を受ける政治家。
そのような階層です。
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と、こちらも辛口です。フィナンシャル・プランナーの会社なので、てっきり支持していると思ったけど、こちらも否定的。
安倍首相のブレーンも間違いを認めた
安倍首相のブレーンで、内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授も自身の間違いを認めています。2023年3月14日の 東京新聞の記事「『賃金上がらず予想外』アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…『望ましくない方向』」のインタビューで、
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「賃金が上がらなかったのは予想外。私は上がると漠然と思っていたし、安倍首相(当時)も同じだと思う」と証言した。大企業の収益改善を賃上げへとつなげる「トリクルダウン」を起こせなかったことを認めた。
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と書いている。
また、
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「賃金がほとんど増えないで、雇用だけが増えることに対して、もう少し早く疑問を持つべきだった。望ましくない方向にいっている」と懸念を口にした
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と記事は書いており、浜田名誉教授も反省を口にしています。
岸田首相も「トリクルダウン」を否定
また、この記事では、
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財務省の法人企業統計によると、実際に2012年度から21年度にかけて経常利益は73.1%増えた。しかし同じ期間で人件費の伸びはわずか4.9%で、設備投資も期待されたほど伸びず現金・預金が積み上がった。岸田文雄首相も今年1月の会見で「この30年間、想定されたトリクルダウンは起きなかった」と述べた。
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会社の儲けは積み上がったが、人件費は増加せず、設備投資も伸びず、結果として現金・預金が積み上がっただけの30年間でした。
岸田首相は「この30年間、想定されたトリクルダウンは起きなかった」と言っているので、起きなかったのは確実です。岸田首相は、案外率直ですね。安倍派に気兼ねなく言っている。
自民党の党是は達成
自民党政権下では、確実に富裕層が増加しています。特に安倍政権下では、「トリクルダウン」という口実を付けて富裕層を増加させました。この富裕層の増加は竹下首相の時代から(もっと前からかもしれない)の自民党の政策で、この政策だけは達成しています。このことは、
2014年09月18日の「竹下首相の思い出 ~ふるさと創生と所得格差拡大~」
に書いている様に、自民党の大っぴらに口に出来ない昔からの政策です。
ところで、竹下首相の孫というTVタレントがいますが、彼の髪の毛の1本くらいは、私の親が払った税金で生えていると思います。
2024年4月17日