教室の受講生さんではありませんが、ブログにご質問をいただいたので、これを機に、
今日は、冠詞、特に茅ヶ崎英語教本の冠詞について、お話します。
冠詞については、以前にも一度、記事をアップしていますが、
今回は、考えるきっかけとなるとても良い疑問をぶつけてくださった方がいるので、
もう少し踏み込んで話したいと思います。
その前に、以前にブログでお話したことをおさらいしておきます。
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冠詞は、読み手と書き手(聞き手と話し手)の関係、背景が大きく関係するため、
一文だけ抜き出したテキストなどでは、あまり参考になりません。
ただし、the United Statesや、the Netherlands, the Pacific Warなどのように、
固有名詞などで定冠詞が決まってつく場合は、状況にかかわらず、定冠詞"the"を使います。
毎回授業で行う、ニュースリスニングでは、冠詞が重要な意味を表します。
「先に言ったことを指すときにつくthe」が、聞き取りの重要なヒントになります。
最初に、国の機関の名称や企業名、団体名、たとえば、
警察庁(National Police Agency)、トヨタ(TOYOTA)、国連(the United Nations)などが出てきたあと、
再度、同じ組織のことを言うときには、通常、同じ言葉を繰り返したりしません。
代わりに、the agency, the company, the organization などのように
一般的な単語に "the"をつけることで、先ほどの組織を指しているんだ、と気づきます。
これが最も重要な冠詞の役割の一つです。皆さん、知っているのですが、リスニング
や、長い文章を読んでいるときに、見落として文意を取り違えてしまったりすることが
あります。名詞そのものは言い換えになっていても、theがついていることが同じ
ものを指していることを示していることがよくあります。
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はい、
ではさらに、教本の例文について、踏み込んで、考えてみましょう。
まず、ご質問いただいたので、Book2、Unit1の10番
The opening game of the probaseball pennant race attracted a capacity crowd of
55,000 fans at the ballpark.
教本に出てくるExerciseの文は、一文ずつ独立していますが、
もともとは、ニュースで使われた文ですから、いずれの文にも事実が背後にあります。
「プロ野球のペナントレース開幕戦は、その野球場で5万5千人の満員の観客を惹きつけた。」
定冠詞 "the"は、書き手(話し手)も読み手(聞き手)も知っている「その○○」
と言えるときに、使われます。
the ballpark
さて、5万5千人収容する野球場といえば、現在では、甲子園と京セラドーム。
おそらく、甲子園球場のことでしょうね。
the probaseball pennant race
そのプロ野球のペナントレース・・・聞き手も話し手も、どのレースかわかってます。
The opening game
この年の開幕戦は、阪神と、相手はどこのチームかな?
などと思いを巡らしながら、このセンテンスを読んでください。
そうすれば、生き生きとした一文になります。
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例文2つ目です。Book1のUnit2、15番
Japanese fishing boats are not allowed to operate within the country's 200-mile zone.
ちょうど昨日までのC1クラスの授業で学びました。
「日本の漁船は、その国の200マイル水域内で、操業することを許されていない。」
という意味ですが、この "
the country" は、どの国でしょうか?
おそらく、ロシアかなって思いますね。
北方領土周辺の海域で日本の漁船が漁をしていて、ロシア領海を犯したということで
拿捕されたり、攻撃されたりと、過去にニュースになっています。
ほかにも、 "
the four northern islands" といえば、北方領土だなとわかります。
択捉、歯舞、色丹、国後の四島ですね。
背景がわからないと、theの意味も確かにわかりませんが、
これは、茅ヶ崎教本の難点でもあると同時に、私は大きな魅力だと思っています。
一般の参考書のように、一文だけ例文が書かれていて、誰でもわかるように背景のないものであれば、説明は単純明快にできるかもしれません。
普通は、テキストとして、文句を言われないようにそのように作られます。
でも、そんなぶつ切りの例文を読んでも印象に残りませんし、そもそも、
現実の場では、一文だけ切り離して、書いたり話したりすることは、絶対にあり得ません。
勉強していると忘れがちですが、言葉にはかならず背景があり、ストーリーがあるはずです。
それを抜きにしては、コミュニケーションは成り立ちません。
学ぶときの姿勢は、英語力を身につけたときに、本当の意味で有効なコミュニケーションができるようになる重要なポイントです。
受験やTOEICなど、試験慣れしている私たちにとっては、合っているか間違っているか、ということに注意が行きがちですが、問題は、合っているか間違っているか、ではなく、正解はいくつもあって、それよりも、そのように言うことで、
何を伝えたいのか? 何が伝わるのか? が重要です。
みなさんは、そういう思いで、教本の例文をぜひ読んでください。
★やすたけさん、疑問を書き込んでくださってありがとうございました。
多少なりともヒントになるような回答ができていれば幸いです。
まだ、分詞の件など、ご質問すべてに回答していませんが、別のテーマですので、
また次の記事として掲載します。
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