ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

ありがとう、谷亮子選手!

2008年08月10日 | Weblog
北京オリンピックが開幕した。

「ママでも金」の期待を背負った谷亮子選手は、残念ながら銅メダルだった。
きっとこのあと、メディア等では賛否両論の報道がされるんだろうなぁ。

でもさ。
冷静に考えたら、すごいことだよね。
彼女は、10代の頃から5大会連続出場で、全てメダルを獲得している。
オリンピックっていったら、本当は、出場するだけでも大したものなんだから。
まして、産後、ですよ。
ふつうなら、現場復帰そのものが、難しいでしょう。
いろんなことを言う人がいると思う。
子持ちなんだから、そこまでしなくても、とかね。

3位決定戦で勝った直後に、観客席のお母さんの姿が映し出された。
あれ? お子さんはどうしてるんだろう? 
日本に置いてきたんじゃないの?
誰が面倒見てるの?
職業柄、ついついそんなことまで気になってしまった。
その後、お子さんが40度の発熱のために帰国を早めたと報道があった。
報道によれば、試合中にお子さんは高熱で入院していたのだそうだ。
心配させないように彼女には入院のことは伝えていなかったそうだが。

そうかぁ・・。連れてきてたんだ。
なら、なおのこと、すごい! と感心してしまった。

準決勝で判定負けしてしまった時の、淡々とした表情。
(悔しかっただろうに)
3位決定戦で一本勝ちした後のインタビューで、
「力は出し切りました。ありがとうございます。」と毅然とした表情できっぱりと言い切り、
でも一瞬見せた笑顔の奥に、彼女の思いの全てが込められていたように思う。

微妙な判定に対する不満を口にするでもなく、悔し涙で表情を崩す訳でもなく、淡々と語る。
その精神力って、すごい! と、心から思う。

ママになっても頑張れば、誰でも「谷亮子」になれる、なんてことは勿論思わない。
彼女はおそらく、特別の能力を持っている。

でも、「ママになっても」自分の柔道を続けてきた谷亮子選手に、心から敬服する。
メダルは銅だけど、どんな金メダルよりも輝いてると思う。

子育てしながら働いているお母さんたち、どう思った?
あの人は特別。自分とは関係ない、って思う?
わたしはそうは思わないよ。
きっと、みんな、気持ちの上では、毎日があの谷亮子選手の試合と同じじゃない?

彼女の試合やインタビューの映像を見ながら、
毎日外来でお会いするお母さんたちの顔が浮かんで、なぜか涙が出てしまった。