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残星を抱く 矢樹純

これまで読んだ著者の本は短編集だけだったので、長編はどんなだろうと思いながら読んだ一冊。幼い娘を気遣いながら暴走するあおり運転の恐怖に立ち向かう気丈な主人公というスリリングな場面から始まる本書は、いくつもの予想外の事実が読者を驚かせるところはこれまでに読んだ短編と同じテイストだが、最後まで息の抜けない展開の連続、徐々に真相に迫っていくところは、長編ならではという感じで新しい著者の魅力が出ている気がした。冒頭のあおり運転の場面が全体の中でどういう意味を持つのか、少しずつ明らかになっていく20年前の主人公の父親の事故死の真相など、途中で消去法と意外性から真犯人については何となくわかってしまったが、著者の短編のような鮮やかなどんでん返しとは違うジワリとくる小説の醍醐味を味わうことができた。(「残星を抱く」 矢樹純、祥伝社)
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