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カラス屋、カラスを食べる 松原始

 著者の本は2冊目。鳥類学者の本と言えば川上和人の本が面白くて何冊か読んでいるが、川上和人に限らず何故か鳥類学者の書いた本は面白いという説を聞いて読んだ一冊目がその通りに面白かったので、もう一冊読むことにした。本書には、著者の大学院生時代の体験が主に書かれていて、大半は著者の専門である鳥やカラスとは関係ない内容なのだが、確かに面白い。本書を読んで思ったのだが、鳥をはじめとする動物行動学のフィールドワークは、本当に地道な作業が多く、本書によれば1日大変な苦労をしてその日の成果が「鳥のフン1個」ということも珍しくないらしい。こうした作業を行う時に、その作業を少しでも楽しくするために、色々なものにあだ名をつけたり、対象となる動物を擬人化したり、勝手な妄想を楽しんだりということなのだろう。厳しい研究をユーモアで乗り切る姿勢が染みついているのでその文章も自然と面白くなるということではないかと思った。本書のなかでは、クマタカのアセスメント調査のところで、クマタカの生息が確認されると開発が中断になるのは、クマタカを保護するためというより、クマタカが生息できるような希少で豊かな自然を守るためという記述になるほだなぁと感心してしまった。(「カラス屋、カラスを食べる」 松原始、幻冬舎新書)
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