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22世紀の民主主義 成田悠輔

若者に絶大な人気の著者の最新刊。読み進めていって本当にすごい人、すごい本だなぁと感じた。本書は、現代日本の閉塞は比較的良いとされてきた「資本主義(進歩の原動力)と民主主義(暴走を抑える手綱)の組み合わせ」が、民主主義の劣化(扇動、分断、憎悪)により資本主義が暴走を始めたという現状認識の元、それに対する対応策を考えるという内容だが、その行き着く先が衝撃的だ。選挙制度の小手先の改革(議員や有権者の定年制や年齢制限、議員への成功報酬制度など)、民主主義の放棄といった選択肢の限界を次々と提示し、最後にありうべきものとして残るのは、様々なデータから人々の無意識の要求やあるべきと考える未来像を抽出しその民意を制度や法律に落とし込む「無意識データ民主主義」だと説く。副題に「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」とあるように、そのような社会では、選挙という制度はなくなるか残っても政策立案制定のための数多くのデータのごく一部になり、政治家の役割は好感度を受け持つネコと嫌悪感を担うゴキブリで代替可能になるという。22世紀の日本や世界がどうなっているか自分に確かめる術はないが、そんな世界もありうるし悪くないかも、100年後か50年後に本書が偉大な予言の書になっているかも、と思ってしまった。(「22世紀の民主主義」 成田悠輔、SB新書)
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