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密室ミステリガイド 飯城勇三

古今東西の密室ミステリの名作50作品のあらすじ、密室の種明かし、解説からなる一冊。目次を見ると半分以上が未読の作品なので、種明かしを読んでしまって大丈夫かと少し心配だったが、杞憂だった。むしろ、密室ミステリについて少し懐疑的というか、犯人が密室にする必然性やメリットが感じられずさほど好きなジャンルではなかった自分にとっては目からうろこ、案外面白そうな世界だなぁと認識を新たにさせられた内容だった。作者の目線、犯人の目線、読者の目線を様々に想定し、エンタテインメントに徹する。そうした作家の意図が伝わってくる解説にワクワクし、このジャンルがそういう読み方で楽しまれてきたと気付かされた気がする。犯人探しを撹乱させる密室、偶然の密室、そもそも密室ではなく読者がそう思い込んでいるあるいは思い込まされている密室など、そのバラエティは想像を超える。特に面白かったのが、衆人環視の中で空中に人が舞い上がって殺されるカミ作「黒い天井」、結末の欠落したミステリー作品の真相を推理する「凶漢消失」の2編。ここまでとんでもない発想でおちょくられると、むしろ清々しい気さえするだろうと思った。(「密室ミステリガイド」 飯城勇三、星海社新書)
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