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美貌の人ー歴史に名を刻んだ顔 中野京子

古今東西の絵画の中から美男美女が描かれた24作品を選び、その人物や作品の時代背景を解説してくれる本書。通常、美男美女が描かれるためには、そもそもモデルが美貌であること、描き手がモデルに悪意を持っていないこと、描き手にそれなりの技量があることなどが条件となるだろう。こうした条件があるため、これらの作品には色々な物語が伴いやすいに違いない。昔読んだクイズの本に「A社のテレビに映ったB社のテレビのCMが綺麗だった場合、A社のテレビを買うべきか、B社のテレビを買うべきか?」という問題があった。正解は「どちらでも良い」だったと記憶しているが、絵画の場合は、モデルが美貌でなくても画家の力量でどうにかなってしまう。従って、確実に言えることは、画家がその人物を美しく描いたことに何らかの理由があるということだ。それを教えてくれている、それが本書の真骨頂だ。(「美貌の人ー歴史に名を刻んだ顔」  中野京子、PHP新書)

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