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駅物語 矢野帰子

ある特殊な事情を抱えながら、東京駅の駅員さんになった新人鉄道員の物語。読んでいると、駅員さんの仕事がどんなもので、どんな苦労や悩みがあるのか、といったことが色々と分かってきてとてもためになる。その意味で、本書は大きな括りでお仕事小説といってよいだろう。とにかく、身近な存在で毎日見かけたりしていて、時々お世話になったりしている有り難い存在なのに、彼らについて何も知らずにいる自分に気づく。改札口で駅員さんに質問をするとサッと答えてくれるという事実の裏にどのくらいの知識の蓄積があるのかを考えると本当に頭の下がる思いだ。お仕事小説を読んでこんな感謝の気持ちを強く持つというのはなかなかないことだと思う。(「駅物語」 矢野帰子、講談社文庫)

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