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古書店アゼリアの死体 若竹七海

最近ようやく入手した著者の初期の作品。主人公はやや対照的な2人の女性。そのうちの一人は、色々な不運が続き、憂さを晴らすため、海に向かって「バカヤロー」と叫ぶために海岸に行き、身元不明の死体と出くわす。もう一人は色々苦労はしながらも地元の仲間と楽しく明るく暮らす女性。個人的には、本書の白眉は、後者の方の主人公が、たまたま来たところで事件に巻き込まれたもう一人の主人公に「海に向かってバカヤローと叫ぶと良い」と諭す場面だと思う。著者はこの場面が書きたくてこんな話を作ったのではないかと思うくらい絶妙な面白さだ。話は、時には静かに、時にはコミカルに、時には急激にと色々な様相を見せながら進み、最後の幾重にも重なった捻りにはお見事と言うしかないだろう。(「古書店アゼリアの死体」 若竹七海、光文社文庫)

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