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今宵、バーで謎解きを 鯨統一郎

ギリシャ神話に造形の深い女性がバーで話題になっている事件の謎を解くというかなりべたな設定のミステリー短編集。1つ1つの作品が短いうえに、前半部分は、お酒に関する薀蓄と、中年男性の子どもの頃の思い出話に終始し、事件の概要の説明と謎とき部分はほんの20ページくらいにすぎないという感じだが、短い割には色々嗜好がこらされていて楽しく読める作品集になっている。一方、探偵役の女性が語るギリシャ神話の方は、話に花を添える程度のもので、薀蓄というほどのものではないが、これはこれで良いかなという感じだ。いくつもの特徴があり、それぞれがうまく話に融合していて、ある意味少し贅沢な作品といえるだろう。(「今宵、バーで謎解きを」 鯨統一郎、光文社文庫)

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