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レイクサイド 東野圭吾

登場人物は14人。そのうちの1人が殺される。犯人は早々に自白してしまうが、そこから奇妙な展開になる。その殺人事件の発生を知る登場人物全員が、何故かその犯人を庇い、事件そのものがなかったことにしようと振る舞い、犯行の隠蔽工作に加担する。驚いたことに、本書の主人公と思われる人物も例外ではない。この奇妙な状況は、有名なミステリーの名作を思わせるが、やがて話はさらに思わぬ方向に動き始める。登場人物たちの異様な行動の裏に隠された事実には、そういうことだったのかと驚かされる。ミステリーでありながら、読んでいてどこの時点で真実に行きつくかを楽しむというミステリー本来の読み方が想定されていない異色のミステリー。著者は、「容疑者Xの献身」「聖女の救済」などにみられる「2度と使えないトリックを使った唯一無二のミステリー」をいくつも書いているが、本書もその1つ、であり、その意味で傑作の1つに数えられるだろう。(「レイクサイド」 東野圭吾、文春文庫)

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