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脳機能の回復予測:ケースその2

2018-03-05 | 勉強会
 
みなさん、こんにちは。


今回は心停止後のケースその2です。
 
 
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症例 65歳男性 会社社長
 
心疾患で通院中。
 
今回は朝の通勤中に歩道で突然倒れた。
 
目撃者により、意識反応・自発呼吸・頸動脈拍動がないことが確認され、バイスタンダー心肺蘇生が直ちに施行されたが、近くにAEDは無く、心肺蘇生を継続施行し、その後数分で心拍が再開した。
 
その後、救急車にてERへ搬送された。搬送中、自発呼吸は無かった。
 
既往歴 5年前の陳旧性心筋梗塞。内服薬は、ACE阻害薬・ベータ遮断薬・亜硝酸薬。
 
身体所見 血圧 140/90 mmHg 心拍数120/min 体温35.5
 
意識レベルJCS300
 
瞳孔両側散大で対光反射は陰性。
 
貧血、黄疸なし。頚部硬直なし。心音正常。心雑音なし。
 
腹部は軟かく圧痛なし。四肢に浮腫なし。
 
検査所見 胸部X線写真異常なし。心電図では洞性リズムでPVCが多発していた。
 
 
 
その後の経過 「心室性不整脈が原因の心停止」の診断でよいだろうと考えた。
 
今後の脳機能の回復の見込みはどうなるかと考えた。
 
今後の社会復帰には高次脳機能の回復が必須だからである。
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ここで前回参照した論文を確認しましょう。
 
 
 
 
 
このケースのER来院時所見に当てはめてみると以下となります。
 

[1].   心疾患が原因

[2].   バイスタンダーCPRの施行 

[3].   ER到着時に対光反射なし

[4].   ER到着時に自発呼吸なし
 
 
 
ということで、残念ながら今ケースでは2項目しか満たしていません。
 
 
 
入院後の経過を注意しながら、脳機能の回復をみていくことになりますが、GP-CPCクラス1までの回復はそれほど期待できないかもしれません。
 



写真   佐敷小学校の庭

 

 

 

 

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