真珠子学園

真珠子主催の活動公式公開日記。
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おばあちゃんの家

2009-07-04 03:30:57 | つぶやき
「サンダカン八番娼館」を読み終える。
この底辺女性史の最たる記録を読んで
「すべての仕事は売春である。」と誰かが言っていたのが
わかったような気がした。
からゆきさんのことを最初、好奇心から知りたいと思い読んでいたけど、
読み進めていくうちにワクワクは、徐々に重く悲しい気持ちになった。
この本は、悲劇を伝えていた。
天草はとにかく貧しかったということ、そのためにキリシタンの乱や、
からゆきさんを産んだということ・・・。
わたしは、多感な時期に過ごした天草で、どうして夢二や華宵が
琴線に触れたのかわかった。

何枚か写真の中に混血児の写真もあった。
その時、言いしれぬ複雑な気持ちに襲われ、鏡で自分の顔をのぞいた時、
本の中の惨然たる描写を思い出して、身震いした。
わたしの祖先もこんな辛い思いをして生き、そしてわたしまで
繋がっているのではないか、という恐怖。



母から電話があった。
「おばあちゃんの家、取り壊すから。」
ということだった。
あああ・・・ここ数日呼ばれていたのはこれだったのかと
納得した。
悲しい。ずっと反対してきたのに・・・
でももう老朽化激しく、維持費、修繕費がたくさんかかる、と
言われたら、何も言えない・・・
無力・・・
おばあちゃんが上海で女中奉公して貯めたお金で建てたお家。
わたしは、べつにおばあちゃんと何か約束をしたとかなくて、
それどころか言葉すら数回しか交わしたことはないのだけれど、
わたしは、なぜだか守りたかった。
でもわたしは、家を出た人間だからなぁ。
何も言えない。
管理してる人には事情がある。
そうやって少しずつ故郷が変わっていく。

でもわたしには最初からそこに居場所なんてなかったんじゃないか。
だからわたしは、居場所を探しにここ東京に来た。
おばあちゃんの家を描こう。
描けば永遠に壊されることはない。描いて守る。


写真は、去年撮影。
この縁側で、わたしは初めて、ガーター編みを習ったり、針と糸を持ったり、リカちゃん人形のスカートの中を覗いたり、靴を脱がせたら足先が尖っていてびっくりして思わず噛みついて歯形がついたり、ベビースターラーメンに水をかけておままごと用のピンクのプラスチックの茶碗で食べたり、草をみじん切りにしてバッタも一緒に刻んだり、おたまじゃくしに松の葉で注射してオレンジ色のものが出てきたり、おしっこしたり、カブトムシを呼んだり、ピンクのつつじの花を摘んで連ねてひもを通して首飾りを作ったり、しいたけを栽培したり、竹馬の練習をしたり、松の木の間でピンクのドレスを着て記念撮影をしたり、餅つきをしたり、どらねこを追い払ったり、蚊に刺されたり、ムカデが足の指の上を通過したり、西瓜を食べたり、塗り絵をしたり、あやとりをしたり、童話を読んでもらったり、ずいずいずっころばしをしたり、寝たりした。
木目が筋張っていて、ひんやりしていた。



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