後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「ドイツ人の誇りのシュパチーレンの趣味」

2024年04月22日 | 日記・エッセイ・コラム
皆様は近所を散歩なさいますか?公園を散歩しますか?
昔ドイツに住んでいたとき驚きの光景を見ました。ドイツ人は襟の小さい背広にネクタイを締めた姿で森の中を真面目な顔をして歩くのです。これをドイツ語でシュパチーレンと言ってドイツ人が誇りに思っている趣味なのです。郊外の森や葡萄畑の中にシュパチーレン専用の道が続いています。正装した男たちや夫婦が無言で歩くので静かです。

今日は平凡な散歩の趣味について書いてみようと思います。
さてその前に散歩以外の趣味のいろいろを見回してみましょう。本当に色々あります。
海を帆走するヨットの趣味や、登山などの趣味は厳しさがあり克己心を必要とします。
猟犬とともに銃を担ぎ人跡まれな山に入り彷徨する趣味もあります。老境が近づいても大型バイクに乗って山郷の山岳ロードを走る趣味もあります。
一方、文学作品を読み、分野を絞って研究して楽しむ趣味もあります。詩や和歌、俳句などを作って楽しむ趣味、音楽の演奏や美術の創作、鑑賞もあります。どれも知的な作業が必要です。
私は趣味とは特別な非日常の世界に遊ぶという性質があり、努力と集中力が必要だと信じていました。
しかし80歳を過ぎ体力も知力も無くなると日常的な平凡な散歩が味わいの深い趣味になることに気がついたのです。そして昔ドイツで覚えたドイツ人の誇りのシュパチーレンの趣味を思い出しのです。
日本ではシュパチーレン専用の道は広い公園の中にあります。
その趣味では人生の平凡な時間のうつろいを大切にして、自然を愛し周囲の人の幸せを想います。
そこで近隣でドイツの森の中のシュパチーレン専用の道に似たところを探しました。
その一つに大木が沢山茂っていて大きな樹々の下に散歩道が何処までも続いている公園がありました。
その公園は埼玉県の秋ヶ瀬公園です。自分で撮った写真を示します。




この公園は荒川の北側の河川敷にあり非常に広大なのです。東端には田島が原という日本サクラソウの原生地があります。
巨大なプラタナスやユリノキやメタセコイヤの樹木が亭々と聳えています。その樹々の下に散歩道がえんえんと続いています。空気が新鮮で空が高く広いのです。
こんなに広い公園は首都圏では都立水元公園と国立昭和記念公園しか知りません。
公園の広さを示すために公園内の施設をご紹介します。
軟式野球場11面、ソフトボール場6面、サッカー場2面、ラグビー場1面、テニスコート22面、バーベーキュー場50区画、977台分の駐車場などがあるのです。
しかし公園があまりにも広いので散歩していてもこれらの施設は樹々に隠れて見えないのです。
見えるのは芝生の広場と大きな樹木だけなのです。
そんな樹木の中を歩いていると自然に人生のあれこれを想います。邯鄲の夢と思います。そして人生で一番大切なことは何かと考えます。
そうして自然を愛し周囲の人の幸せを想うことが非常に重要なことだと思うのです。
老境に至って初めて散歩の趣味の楽しさが分かりました。しみじみと分かったのです。
以前は仕事に打ち込むこと、仕事の上で素晴らしい成果を上げることが重要だと思っていたのです。自然の美しさを深く理解していませんでした。家族や友人を大切にするのを怠って自分の専門分野に埋没していたのです。それは恥ずかしい生き方でした。公園を歩きながら樹木の姿を見ているとしみじみそう思います。
「公園の散歩」も趣味として味わい深いと感じたのです。これも体力も知力も衰えたおかげで理解出来たことです。
ですから日常的で平凡な趣味の中にも人生の大切なものが隠されていると気が付きました。
昔見たドイツのシュパチーレンの趣味も理解出来たような気分になりました。
賢い方々はそんなことを始めからご存知です。愚かな私の独り言を書いたに過ぎません。失礼しました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)

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