スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(アメリカ経済の不思議)

2023-08-13 11:38:01 | 日記
8月13日(日)
 カリフォルニアやニューヨークから万人単位で富裕層が逃げ出しているそうである。彼らはフロリダとかテキサスへ行く。重税、ホームレスと犯罪の増加、人種対立などで住めなくなっているとの話だ。富裕層は移住できるから良いが苦しいのは、富裕層と意識を同じにする、中間層(つまりはまともな人たち)だ。我が身に置き換えてみればよく分かるが、しがない勤め人にとって、今までのキャリアと資産を捨てて移住する事は、簡単にできる話ではない。
 ネットで読む限りだがカリフォルニア州では950ドル以下の犯罪(例えば万引き等)は、微罪として注意を受けるくらいで済むそうである。この法律はカリフォルニア州の住民投票で決められた。950ドルは約13万円である。10万円前後の万引きが罪に問われないなら、殆どの小売店は倒産であろう。事実サンフランシスコではそういう事例が出ているそうである。だが全部の小売店が潰れた訳ではない。この法律は10年くらい前に制定されたそうだが、よく今まで小売店が持っているなあと感心する。法律上は微罪だが、何か別種の抑止力が付随しておりそれが万引き犯の蔓延を防いでいるのだと思う。
 この法律はそもそもカリフォルニア州で犯罪者が増えすぎて、刑務所が足らなくなったので、収容者の数を抑える必要が生じて、950ドル以下の犯罪者は刑務所に入れない事にする法律を作ったとの話である。そりゃあそんな所に、まともな人は住めないぜ。
 アメリカのジニ係数は0.38である。日本が0.33で、イギリス・フランスなどの先進国は大体このくらいで、アメリカは高いが、突出して高い訳ではない。しかしこれは所得再分配をした後の数値である。再分配前の、つまり税金とかを引かれない前の、生の所得額を比較したものではない。生のジニ係数もあるらしいのだがネットには出ていなかった。想像するにアメリカは生の所得格差が凄まじく、富裕層と中間層から取った税金を貧困層にばら撒いているから、再分配後のジニ係数はこんなものに留まっているのではないか。そして税金がどうも富裕層に甘く中間層に厳しいらしい。普通の人のアメリカ移住は勧めないというネットをよく見る。
 日本で限られた情報に接しているだけだから本当の所は分からないのかも知れないが、富裕層は除いて、アメリカは非常に暮らしにくい社会だと映る。日本が失われた30年を過ごす間にアメリカは、GDPが三倍くらいに増えたと聞く。それだけ経済が発展しているのに、貧困層が麻薬に走り万引きにいそしみ刑務所がパンクするとは、一体どう理解したら良い話なのだろうか。富裕層と貧困層の相対的格差は開くにしても、貧困層が絶対的に、益々食えなくなるというのを見ては、アメリカの経済発展とは何だろうかとの疑問がわく。