スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(ふざけたテレビ)

2018-07-03 13:00:31 | 日記
7月3日(火)
 ぎっくり腰最中に見たテレビ番組だが、どうにも我慢が出来なかったので書く。番組は「こんな立派な日本人」(バラエティー形式で、題名は正確に覚えていないが、立派な日本人を紹介する再現映像をゲストともども見る)というもので、板東俘虜収容所の松江所長のヒューマニズムを喧伝していたが、その紹介の仕方が極めて悪質なもので腹が立ったのだ。つまり番組は、軍の捕虜への超厳格管理方針に反対して、松江所長が個人的な決意から人道主義を発揮した、そこが偉いと描いていたのだ。極めつけは軍が板東捕虜収容所への食糧停止をしてしまい、松江所長が自活方針を取って生き延びたという、白髪三千丈もびっくりのお粗末な創作個所だ。これなど本当に小学生の作文以下のもので、もし軍が本当に食糧停止などしたらハーグ条約違反として国際社会から凄まじい非難を浴びていたことだろう。皇道派の巨頭として有名な真崎甚三郎は久留米収容所の所長をしていたが、大正天皇の誕生日だったかに特別に支給した葡萄酒などの嗜好品を、二人のドイツ軍将校が敵国元首の誕生日を祝うことはできないとの理由で受け取りを拒否したことに腹を立てて殴打したが、当時まだ中立国だったアメリカに捕虜虐待とねじ込まれて更迭されている。
 松江は(軍に反逆した筈の)所長時代に大佐に昇進し、第一次大戦後は歩兵連隊長を務め、少将で予備役編入となった。軍の方針に逆らったのならこんな昇進はしないであろう。
 番組の中で収容所の日本軍人が捕虜を虐待する場面が出てきて、そこにゲストのユースケ・サンタマリア(だと思う)に、「当時はガチガチだったからな」とコメントを述べさせていた。ここで番組の悪質な意図があからさまになった。つまり日本軍はヒューマニズム無視の凶暴者の集団で、そこと対立しなければ日本人は人道主義を発揮できない、今はそんな対立をしなくてもヒューマニズムを発揮できる良い社会だ、昔に戻ってはいけない、そう言いたいのである。いや違うだろう。そんな一抹にせよ善意あるものではなく、とにかく戦前を暗黒化したくて、小学生も赤面する嘘をついているものだというのが正しい。
 私は板東俘虜収容所についてネット知識しかないが、当時の日本が外国の評判をとても気にしていたと分かる。松江所長は、番組の嘘とは180度違って、軍の方針に従って人道主義を施行したのだと思う。それにしてもこんなに程度の落ちる誹謗番組を作るとは、制作会社の人間は今や、少しでも、ものを考えるいうことをしなくなっているのか。
 日本人を顕彰するのに、嘘を言って同時代を悪くしなければ出来ないとは、製作者はなんと人間性に欠ける存在であることか。
 余談だが杉原千畝に関する報道にも、同時代を貶めて杉原を持ち上げる傾向をママ見る。ナチスドイツに殺害される恐れがあったとか、ビザ発行を理由に戦後外務省を頸になったとかいうものである。日独防共協定を結び友好関係にあった国の外交官を殺害などするものだろうか。ビザ発行が理由なら戦前頸にすればよい話で、戦後アメリカの管理下に置かれた日本が対ソ外交を狭めた結果、ソ連関係の外交官が削減されたということだろう。とにかく戦前の日本は悪で、多くの人が悪と対峙して、人間性を発揮したとの与太話は、人々に歴史の事実を誤解させようとする陰謀だと考える。