イーハトーヴ里山の樹木ウオッチング

岩手県の北上山地に住まいする私が四季を通してイーハトーヴの里山の樹木と自然と生活をウオッチング。

土神と狼

2010-06-16 18:28:30 | 賢治さん

 東北北部も今日あたりから入梅だそうです、しばらくはじめじめした天気が続くようです、たまのの雨なら骨休めになっていいのですが、程々にしてもらいたい物です。

 さて、タイトルの「土神と狼」はご存知の方はご存知と思いますが(私は読んだ事が有りませんでした)宮沢賢治さんの童話ですね、その話の中に出てくる「綺麗な女の樺の木」についての考察です。
 幹はてかてか黒くひかり、枝は美しくのびて、5月には白い花を雲のようにつけ、秋は黄金や紅色やいろいろの葉を降らせました。
 
こんな文章が綺麗な女の樺の木のことを表しているところですが、樺の木は5月に白い花を雲のようにつける訳が無いですよね、そんな事からカバ細工に使われているのはヤマザクラだから「ヤマザクラ」だという説が有力のようです。
 何でこの話になったのかは野鳥の会の会員で宮沢賢治の研究をしていらしゃるnenemu8921さんのブログを見てください。

これは「オオヤマザクラ」の樹皮です。
確かに黒いですがてかてか光っている訳ではないですね。
白い花を雲のようにつける?

これは「ウワミズザクラ」の樹皮です。
白い花を雲のようにというところではこれかな?

これは「ウダイカンバ」=「マカンバ」の樹皮です。
「桜の家具」はこの木がよく使われています。
樺細工にしても桜の家具にしてもごっちやになっているようです。

 こんな事かなーと思われる説があったので次を読んでください。

 ウダイカンバやオオヤマザクラの樹皮を意味すアイヌ語=karimpa=カバ
日本語のカバの語も必ずしもシラカバ属の木に限らずチョウジザクラなどの桜の仲間を含めた物の樹皮をいう。

 どうですか「チョウジザクラ」なんて樹皮から言えばいいかなーと思いましたが、しかし花は白いというよりピンクかなー。
 樺の木と有るけれどいわゆるシラカバやダケカンバやミズメ(ヨグソミネバリ)などの樺の木ではないようです、そしてヤマザクラというのもイマイチですね。
 樹皮の写真がないのが残念ですが、もしかすると「シウリザクラ」の若い木?「それはそんなに大きくは有りませんでしたが」と文中に有る事から「シウリザクラ」の若い木なら「黒く光る」はいい表現ではないでしょうか。そして「白い花を雲のように」というのも頷ける。シウリザクラは別名ミヤマイヌザクラ・シオリザクラと言われていますがウワミズザクラともよく似た樹木です。
 賢治さんの童話の内容をそっちのけで能書きを並べてしまいましたが、もう一つこんな樹木も候補に入るかな?

「イヌブナ」の花、たれた雄花序は白い綿のようです。

樹皮はクロブナと言われている様にブナよりも黒いです。

しかし今となっては確定するにも本人には聞けません。
ドントハレ!!


宮沢賢治と鳥っこ展

2008-08-05 16:33:21 | 賢治さん


 先日、盛岡まで足を伸ばして、「もりおか啄木・賢治青春館」という所に行ってきました。

 こじんまりした建物ではありますが「国指定重要文化財」に指定されてるだけあっていい感じでした。

 明治43年に竣工した旧第九十銀行を保存活用して石川啄木と宮沢賢治が青春を送った盛岡の町を紹介しているミュージアムといったところでししょうか。

明治時代の銀行とあって窓も鋼鉄で出来ていました。

階段と手摺

右から賢治さん、啄木さん、高村光太郎さん

 さて本題ですが、ここで常設展のほかに企画展示として「宮沢賢治と鳥っこ展―目で見る賢治鳥類学―」をやっています。
 ⇒ 賢治作品に出てくる鳥の写真と文中の言葉を引用して紹介する企画展示です。

 『賢治の時代、鳥とは、食べる物、狩猟する物、籠に入れて飼うものでした。野鳥という言葉も概念もなく、入手しやすい双眼鏡や携帯便利な鳥類図鑑も有りませんでした。その上賢治がムクドリをモズとし、農夫がオオジシギをホドシギ呼んでいたように、鳥の名前も各地方で方言、標準語入り混じってそれぞれだったのです。
 その状況の中で宮沢賢治はたくさんの鳥を童話や詩に登場させて、ユニークに描きました。』(企画手展開催にあたってより抜粋-赤田 秀子)

 確かに賢治さんの時代に沢山の野鳥を観察してその特長とか習性を上手く作品に登場させたのはすごいことですね。一番心に残っているのはやはり学校の教科書で読んだ「よだかの星」ですか。ヨダカは標準和名ではヨタカだそうです。

 興味のある方は9月24日までやっているそうですからぜひ見に行ってください。
   盛岡市中ノ橋通り1丁目1―25℡019-604-8900
   http://www.odette.or.jp/seishunkan/

もう一つ、すぐそばに国の重要文化財がありました

こちらは現役の銀行でした。