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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

吉兆

2023年04月19日 | 学年だよりなど
3学年だより「吉兆」




 栗山英樹監督が日本ハムファイターズの監督時代のお話。
 2018年、春期キャンプに出発する飛行機が、故障のため2時間遅れることになった。
 「なんだよ、さあシーズンに向けてのスタートだ! という日にいきなりトラブルか、幸先が悪いな」……とは、考えなかった。




~ 思いがけず空港で足止めされるという現実を、どのようにとらえるべきか。
「なんで2時間も余計に待つんだよ」と、苛立ちを募らせるかもしれません。ここで私は、「遅れることで飛行機の整備がより完壁になる。我々が機内で快適に過ごせるように、一生懸命に準備をしてくれているに違いない。選手とスタッフを安全に目的地へ届けてもらうために、この2時間は必要なものなのだろう」と受け止めました。
 我々プロ野球の球団にとって、春季キャンプは一年の始まりです。元旦と同じようなものと言っていいでしょう。晴れやかな気持ちで迎えたその日に、私たち日本人は過ぎ去った一年に感謝し、これから始まる一年の心構えを固めます。飛行機が遅れたのは何かを示唆していると考えることができ、「ダメなものはダメだと表面化すれば、善後策を講じることができる。自分たちにとって不都合なことや困ることはマイナスではない。自分たちの未来に。プラスにできるのだ」と理解することにしました。
 北海道に本拠地を置く日本ハムファイターズは、ビジターゲームのすべてが飛行機での移動になります。天候不順に見舞われたりすれば、出発時間の遅れは避けられません。そのたびに気持ちを尖らせていたら、心の健康を害してしまう。春季キャンプでの飛行機の遅れは、「長いシーズンではこんなこともあるのだよ」と教えられた気がしました。吉兆とはそういう意味です。(栗山英樹『栗山ノート』光文社)~




 早い段階でのつまづきは「むしろプラス」という考えは、人生全般にあてはめられる。
 たとえば、子どもの頃から成績優秀でちやほやされ、そのまま最難関の最高学府を卒業し、国の中枢で仕事をはじめて、そこで初めて大きな挫折を味わう……ような人生を送る人はいる。
 われわれ一般人からみると何でもないような失敗が、「エリート」の人にはたえがたいもので、結果として犯罪を冒す、心を病むというような事例も報道されたりする。
 そう思えば、受験でもいい、部活でもいいい、失恋でもいい、若いうちの失敗体験は、プラスにこそなれ、マイナスだと考える必要はまったくない。
 大学入試でも、大きな失敗を模試の段階でやらかしておく方が安心だ。
 過去にも、順調な高3時代を過ごしながら、受験本番にかぎって大きなミスをした先輩もいた。
 今はできるだけいろんなタイプの失敗をしておくことが大事だろう。
 もちろんそのためには、まずチャレンジしないといけないし、失敗を失敗と認識できるだけの自分になっておく必要はある。

コメント
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