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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

時間感覚(2)

2023年04月15日 | 学年だよりなど
3学年だより「時間感覚(2)」




 「東京の時間と鳥取の時間があまりにも違っていてとまどっています。正直、苦しいです。どうしたらいいでしょうか?」
 後で考えると、めちゃくちゃにも思えるこんな質問を、小松先生は真剣に聞いてくれた。




~ 先生は僕の話を聞き終わると、自分自身で確かめるようにうなずきながら、こうおっしやった。
「苦しめばいいんじゃないかな」
 僕はすぐには言葉を返せず、思わず「え?」と口にしながら先生の言葉を飲み込もうとした。すると、こんなふうに補足してくださった。
「苦しむっていっても、君がいま苦しいっていうのは、自分の外側を流れてる東京の時間に無理して合わせようとするからだろう? それは君の中に流れてる鳥取の時間とは異なるわけだから、苦しくなるのは当然だと思うよ。そうじゃなくて、君は君の内側に流れてる自分の時間を生きればいい。好きなときに好きな本を読み、好きな場所で好きな人と会う。ただし、そうすれば必ず外側を流れる時間とはズレていくから、その狭間で苦しむことになるけれど、そういう苦しみなら、むしろ、徹底して苦しみ抜いたほうがいいと思う。そういう意味で、苦しめばいいんじゃないかなって言ったんだ」 (タカサカモト『東大8年生 自分時間の歩き方』徳間書店)~




 「自分の時間を生きる」――。この言葉が、その後に人生に大きな影響を与える。
 自分の時間を生きようとして、そのせいで周囲と軋轢が生じても、それはそれで受けとめようと考えるようになった。ときに「狭間の苦しさ」を感じたとしても、ムリしたり、もしくは逃げたりするのではなく、自分の時感を大切にしようと、タカサカモト氏は考えた。
 その結果、大学の卒業までは8年かかった。卒業後も、一般的な就職ではなく、その時々で自分を仕事を生み出す道を模索した。
 多くの人が働いている時間に休んですごし、人が寝ている時間に必死に何かに取り組んだりもした。
 その全てが正解だったかどうかはわからないが、自分で選択したという自信があるという。
 「誰にどう言われようと、それが僕の選んだ生き方だった。」
 時間をどう使うか、何にどれくらい使うかは、そのまま「生き方」だ(何回も言ってるけど)。
 前クールで放映されていた「ブラッシュアップライフ」を観た人はいるだろうか(テレビドラマの歴史に残る作品だった)。
 「生まれ変わり」をテーマにする作品で、主人公が二周目、三週目の人生を生きる。
 人生のやり直しはあるかもと、一瞬思ってしまうリアルさを感じたが、現実にはない(おそらく)。
 人生に二度目はない。
 たった一回の人生は、自分で決めて生きよう。他人の時間にあわせようとムリしたりしない。
 他人は他人、自分は自分。“時感”は違っていて当然だ。
 そして自分で選んだ時間は、自分が責任をもつ。今ここにいること、この環境は自分が選んだ結果だ。
 肚をくくろう。

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