水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

レベル上げ

2013年02月19日 | 学年だよりなど

 学年だより「レベル上げ2」

 レベル上げには、学力や学歴といった武器を身につけることが必要だ。
 もちろん、ここで言う学力とは、自分の偏差値がいくつかということではない。
 文字通り学ぶ力だ。自分の力で何かを学びとる方法を身につけ、実際に経験してみること。
 高校の勉強を一生懸命やることで、学ぶ力は身についていくし、その結果、学歴も手にすることができる。これは万能ではないが、人生を生きていくための貴重な武器になる。


 ~ 翌日、バイトの休憩時間にぼくが渡したプリントを瞬く間に丸つけした田岡さんが、いつになくまじめな顔で
「おまえさ、進学のこと本気で考えな」とぼくを見て言った。
「金ないですよ」
「そんな一言ですますなって。無返済の奨学金とか、推薦とか、極力金のかからない大学とか、 いろいろあんだよ抜け道が。教えてやるから。この成績で、金がないからって理由で、おまえ もったいないよ」
「 … 大学行ったって就職できない人いっぱいいるじゃないですか」
「おまえさ、今のままだったら、まるっきし丸腰じゃん。親が金持ちとか、特別な才能があると か、そういうの、今のおまえには何にもないでしょ。おまえのステータス上げる大卒っていう アイテムくらい装備しておいてもいいんじゃないの。確かに万能ではないけどさ、中村みたい にただのアホでも、名前の通った大学生って事実は世間じゃまだ使える武器なのよ。 … よっ ぽどのことがない限り」 (窪 美澄『ふがいない僕は空を見た』新潮社) ~


 世間で言う「いい大学」を出たからといって、望ましい就職先が保証される時代ではない。
 世間で言う「いい会社」に就職できたからといって、いい人生が約束されるわけではない。
 そんなことはみんなも分かっていると思う。
 だからといって、最初からそのアイテムを持たないと決めるのは愚だ。
 学歴が邪魔になる人生というのは、そうそうあるものではない。
 丸腰で世の中をわたっていけるほど恵まれた才能をもつ人は、そんなにいない。
 丸腰で世間に出て行き、気づいたら幸せな人生を手に入れました … という人は普通いないのだ。
 学歴が世渡りの一つの大きな武器であることはまぎれのない事実だ。
 性格がいい、容姿に恵まれている、親の財産がはんぱない、人脈をもっている … 、人が持ちうる武器には様々なものがある。
 しかし、身につけたいと願っても、個人の努力ではいかんともしがたいものが多い。
 学力や学歴は、自分の意志の力で確実に身につけることができ、誰からも後ろ指さされることのない貴重な武器なのだ。

コメント
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