個人的ワインのブログ

個人的ワインのブログ引っ越し

上幌ワイン 藤澤農園 余市ケルナー 塞翁が馬 10R 2014

2016-10-16 00:00:00 | 日本
上幌ワイン 藤澤農園 余市ケルナー 塞翁が馬 10R 2014
Kamihoro Wine Fujisawa Nouen Saiougauma 10R 2014
上幌ワイン2014藤沢農園余市ケルナー「塞翁が馬」のデータシートをアップしました。
お待たせしました!!!
前回の藤沢農園余市ケルナーのリリースから、ずいぶんと年月が過ぎてしまいました。24 カ月。長すぎました。この間、たくさんのお問い合わせをいただきました。次の発売はいつだ!!当然です。ようやく、その時が来ました!!

長く音沙汰なしでいたのにもかかわらず、忘れずにいてくださったこと、本当に感謝申し上げます。なぜこんなに時間がかかったのか、説明させていただきたいと思います。

10R ワイナリーでのワインづくりの大きな目標のうちの一つが、限界と思われている境界線をできるだけ向こうへ押しやること、基本的な質問を忘れないこと。自分たちのラベルのワイン(上幌ワイン)でも受託醸造のワインでも変わらない姿勢だ。

北海道におけるワイン造りの歴史はごくごく浅い。現在あるほとんどのワイナリー、ぶどう畑の創業者が、今も代替わりせず現役の経営者であるところがほとんどである。歴史から学ぶ経験値が少ないということは、ワインづくりにとっては大きなハンデである。しかし同時に、歴史の浅さは縛りの少なさでもあり、自由をもたらしてくれる。 自分たちが試してみたいことをなんでも試してみることも可能である。基本的な問い「北海道のワインとは?」への答えは出ていない。長い長い年月をかけ、ワインの造り手と飲み手の両方が見つけ出す答えである。

その答えにいつかたどり着くために、今 10R では造り手たちに、物事を広く、大きく考え、既成概念にとらわれず、北海道の自然が与えてくれる限りない可能性に、いつでもオープンでいることの大事さを常に伝えるようにしている。

さて、ここまでの話が、2014 年藤沢農園ケルナーとなんの関係があるのか?

このワインを作る過程は、ワイン造りのパズルのようなところがあった。 藤澤さんのケルナーのぶどうは、いつも外れなしの完熟で、糖度も風味も非常に高い。2014年ヴィンテージは、それに加えて、ぶどうにかなりの貴腐があった。仕込みの初めから、このブドウを野生酵母で発酵させるのは難しいと分かっていた。近代的なワイン製造では、原料ブドウに大量の亜硫酸を添加し(腐敗菌を殺菌するために)、選抜したイーストを加えて、ぶどう中の糖をできるだけ早く、完全にアルコールにするやり方が主流になっている。 最初に加えたイーストで全部の糖がなくならなかった場合には、さらなる手順が用意されている。残糖のあるワインは本質的に不安定であり、安定性を得るために以下のことを行う必要がある(と少なくとも教科書にはそう書いてある);

・イーストを再投入して発酵を終わらせる。もしくは
・多量の亜硫酸を加えてイーストの動きを止め、瓶詰め後の二次発酵を防ぐ。もしくは
・瓶詰時に無菌ろ過を施し、ワイン中のイーストや微生物を完全に取り除く。同じく瓶内での二次発酵を防ぐ。もしくは
・瓶詰時に火入れを行い、瓶内二次発酵を起こす恐れのあるイーストを死滅させる。

教科書はさらに続ける。これらの手順は迅速に行うべしと。ケルナーなどの白ワインは、”フレッシュでフルーティーでなくてはならない“ので、瓶詰までの時間が長いと、出来上がったワインの果実味が失われるからだと。

この点について、我々なりに考えてみた。そして、選んだ道は;.

正直に言って、教科書が進めるやり方はどれも、やってみたいという気にならない。だから我々は違う方法を試してみた。つまり〝待った”のだ。「待つとどうなるんだろう?」という疑問には、これまでしょっちゅう突き当り、その度にとくと考えてきたが、試してみるチャンスはなかった。10R を始めて、そのチャンスが訪れた。我々は、待った。そして、待った。さらに、待った。

待っている間、ワインはゆっくりとではあるが確実に変化していた。発酵は確かに続いていたが、そのペースは実に遅々としていて、一年以上にもなった。糖度は少しずつ下がっていき、確かに果実味も多少は減り、それに置き換わったのは、心地よい円熟味と複雑さだった。最終的には(2016 年の年明けごろ)、食い切らない糖をワイン中に残したまま発酵が止まった。. さらに熟成させれば、複雑実が増すだろうけれど、微生物的安定性に関しては、それ以上の進展は見込めそうになかった。

そこで、我々は次の質問をしてみた。「さて、次は・・・?」

答えは今年の夏のある日にやってきた。タンクからのサンプルを試飲していて、「旨いじゃん。瓶詰めするか!」これが、2014 年藤沢農園余市ケルナー「塞翁が馬」の誕生の物語である。

最後に、我々がワイン造りの探検を楽しんでいる間、長く待ってくださった皆様に、もう一度心からの感謝を申し上げます。待ったかいがあったと思っていただければ幸いです。
敬具
10R ワイナリー、上幌ワインチーム


上幌ワイン 2014 藤澤農園余市ケルナー「塞翁が馬」

藤澤農園について
藤澤農園は余市町登地区にある、家族経営のぶどう農家。先代の当主が生食用ぶどうの栽培を始めたのは、現当主の藤澤さんが子供のころ。この丘のてっぺんにある鉄分が豊富で水はけのよい畑に、最初の醸造用ぶどうが植えられたのは 1992 年のこと。
藤澤さんと、藤澤さんが育てるぶどうとは、光栄にも 10 年以上お付き合いさせていただいている。

ヴィンテージについて
2014 年は、北海道としては暑い夏が 9 月末まで続いた。10 月に入り、涼しくなったとはいえ、平年よりは気温の高い秋で、海岸近くに広がる余市のぶどう栽培地域では、霧が発生し貴腐が広がった。藤澤さんの畑のオールドヴァインケルナーは、例年通りに果実は完熟し、加えて貴腐菌により糖度はさらに高まった。

試飲ノート:
上幌ワイン 2014 藤沢農園余市ケルナー「塞翁が馬」 には、よく熟したケルナーに特徴的なアロマ(金柑、パッションフルーツ、柑橘類) に加え、貴腐ぶどうからくる、はちみつ、干し杏、イチゴ、焼きパイナップルなどのアロマが豊かに香る。加えて、タンク内での貯蔵期間を長くとった影響で、香ばしいジンジャービールの風味がある。口に含むと非常にたっぷりとして、ほんの少し甘みが残る。味わいが濃厚な中に、程よい酸味。ケルナーらしい苦みが締めくくる。今すぐでも美味しく飲んでいただけるが、長期間熟成しても楽しめる。

ぶどう品種:ケルナー100%
畑: 北海道余市町登、藤澤農園100%
原材料: ぶどう、亜流酸塩(40ppm )
収穫日: 2014 年10月 28 日
製造過程:ぶどう選別。貴腐ぶどうも使用。プレスで軽く圧搾。
一夜常温沈殿、澱引き。
ステンレスタンクでの発酵:野生酵母100%、MLF(乳酸菌発酵)も 100%.野生菌で。発酵後 16 か月澱付け。
澱引き、ブレンド、少量の亜流酸塩添加、無清澄剤・無濾過ビン詰め
データ: 残糖:0.8gm./100 ml.
アルコール:13.3%
ビン詰め本数:2,329 本(750 ml.瓶)

食べ物との相性
このタイプのケルナーは、甘・辛、マイルド・スパイシーにかかわらず、風味豊かな食べ物との相性が良い。例えば、鰈の甘辛煮, フォア・グラ、ポトフーとチーズ (ブルーやウォッシュチーズ).など。

美味しく飲んでいただくために
ワインセラー程度の温度が適温。冷やし過ぎると貴腐由来の濃厚な風味やアロマが閉じてしまう。上幌ワインのワインに共通して言えることだが、このケルナーもまた、人の手をできる限り加えずにできた農産物。無菌ろ過、清澄剤の使用などにより風味が失われることなく、ぶどう畑や収穫年の特徴がそのまま反映されている。その風味をそのまま召し上がっていただくためにも、22℃以下で保管していただきたい。瓶内熟成中には澱が底にたまったり、わずかに発泡する場合もあるが、,ワインの味、品質に影響はない。丁寧に、手作りで作られたサインとして受け取っていただきたい。
10Rサイトより)




(+)小林酒店にて購入。2,808円


最新の画像もっと見る

コメントを投稿