ぼくはかつて、ロックの詩を訳すことをこころみた。
そのいくつかの<断片>を;
★ U2;MOFO
探している、ぼくの魂の保存方法
花の育たない土地で
“神”の穴を埋めるものを探している
母さん、母さん、ロックンロールに吸いつきながら
★ C,S,N&Y;CARRY ON
あなたはどこへ行くの?ぼくの愛とともに
あなたがもたらすのは幸福?
それとも悲しみ?
千の夢の問いが散乱する
あなたがなにをしても、なにを見ても
恋人よ、ぼくに話してくれるかい
ぼくはぼくであるために、あなたを追った
きみが去った理由がなんであれ
きみのベストをつくせ
★ Niel Young;Like A Hurricane
いつかきみをみたのは
ごったがえしたけむたいバーでだった
きみは星のライトからライトへと踊っていた
遠い月明かりを通して
きみが誰だかわかった
きみの茶色の瞳が炎をうつすのを見た
ぼくはドリーマー
きみは夢
★ PINK FLOYD ;Shin On Your Crazy Diamond
君はあまりに早く秘密にたどり着いた
月に向かって泣く
輝け狂気のダイヤモンド
夜の影にさらされ
むきだしの光にさらされ
輝け狂気のダイヤモンド
鋼の風に乗って
気まぐれで正確な善意を使い果たした君
来たれ、
君の遊蕩者、千里眼、ペンキ屋、笛吹き、囚人
輝け!
★ PINK FLOYD:WISH YOU WERE HERE
なんども、なんども思った、君がここに居てくれたらと
ぼくたちは何年も何年も金魚鉢のなかの二つの失われた魂だった
いっしょにあの古いグラウンドを走った
ぼくらは何を見出した?
あの同じ古くからある恐怖さ
君がここにいてほしい
★Paul Simon;THE BOXER
冬服を用意しながら
この街から消えたくなる
故郷へ帰りたい
ニューヨーク・シティの冬は
身を切るように来る
俺を誘う、俺を誘う
故郷へと
開拓地にボクサーはひとり立つ
闘いは彼の職業
そしてかれは督促状を受け取る
かれを打ちのめす打撃のたびに
かれが叫びだすまでに切り刻まれる時に
怒りと恥のなかで
“俺はやってられない、こんなことはやってられらない”と思う
しかしこのファイターは戦い続ける
★Simon & Garfunkel ;April Come She Will
4月になれば彼女は来る
雨で流れの水かさが増すころ
5月、彼女はとどまる
ぼくの腕のなかで安らぐ
6月、彼女は気分を変える
落ち着かず夜をさまよう
7月、彼女は飛んでいく
なんの警告もなしに
8月、彼女は死ななければならない
秋風が冷たく吹きはじめて
9月、ぼくはおもいだす
新しかった恋が、古びてしまったと
★Paul Simon;My Little Town
雨があがると
虹がでた
でもそれは真っ黒だった
その虹に色がなかったからじゃなく
その町のみんなにイマジネーションが欠けていたから
すべてが同じものだった
ぼくの小さな町では
ぼくの小さな町では
ぼくは何者でもなかった
父さんの子である以外は
カネをためて
栄光を夢見ていた
引き金にかけた指みたいにひきつって
死者と死んでいく人しかいない町を離れる
ぼくの生まれた小さな町を
死者と死んでいく人しかいない
ぼくの小さな町
死者と死んでいく人しかいない
ぼくの小さな町を
★T.REX;Seagull Woman
ある日彼女は来た、カモメのような女
彼女は来た
ある日彼女は来た、カモメのような女
彼女は来た
ある日、ぼくたちは子供から大人へ変った
ある日変った
ある日、彼女は去ったカモメのように
ある日
★Peter Gabriel;Here comes the flood
夜は見せる
ラジオの信号が育ち
すべての奇妙なものたちが
行ったり来たりする時に
前触れがある
打ち上げられたヒトデ
隠れる場所はない
じっと潮が満ちるのを待つ
どこに行ったらいいかわからない
展望を得ることもできない
みんな、洪水は来た
肉と血にさよならを言うときが
もし再び海が静まるなら
彼はまだ生き延びる
だが生き残る者は少ないだろう
飲め、飲むんだ
きみたちは乾いている
★Free;Be My Friend
だれでも友だちが必要だ
手を差しのべてくれるヤツが
ぼくは夜のなかで怖い
ぼくをぎゅっと抱きしめて大丈夫といってくれるヤツ
ぼくはくよくよ悩んだ
ぼくは手に入れた全部を投げ出す気持ちがある
だから誰かに信じてほしい
ぼくに友情を示してほしい
公平であってほしい
友だちになってほしい
友だちでいてほしい
友だちでいてくれ
★George Harrison;While My Guitar Gently Weeps
きみたちが愛し合って眠っているすべてを見て
ぼくのギターは優しくむせび泣いた
この部屋は汚れていて掃除が必要なんだ
ぼくのギターは優しくむせび泣いている
どうして誰もきみにどうやって愛を育てるかを言わなかったのか、ぼくは知らない
どうやって誰かがきみをあやつり、きみを売り買いしたのか知らない
★John Lennon;Happiness is a warm gun
ハッピネスは撃ったばかりの熱い銃
幸福はまだあたたかい銃
きみを抱くとき
ぼくは感じる、ぼくの指がきみのトリガーにかかるのを
だれもぼくを犯せない
なぜなら、ハッピネスは撃ったばかりの熱い銃
そうさ
★Beatles;Because
愛、それは古い、愛、それは新しい
愛、すべて、愛、それはあなた
空が青いから
泣ける
空がいつも青いから
★John Lennon;JEALOUS GUY
むかしのことを思い出すと
心臓がはやく打ちはじめる
自分をコントロールできなくなる
自分をコントロールできない
★U2;Love is Blindness
恋は盲目
ぼくは見たくない
夜をラップしたいか
ぼくのまわりに
ぼくのハートをもっていけ
恋は盲目
★BOB DYLAN ;MR. TAMBOURINE MAN
だから連れてってくれ俺の心の煙の輪をくぐりぬけて
霧深い時間の廃墟をくだって凍った葉っぱを通り過ぎて
恐ろしいおびやかす木々の風強い海岸を過ぎて
狂った悲しみのひねくれた領域から遠く離れて
そうさ、ダイヤモンドの空の下で片手を自由に降りまわし踊ろう
海を背景にサーカスの砂で輪になって
すべての思い出と運命を波に深く沈めて
今日のことは忘れよう明日までは
ヘイ! ミスター・タンブリンマン歌ってくれ
俺は眠くないが、行くところがない
ヘイ! ミスター・タンブリンマン歌ってくれ
このゴチャゴチャの朝に、あんたについて行こう
★BOB DYLAN;ONE MORE CUP OF COFFEE
コーヒーをもう一杯道を行くために
コーヒーをもう一杯ここから出て行くために
あの下の谷に向かって
★S&G;スカボロー・フェア/詠唱
スカボローの市へ行くのかい
パセリ、セージ、ローズマリー、そしてタイム
そこに住むひとに、ぼくを思い出させてくれ
彼女はかつてぼくの真実の恋人だった
彼女に告げてくれ、ぼくに綿のシャツをつくるように
(深い森の緑の丘の斜面で)
パセリ、セージ、ローズマリー、そしてタイム
(雪の上に残る小鳥の茶色い羽飾りの跡をおいかけて)
縫い目も針のあともないように
(山の子の毛布と寝具)
そうすれば彼女はぼくの真実の恋人になる
(喇叭の響きにも気づかず眠る)
★T.REX ;COSMIC DANCER
ぼくは12歳のとき踊った
ぼくは踊った、ああー
ぼくは子宮から躍り出た
そんなにはやく踊れるなんて不思議だね
ぼくは子宮から躍り出た