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きらって、くらべて、平熱で(京都にまつわる3冊の本)

2017-10-24 12:42:30 | 読む
今年の夏に図書館でリクエストしたものの数十人の予約待ちで気長に待っていた「京都ぎらい」、先日実家にあったので借りてきた。
「なかなか面白かったよ」といわれたけど帯の言葉に怯み、ページをパラパラめくっただけで微かに消耗し、そっと本を閉じた。卑屈で僻みっぽくて、なんか面倒臭そうな本だな…というのが第一印象。



この本だけ読んだら精神衛生上よくない気がしたので、ずっと前に読んで印象に残っていた「京都の平熱」と「都と京」も図書館で借り(この2冊はリクエスト翌日に手元に届いた)、3冊を並行して読み進めることにした。



「平熱」と「都」は数年ぶりに読んだけど、あらためて著者お二人の言葉選び(表現の的確さやテンポ)が絶妙だなぁとつくづく感じた。
京都に生まれ育った鷲田清一さんと、東京育ちの酒井順子さん。それぞれの目を通した京都、そこから広がる都市論、コミュニティ論、言語的考察etc.。併読することで面白さがさらに増す。京都のあれこれが奥行きをもって多層的に感じられる。
どちらの本でも紹介されていた著者お気に入りの散策&観光コースは、お二人それぞれの「京都のこの路地、この街並みが好き!」という気持ちがすごく伝わってきて、町の位置関係が全くわからない私でも楽しく読めた。

「ぎらい」の方も、著者の強い思いは伝わるし、いろいろ考えさせられるところはあった。あと、元気なときに読めば消耗しないので自分の気力体力のバロメーターにもなる。

この本を読んで思い出したことをひとつ。
京都に比べたらずっと歴史の浅い埼玉にも相対的に歴史のある土地があって、そこに住む人の中には「むかし他所から馬で来た人は、あそこに馬をつないで街中までは歩いて行った。だから、あそこから内側が本当の◯◯町」などと胸を張る人もいるのだとか。(胸を張るだけではないけど続きは省略…)
そのての意識って京都に限らずどこにでもあるんだな、と思ったら佐藤優が二行で言い表してた。↓


それから、この本の著者がいちばん言いたかったことを「平熱」と「都」のお二方も別の形で表現してた。前に読んだときは気づかなかった描写の裏に気づき陰影を感じるようになったのもこの本のおかげ。

というわけで私の場合は3冊同時に読んで正解だった。そして3人それぞれにこんな力作を書かせる京都ってやっぱり凄い土地だと思った。


ところでこの3冊を読み始めて数日後、「国宝展」のために京都に行くことになった。読み始めた時は全くそんなつもりはなかったのに、おそるべし京都の引力…!!





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