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中村紘子「チャイコフスキー・コンクール」ほか3冊

2016-09-07 22:21:05 | 読む


「悪魔の血の一滴」という言葉は中村紘子さんが芸術を語るときに使った言葉で、人の心を惑わす何かが芸術にはある、という文脈で使われている。この言葉を初めて聞いたときはピンとこなかったけど、「妖気」や「狂気」では言い表しきれない何かがそこにはあって、何と絶妙な表現だろうかと今にして思う。

この8月は中村紘子さんの本を図書館で借りてきて、ほぼ同時に読み進めた。
どの本もそれぞれ面白かったけど、中でも「チャイコフスキー・コンクール ピアニストが聴く現代」は突出していた。数年前に読んだ時には感じとれなかった、行間に見え隠れする陰影がひりひりと沁みたのは喪失感ゆえか。

ユーモラスで品があって、あの時代の空気を垣間見せてくれ、私をわくわくさせた名文の数々。この人の文章こそ「血の一滴」を宿したものだったと思う。早すぎる逝去が本当に哀しくて寂しい。




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