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ムンクの鮮烈、等伯の静謐

2019-03-27 00:00:50 | 美術館・博物館
またブログの更新が途絶えてしまった。
今年は美術展・コンサート・講演会etc.の記録はちゃんと残そうと思ってるので、今さらだけど1月に行った美術展の記録。

新年最初の美術展は、東京都美術館で開催してたムンク展。
昨年秋に行った時は激混みで再訪は諦めていたけど、三が日明けの上野公園がいつになく空いていたのでもしや、と立ち寄ったら大正解。同じ展覧会と思えないほどゆったりとした空間で、穏やかな気持ちで絵を眺めることができた。
前回もかなり衝撃を受けた(美術館を出たその足で絵の具を買いに行ったくらい)けど、今回はそれ以上に構図や色合いや筆致にしみじみ感じ入ることが多く、こんなに凄い画家だったのかとあらためて思った。



印象に残った絵
◆並木道の新雪
一巡目は心が落ち着く絵だなぁと思いながら、二巡目には鳥肌をたてながら見た絵。(展示リストに走り書きした「おちつく」「とりはだ」「えんじ」のメモ、久しぶりに見たら自分でも何のことかわからなかった。おそらく絵の中のえんじ色が鳥肌の原因)

◆黄色い丸太
色彩も構図も賑やかで落ち着かないのに、見ていると心はなぜかおちつく
「なぜか落ち着く」という感想、なぜか今回のムンク展でいっぱい湧き出てきた

◆疾駆する馬
雪の中を疾走する馬。たぶんまだ若い馬で、はしゃいでいる様子が伝わってくる。わくわくする絵。
ムンクが写真や映画に関心をもっていたことが窺える、と解説にあった。

◆太陽
明るくエネルギーに満ち満ちた絵。
2回目のムンク展で一番好きだと思った絵がこれだった。

◆星月夜
1回目のムンク展ではこの絵にいちばん惹かれた。
星空、街の灯り、家の灯り、雪。画面にあらわれる色がどれもとても素敵で、「澄みきった夜空と、星あかりを受けて浮かびあがる柔らかな積雪。丘の向こうには、燦々と輝く都会の灯り」というこれまた素晴らしい解説文と交互に何度も眺めた。

今回のムンク展で印象に残った絵はすべて晩年の作品だった。晩年の絵は色彩の豊穣さが際立っていたと思う。



ムンク展の後は東京国立博物館へ。
毎年1月に展示される等伯の松林図屏風が目的。

松林図屏風を初めて見たのは2008年夏の「対決ー 日本美術の巨匠たち」展。
当時は特に良いともわるいとも思わなかったこの絵、その後何度か見るうちに、あるときは絵の中に入りこんだような錯覚を覚え、あるときは微かな妖気を感じたりと、見るたびにさまざまな感覚を呼び起こされてきた。自分の感覚のいわば定点観測をされているような気分になる絵だ。
今回は、松の葉の先端を描く墨の筆致が妙に心に刺さった。こういう感じ方は初めて。きっと直前まで見ていたムンクの影響で感覚が研ぎ澄まされていたのだと思う。
(音楽ではこういうことが時々あって、素晴らしい演奏に接した後、普段よく聴く曲を再生すると全く違った響きをもって聞こえてくる、という経験が何度かある。自分の受容体の解像度が上がったことがわかって面白いし嬉しい。絵画でも同じことが起こるのか)

こんな感じで2019年の美術館めぐりは幸先の良いスタートを切った。
引き続き素晴らしい絵や器とたくさん出会えますように。




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