作家の西村賢太氏が亡くなった。
タクシーに乗っていて突然意識を失い、病院に搬送されたもののそのまま帰らぬ人となってしまったらしい。54歳だった。
実は、こっちのブログの「西村賢太」について書かれた回のアクセス数が昨日異常に高くなっていて、「かなり前のものなのに、なんなんだろう?」と不思議に思っていた。理由が分かった。西村賢太本人の死亡がニュース等で出回っていたからだった。
初めて彼の小説を読んだのは、芥川賞を受賞した「苦役列車」で、そのあまりにも凄過ぎる「私小説」に出くわし、読み終えて大きな衝撃を受けた。
そこから、次々に彼の作品を読み漁った。ここまで赤裸々に自分を語れるものなのかと、半ば呆れもしたけれど、喜劇的にさえ感じるほどの悲惨な日常を描き切るその筆力に、いつも圧倒された。
ただ、読み続けてゆくと、そこにワンパターン化はどうしても否めず、同じような展開に飽きが生じたのもまた事実ではある。
それでも西村賢太は最後の無頼派だった。魂の放浪者だった。
合掌。
そんなニュースの中、2021年「キネマ旬報」の年間ベスト・テン外国映画部門第1位に、クロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が選ばれた。
「ノマド」、「遊牧民」、つまりこの映画は、アメリカ国内をキャンピング・カーで放浪する車上生活高齢者たちを描いた物語だった。
ベネチア国際映画祭で金獅子賞、トロント国際映画祭で観客賞、アカデミー賞では計6部門ノミネート、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した映画である。
映画「スリー・ビルボード」でもオスカーを獲ったフランシス・マクドーマンドが、この作品でも素晴らしい演技をみせていた。
様々な理由から、住んでいた家を捨て、故郷を捨て、しがらみを捨て、あてどのない放浪の旅に出る。
もちろん、亡くなった西村賢太氏は別に放浪者ではなかったけれど、家族も持たず、安定とはまったく無縁の生活を送り、無頼に生きた作家だった。
ノマド・・・それは絶対的な孤独の中に生きている人のことをいうのだろう。意志の強い、どこまでも孤高の人。独りを深く愛せる人。そういう精神の高みで生きている人のことをいうのである。
だから自分には絶対無理だ。
第一、意気地がない。心が狭い。孤独に耐えられる強靭な強さもない。
でもそういう生き方にはひたすら憧れる。腹は括れないけど・・・。
ずーっと彷徨い歩き続けていたい。
あてのない放浪をし続け、その果てに見知らぬ土地でひっそりと朽ち果てたい。
心の底からそう思う。
タクシーに乗っていて突然意識を失い、病院に搬送されたもののそのまま帰らぬ人となってしまったらしい。54歳だった。
実は、こっちのブログの「西村賢太」について書かれた回のアクセス数が昨日異常に高くなっていて、「かなり前のものなのに、なんなんだろう?」と不思議に思っていた。理由が分かった。西村賢太本人の死亡がニュース等で出回っていたからだった。
初めて彼の小説を読んだのは、芥川賞を受賞した「苦役列車」で、そのあまりにも凄過ぎる「私小説」に出くわし、読み終えて大きな衝撃を受けた。
そこから、次々に彼の作品を読み漁った。ここまで赤裸々に自分を語れるものなのかと、半ば呆れもしたけれど、喜劇的にさえ感じるほどの悲惨な日常を描き切るその筆力に、いつも圧倒された。
ただ、読み続けてゆくと、そこにワンパターン化はどうしても否めず、同じような展開に飽きが生じたのもまた事実ではある。
それでも西村賢太は最後の無頼派だった。魂の放浪者だった。
合掌。
そんなニュースの中、2021年「キネマ旬報」の年間ベスト・テン外国映画部門第1位に、クロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が選ばれた。
「ノマド」、「遊牧民」、つまりこの映画は、アメリカ国内をキャンピング・カーで放浪する車上生活高齢者たちを描いた物語だった。
ベネチア国際映画祭で金獅子賞、トロント国際映画祭で観客賞、アカデミー賞では計6部門ノミネート、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した映画である。
映画「スリー・ビルボード」でもオスカーを獲ったフランシス・マクドーマンドが、この作品でも素晴らしい演技をみせていた。
様々な理由から、住んでいた家を捨て、故郷を捨て、しがらみを捨て、あてどのない放浪の旅に出る。
もちろん、亡くなった西村賢太氏は別に放浪者ではなかったけれど、家族も持たず、安定とはまったく無縁の生活を送り、無頼に生きた作家だった。
ノマド・・・それは絶対的な孤独の中に生きている人のことをいうのだろう。意志の強い、どこまでも孤高の人。独りを深く愛せる人。そういう精神の高みで生きている人のことをいうのである。
だから自分には絶対無理だ。
第一、意気地がない。心が狭い。孤独に耐えられる強靭な強さもない。
でもそういう生き方にはひたすら憧れる。腹は括れないけど・・・。
ずーっと彷徨い歩き続けていたい。
あてのない放浪をし続け、その果てに見知らぬ土地でひっそりと朽ち果てたい。
心の底からそう思う。