淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声- (扶桑社新書) 」を読む。コロナ禍でますます格差は広がってゆく。

2021年01月14日 | Weblog
 今日(1月14日付け)の地方紙「東奥日報」。
 【コロナ解雇8万836人 本県1430人】の記事が載っていた。
 新型コロナウイルス感染拡大によって生じた解雇や雇い止めにあった労働者の数だ。緊急事態宣言が再発令されたため、今後もっと増えるだろう。製造業、飲食業、宿泊業が特にきついらしい。そして、パートや非正規労働者。
 しかしこれはあくまで、厚生労働省が全国の「ハローワーク」などで把握した数を列挙しているに過ぎない。実際はもっと多いはずだ。
 経済は未曽有の危機に直面している。

 それでも相変わらず、渋谷や六本木の街は若者たちで行き来していて(当然その数は緊急事態宣言後には減っているとはいうものの)、株価は上がり、高級品は売れ続け、高級タワマンも入居者たちで埋まっている。

 たとえば、資産が1億円以上あるいわゆる富裕層たちが住む「東京ミッドタウン」。運営は三井不動産だ。ここには、3つの超高級レジデンスサービスを誇るアパートメントが存在する。
 「東京ミッドタウン・レジデンシィズ」、「ザ・パーク・レジデンシィズ・アット・ザ・リッツ・カールトン東京」、そして「オークウッドプレミア東京ミッドタウン」である。

 もちろん、それぞれでその仕立て等は異なる部分があるけれど、ロビーは3層吹き抜けで、共用部分には、フィットネス・クラブやラウンジや24時間対応のレセプション、ハウスキーピングなどのきめ細かなサービスが施され、コンシェルジュが昼夜の区別なく入居者への対応にあたっている。

 そして、部屋からの眺望である。
 晴れた日中には遠く富士山が見え、眼下には美しい都会の雑踏とビル群が聳えている。夜ともなると街の綺麗なネオンに光り輝き(中に入ったことがないので、あくまでも想像ですが・・・)、部屋を出るとすぐそこに、高級レストランがあり、有名ブランドショップがあり、「ビルボードライブ東京」がある!

 よくよく考えると、住んでる部屋から出たら、同じ高層ビル内に「ビルボードライブ東京」があって、そこでは連日連夜、海外から招聘された有名ミュージシャンたちが熱いライブを繰り広げている(今は開店休業中だろうけど)なんて、どうしても理解できません!

 しかしその一方で、明日食べる食事にも事欠き、リストラされて職を失い、途方に暮れている人たちもまた存在している。
 1950年代から1960年代の高度経済成長期、それから1970年代によく言われていた「一億総中流の時代」はとっくに終わっている。「OECD経済審査報告書」によると、日米欧主要先進7カ国の中で、日本はアメリカに次いで「相対的貧困率」が高いとされている。

 本を一冊読んだ。
 日刊SPA!で公開されていた「年収100万円」シリーズを新書化した「年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声- (扶桑社新書) 」である。
 著者は吉川ばんび氏。自らも貧困を体験していることを本の中で告白している。

 「年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-」には、様々なパターンの「貧困者」を取り上げ、それを克明にルポしている。
 窓のない密室空間であるトランクルームで暮らしているという、40歳代の男性「トランクルーム難民」や、新宿歌舞伎町から一歩も外部に足を向けず、出会い系喫茶で知り合った男性たちから食事や寝る場所をあてがってもらう19歳の貧困女性、それから、母親の遺骨を抱きかかえ、住む場所がないために「車上生活者」となった50歳代の男性・・・などなどが取材されていて、読んでいて胸が締め付けられる。

 年収100万円で生きる大都会での生活とは、まさしくサバイバルである。今日を生きるための行動、今を乗り切るためだけの行動、これしか何にも出来ないだろう。まさに必死にこの時間を生きているという、ただそれだけだ。

 今日の新聞に、「見えぬ出口 募る不安」の文字が大きく踊っている。
 この巨大な船は、いったい何処に向かって進んでいるのだろう?
 行き先はあるんだろうか?
 すべては曖昧で、何もかもが不透明だ。









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