淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

ゆきのまち映画館の黄昏 27

2010年11月07日 | Weblog
 湖岸に垂れ下がったたくさんの樹木の先に、大きな氷が花のように咲き乱れ、湖岸の木々にも飛沫氷柱(しぶきつらら)が張り付いていた。白色というよりも真珠色に近い氷柱だ。とても哀しそうな色をしている。
 そして僕は、遠回りをして、昨日、目を覚ました場所にやっとの思いで辿り着いた。
 駅だ。
 首筋と額に汗が滲む。空が灰色に変わってきた。まだ雪は降ってない。
 噴水の水が凍って盛り上がり、クリスタルのオブジェのように輝く前を通って駅前に立った。赤い手編みの手袋が、真っ白な雪の上に落ちている。彼女が穿いていたものだ。
 太陽が、水平線から抜け出ようともがいていた。もうすぐ夜が明ける。
 
 


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