池波正太郎のエッセイが好きで、ここのところ電車での移動の折は、読んでいることが多い。「(念には念を入れて…)食べているつもりだ。死ぬるために食うのだから、念には念を入れなくてはならないのである。なるべく、(うまく死にたい…)からこそ、日々、口に入れるものへ念をかけるのである」(「食べる」)なんて、あなた、グッとくる文章ではありませんか。
「自分が、ほんとうに好きな店を見つけて、月に何度か足を運ぶようになったら、その店へ、自分の気持をしめしたほうがよいだろう。・・・この客の気持は必ず店の人に通じる。通じないような店なら、何も行くことはない。人の好意というものは、かたちに出してあらわさないと通じない。これは男女の愛情にしてからがそうだ。いかに胸の内だけにおもいつめていてもダメだ」(「新年の二つの別れ」)と、これまた至言、外でもの食う要諦と申すべけんよ。私にとって…「高七」、「すゞ金」あたりが、そういう意味での「好きな店」にあたることになるのだろうね。
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