そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

7月3日(金)誕生日プレゼント

2020年07月03日 | 公開
  誕生日には、にぎり寿司をとってもらったが、荊妻に、プレゼントは何がいい?と尋ねられていたので、もしよろしければ小さな徳利をお願いしたいと、リクエストをした。目星を付けていたわけである。

  それで、雨の中、徳利が売れている神楽坂のお店に、夫婦で出掛けてみると、臨時休業だった。HPで確かめればよかった。仕方ないので坂下まで下って、「志満金」で鰻重を食べて帰った。

  結局、徳利は自分で買って来て、荊妻に渡し、また私に贈られるという、感動のない授受を経て、仕事机の傍らに置かれている。



  粉引面取草花文の小徳利。対馬は大浦陶窯の作家、武末日臣の作である。「ギャラリー川村」の主人は寡黙そうな方で、ふらっと入って来る私が、気に入りの酒器は、必ず次回、現金を握りしめて求めに来るということを、どう思っておいでなのだろう? 今までに朝鮮ものや、志野織部の小皿などを衝動買いしてきたが、このお店で買って後悔したことは、一度もない。

  この小徳利は、右手陳列棚にたくさん並べてあった徳利の中でも、ひときわ小さく、一輪挿しなのかと思った。だんだん酒量が落ちてきて、もう、嘗めるくらいでいいやと、思うようになった私に、ぴたっときた。

  しかし本当に欲しくなった理由は、別にある。画像に配されている雨盛の盃は、そのあたりで1つ200円也でもとめた、数ものであった。しかし、だんだん染みが雨漏手と化し、なんとも言えない風情に育っていた。この小盃に取り合わせるのに、この小徳利以上のものはないと確信した。

  最期まで酒を嘗めて、死にたい。