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最後の護衛船団、記者クラブ(その2)

2009-10-01 01:00:00 | 社会、マスゴミ、教育
(昨日の続き)

政財官マスゴミ談合体制を死守し海外メディア、雑誌や自社の社会部までをもを妨害する。
そのシステムが記者クラブ。
「キシャクラブ」というべきか。
他の国の記者クラブと違い親睦団体じゃなくて権益寡占団体。

官邸での鳩山就任会見も記者クラブ寡占会見だった。
いつの間にか官僚に牛耳られた。
グルですよね。
マスコミに睨まれるのが怖いんだね。

そんなことでは官僚依存打破なんて夢物語。

官邸にはフリージャーナリストは入れない。櫻井よしこや立花さんでもだめだそうだ。海外メディアはオブザーバーで質問権がない。

 「各社の記者が24時間張り付きて家賃も電気代も役所もちで、一緒に麻雀するような奇習は、
  世界のどこにもありません(韓国も廃止した)。
  それは官民癒着の象徴であるばかりでなく、経営の苦しくなってきたメディアにとっても重荷になっているのです。
  各社横並びで非生産的な深夜労働が続けられています。こういう徒弟修行が
  キャリア形成に組み込まれているのも、官僚機構とよく似ています」。

とNHKの記者だった池田信夫さんも書いている。

「特落ち」を恐れる横並びで記者クラブや地方支局に大量の要員を配置している。

ぶら下がり記者同士のメモ合わせという談合というよりカンニングがあるそうだ。
日本マスゴミ独特の商習慣。

「一部週刊誌の報道によると」という無断盗用。「なになにであることがわかった」と横並びで報道するのも同じズル。
引用先は明記するのがあたりまえなのに。

本書「ジャーナリズム崩壊」。

近年テレビでの露出も多い著者の上杉さんは元NHKおよびNYタイムズ記者。
鳩山邦夫秘書もしていた。
ちょっとテレビでの露出が減っているとしたら本書のせいか。

鳩山事務所を辞した後、日本の新聞社に入ろうとしたがことごとく不合格。
政治的色がついているからと。
タイムズは元インサイダーとしての経験を買って雇った。
この辺大分考え方が違う。

本書によれば、EUは日本の記者クラブによる情報寡占は非関税障壁だという非難決議を
毎年採択しているそうだ。
これはやはり報道されないよね。知らなかった。
情けない。
韓国でも有名無実化したこのクラブ、世界遺産並み。

この本を読んで感じるのは日本の会社は終身雇用、年功序列という制度のもと強い結束の
チームワークで成功もしたがこれは業種によっては通用しない。

スポーツ選手が終身雇用、年功序列じゃあ見る人がいなくなる。極端な例だけど。
芸術関係は結構あるかも。
伝承文化は師弟関係が基本になっているから理解できないこともないが。

やっぱりプロフェッショナルな職種って結構あってそこではサラリーマン主義は
適用できない。ジャーナリズムはそういう仕事なんでしょう。

政治部記者が三席、サブキャップ、キャップ、デスク、次長、部長と無事に
階段を登って出世することが目的になるといい記事は絶対書けないと思う。
利害のしがらみが増えるばかり。

会社経営と編集部はアメリカでは完全に役割が分かれており、経営者が
記事にコメントしたとたん大問題になるそうだ。

ジャーナリストは高リスクな専門職。組織人のする仕事ではないと思う。
だからか、日本には署名記事が少ない。
署名記事は、社員であってもジャーナリストは個人企業主であるということか。

その辺の事情がニューヨークタイムズと比較して書かれている。

個人的にはニューヨークタイムズの記事についてはそれを書かせる勢力
というか社風に全く共感できないので上杉氏の傾倒には素直に頷けない。
湾岸戦争とかイラク戦争でアメリカのマスコミも随分汚点を残した。
同紙は最近でもオバマ批判のワシントン集会を過少報道したと批判されている。

しかし記者一人一人の能力と心構えはこの本を読み、また実際に記事に
触れると格段の差があると強く感じた。

大体日本のメディアと違って彼らには誤報を徹底的に検証する率直さと正直さがある。
クレームを受けたら誤報かをチェックし、そうでなければ法務部で弁護士が対応する。
だから、記者が圧力の矢面に立つことはないらしい。

ブレア記者の記事捏造疑惑の際もタイムズは他のメディアに先駆け事態を検証して
掲載した。もちろんブレア記者は即刻解雇。
日本の朝日新聞が対NHK、安倍、中川圧力記事で不誠実に逃げまくりごまかしたのとの違いを
上杉氏はあげている。

そう言えば、教科書問題で「侵略」から「進出」の変更がなかったのに誤報を取り消さず
日本国民に汚名を着せた殆どの日本メディアもそう。
組織防衛が一番大事。
それは近視的発想だという事に気がつかない。

NYタイムズでは記事の質を評価する部門があり、毎週「良い記事」と「悪い記事」が
全社に公表されるらしい。このときはベテランの花形記者も緊張する。

いい記事が書けないとピューリッツーア賞を受賞した記者でも契約を打ち切られる。
日本では考えられない。みんな出世の階段を登るから。
欧米では記者の組織内での頂点は編集局長。

もっといえば、究極の目標は有名新聞の名を借りずとも自らの署名だけで
通用する独立したライターになること。
スター記者になると組織内でも段違いの厚遇を受けるらしい。

日本ではちょっと考えられない。
この辺、学会とか芸術界も日本の特殊性を体現しているかも。
均一な大量生産のためならいいシステムかもしれないんでしょうが。
独創的な少量生産には向かない。

更には外国人ジャーナリストを日本の既成メディアシステムが一方的にが締め出すことで
彼らを反日になるように仕向けている面も理解できた。

記者クラブに入れないが外国人記者クラブには遠慮なく押し掛ける。
それがおかしいという感覚さえ無い記者が多いのだそうだ。
丸ドメ(まるっきりドメスティック)な人たちが多いんだ。

結果、海外のジャーナリストは来日当初は風穴を開けようとするが疲れ果て
「日本人記者はジャーナリストという同業者じゃないんだ」と相手にしなくなる。

上杉氏が出身のNHKを批判する記事を書いたため組織ぐるみで高圧的かつ
粘着的に攻撃され、無視され、締め出された。

一人一人は良心的でもこと自分の所属する組織が攻撃にさらされると極めて
閉鎖的で偏狭な組織防衛をする。
官僚と似ていないこともない。

そこへ行くと上杉氏によると政治家は批判に慣れているというか、
何年おきかに選挙と言う契約更改をしなければならないフリーランサーだからか
ものわかりがいいそうだ。

かの慎太郎さんでさえ、記事に対する大クレームの後の取材では
「批判はいいが侮辱はするなよ」で昔の話は終わりだそうです。

政治家にとっては記者クラブに属する人たちは安全パイ。
逆に週刊誌やフリーランサーが政治家に会わせろと言ってきたら
かなりキツイ記事がほぼ完成している段階でそういう時は夜中でも
政治家本人に対応させろとベテラン秘書は考えるそうだ。

いろいろ、面白かった。
読者のリテラシーにも関わる問題であることは我々も大いに反省したい。



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4 コメント

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褒めすぎです (taku)
2009-10-02 06:59:47
ディープに行きたいとは思いますが。
やはりテレビよりは新聞、新聞よりは週刊誌、週刊誌よりは月刊誌、月刊誌よりは本。
そして本よりは歴史かもしれませんね。
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Deepな記事が読みたい (はっちゃん)
2009-10-01 18:46:04
イギリスの新聞は、各社毎に支持政党や政治的思想がハッキリしていて、それなりに記事も読み応えがあったように記憶しています。
それに比べると、日本のマスコミは横並びと言うか、どの新聞でもTVでも大同小異で全く面白くない!これなら、一つの新聞とTVだけで十分。
そのマスコミの言うことを鵜呑みにしている国民が多いということは、読者のリテラシーにも大いに問題あり。署名記事が少ないのも日本の記者が無責任な証拠。
やはり「ディープな記事」が読みたいなら、このブログを毎日読むしかないのか!?
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困ったものです (taku)
2009-10-01 13:19:19
イギリスでもマスゴミが大衆を扇動して良からぬ方向へ世論を持っていく傾向はあるようですが、かの国はやはり知識人というかエリートがしっかりしていて次を見据えて準備をしているようです。
日本は上の方のレベルが低いのかもね。
繰り返しになりますがやはり読者のリテラシーでしょうか。
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官邸に乗り込め! (はっちゃん)
2009-10-01 11:31:22
最後の護送船団の「大論文」拝読しました。「記者クラブ」の体質はイヤだねえ・・・談合、馴れ合い、オフレコ、排他的、傲慢、無謝罪、無責任、横並び・・・実に下らん!
それを受け入れる官邸の体質も同様。
貴兄に一度官邸に乗り込んでもらい、「尖んがった質問」を10個くらい浴びせてもらえれば気分爽快だろうなあ(笑)。
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