(2月28日)
Klein(北米神話の採取者)は登場する女性を4部に分けている。若い妻、妻ではない女、教育係の姉、過ちだらけ妹。>>La structure quadripartite du groupe de Klein s’applique aux transformation de l’heroine. Slon les versions, celle-ci incarne…
(L’origine des manieres de table 293頁)レヴィストロースはこの4の組分け説を採用しているが、その説明 (上の引用文)を読むと1の主人公(l’heroine)に4の性格が憑依(incarner)しているかに感じられる。それぞれの性格に神話が指定されている。教育係の姉M475は、東の空から下りてくる人食い女(10人姉妹)から弟を守るため小屋に囲って育てた姉がこれにあたる(15回投稿2月14日)。
男についても4部が認められる<<Les systemes mythologiques de freres celibataires se presente sous l’aspect de quatre structures de quadriparties…(294頁)> 訳:独身男の神話学的定義は4の構成による4部として表される。
独身男とは構成員が10に至る前なので(力が足りないから)結婚できない男達で、彼らを1の集体としてその特徴は血族の繋がり、自然と関連する行動、文化的行動、宇宙との繋がりの4部である。それぞれの性格に出典神話があるはずだが、レヴィストロースはこちらには記述していないから投稿子が詮索すると、10人兄弟の嫁取り神話M475そのもので、引きこもりの9人は血を分けた「兄弟」で(血族)、生まれの順に序数詞を付けられ(自然)、10に揃った暁に同盟を求め10人娘を探す(文化)、成就した暁にヒーローは雷神に変わり、9人も四方に分散する(宇宙)のあらすじ各部を隠喩としてあげている(と思う)。
写真:ブラックフット族の少年、ネットから採取。10ほどに見える少年も数年経てば通過儀礼(イニシエーション)を体験する。族長からteterougeの首を狩ってこいと命じられるかもしれない。teterougeとは太陽の擬人であり、敵対部族の酋長かもしれない。首の一本が取れない男に嫁は与えられない。
一方で、半身体(mi-partie)として特徴づけられるヒーローが多く神話で登場する。
M485(Crow族、赤い頭tete-rouge303頁)
結婚を望む若者にTete-rougeの頭を狩り持ち帰るとの試練が課された。道を進む若者に鹿、蟻など動物が味方し、彼を娘の姿に変えた。Tete…館の守りは蛇、オオカミに固められているが、蟻に変身してすり抜け、tete…の前に娘として立ち、結婚を申し入れる。<<Profitant du sommeil de son mari. La fausse femme le tue, coupe sa chevlure et le laisse chauve>その夜、眠りこけたtete…の首を掻き頭皮を剥ぎ取り、禿頭のにして持ち帰った。めざす娘と結婚できた。
解説:若者は完全に女に変身していない。腕には男の徴の戦傷の痕(cicatrice) が見えるうえその匂いも男だった。取り巻きはこの「自称娘」に用心を怠らなかったが、Tete…は女と知りコトが終わって不用心に寝込んでしまった。別の神話では変身を助けるアナグマが若者に「逃げるのに脚は男のままがよい」と忠告され、脚だけは男のそれに残した。
他神話を探り半身体としては片面が綺麗反面は醜い、小屋の内では美人外では老婆、革細工上手は嘘で何も作れない娘(M480Blackfoot族Tete-rouge299頁)などがその例。
人の成り立ちに半身体と4部体の両立。なぜこのような複雑な説明がなされるか。解釈する鍵として投稿子は時制と関連づけたい。
1 半身体は2の性格を共時性で有する。女に化けた若者は女ながら腕に戦傷痕を残していた。変身体ながら必ず前身要素を残すというambivalentアンビバレントな体であり、その内に葛藤を含む。(=レヴィストロースはアンビバレントなる語を用いていない)
2 4部体は共時性の2と経時性の2の組み合わせとなる。女の4部体をとると若い妻、妻ではない女は共時性で共存している。Arapaho月の嫁神話では妻(arapaho娘)と妻になりきれない雌カエルが同居していた。同じく教育係の姉、過ちだらけ妹は共時性をもてる。教育姉が弟を育て成員10に戻した。紹介しなかったがM479(Menomini族、雷鳥の姪291頁)では弟を育てられない娘が雷鳥の養女となって季節を招く。
北米先住民は季節の移り変わりを共時性と経時性で説明している。天候、風土、周期性を捉えるこの思想が考える筋道の根底に控え、その仕組みの枠で人、社会、それらの起源を捉えるとしている。人間性の有様、人間界の活動を宇宙の周期性に結びつけている。
レヴィストロース「食事作法の起源」を読む(続き) 18の了
(次回3月2日予定)
Klein(北米神話の採取者)は登場する女性を4部に分けている。若い妻、妻ではない女、教育係の姉、過ちだらけ妹。>>La structure quadripartite du groupe de Klein s’applique aux transformation de l’heroine. Slon les versions, celle-ci incarne…
(L’origine des manieres de table 293頁)レヴィストロースはこの4の組分け説を採用しているが、その説明 (上の引用文)を読むと1の主人公(l’heroine)に4の性格が憑依(incarner)しているかに感じられる。それぞれの性格に神話が指定されている。教育係の姉M475は、東の空から下りてくる人食い女(10人姉妹)から弟を守るため小屋に囲って育てた姉がこれにあたる(15回投稿2月14日)。
男についても4部が認められる<<Les systemes mythologiques de freres celibataires se presente sous l’aspect de quatre structures de quadriparties…(294頁)> 訳:独身男の神話学的定義は4の構成による4部として表される。
独身男とは構成員が10に至る前なので(力が足りないから)結婚できない男達で、彼らを1の集体としてその特徴は血族の繋がり、自然と関連する行動、文化的行動、宇宙との繋がりの4部である。それぞれの性格に出典神話があるはずだが、レヴィストロースはこちらには記述していないから投稿子が詮索すると、10人兄弟の嫁取り神話M475そのもので、引きこもりの9人は血を分けた「兄弟」で(血族)、生まれの順に序数詞を付けられ(自然)、10に揃った暁に同盟を求め10人娘を探す(文化)、成就した暁にヒーローは雷神に変わり、9人も四方に分散する(宇宙)のあらすじ各部を隠喩としてあげている(と思う)。

一方で、半身体(mi-partie)として特徴づけられるヒーローが多く神話で登場する。
M485(Crow族、赤い頭tete-rouge303頁)
結婚を望む若者にTete-rougeの頭を狩り持ち帰るとの試練が課された。道を進む若者に鹿、蟻など動物が味方し、彼を娘の姿に変えた。Tete…館の守りは蛇、オオカミに固められているが、蟻に変身してすり抜け、tete…の前に娘として立ち、結婚を申し入れる。<<Profitant du sommeil de son mari. La fausse femme le tue, coupe sa chevlure et le laisse chauve>その夜、眠りこけたtete…の首を掻き頭皮を剥ぎ取り、禿頭のにして持ち帰った。めざす娘と結婚できた。
解説:若者は完全に女に変身していない。腕には男の徴の戦傷の痕(cicatrice) が見えるうえその匂いも男だった。取り巻きはこの「自称娘」に用心を怠らなかったが、Tete…は女と知りコトが終わって不用心に寝込んでしまった。別の神話では変身を助けるアナグマが若者に「逃げるのに脚は男のままがよい」と忠告され、脚だけは男のそれに残した。
他神話を探り半身体としては片面が綺麗反面は醜い、小屋の内では美人外では老婆、革細工上手は嘘で何も作れない娘(M480Blackfoot族Tete-rouge299頁)などがその例。
人の成り立ちに半身体と4部体の両立。なぜこのような複雑な説明がなされるか。解釈する鍵として投稿子は時制と関連づけたい。
1 半身体は2の性格を共時性で有する。女に化けた若者は女ながら腕に戦傷痕を残していた。変身体ながら必ず前身要素を残すというambivalentアンビバレントな体であり、その内に葛藤を含む。(=レヴィストロースはアンビバレントなる語を用いていない)
2 4部体は共時性の2と経時性の2の組み合わせとなる。女の4部体をとると若い妻、妻ではない女は共時性で共存している。Arapaho月の嫁神話では妻(arapaho娘)と妻になりきれない雌カエルが同居していた。同じく教育係の姉、過ちだらけ妹は共時性をもてる。教育姉が弟を育て成員10に戻した。紹介しなかったがM479(Menomini族、雷鳥の姪291頁)では弟を育てられない娘が雷鳥の養女となって季節を招く。
北米先住民は季節の移り変わりを共時性と経時性で説明している。天候、風土、周期性を捉えるこの思想が考える筋道の根底に控え、その仕組みの枠で人、社会、それらの起源を捉えるとしている。人間性の有様、人間界の活動を宇宙の周期性に結びつけている。
レヴィストロース「食事作法の起源」を読む(続き) 18の了
(次回3月2日予定)