佐々木先生は東京日野市に動物医院を経営するやり手です。研究熱心さは同業多い中でも群を抜く。
1昨年の話。足もとあぶなく歩行ままならない重篤な雑種犬(名前はチャビ助)が連れてこられた。経験豊かな先生はすぐに「前庭機能障害による眼震」と見立て特効薬を処方した。
眼震とは人にもある病気で、目玉が小刻みに振動するやっかいな病気です。視線が定まらないので足がふらつくし、食欲不振、情緒障害などを引き起こす。
さてチャビ助は先生の見立て、処方のよさと飼い主の必死の看病の甲斐あって2週間で完治した。
そして1ヶ月後、飼い主が再びチャビ助を伴い来院した。浮かぬ顔の飼い主いわく、
「見た目は正常ですが、どうも以前の状態ではない。歩く食べる吠えるは回復したけれど、運動能力というか、動く物を見る能力が激減している」
と訴えた。チャビ助は近所でも評判の運動犬で、山に入ってはタヌキを追い、川で泳げば浅川の急流をすいすいと犬かき横断する。ご主人が投げて与えるおやつの掴み方も見事で、10メートル先から投げる粒餌を飛び上がって、ひねってパクリと咥えるのだそうだ。
それは眼震の発症以前。「直ったと言ってもそこまでの状態にほど遠い」が飼い主の不満だ。
佐々木先生は再度目玉検査を試みた。眼震もなく目玉はしっかり、正常に見えた。しかし念のためにと目玉レンズを最高倍率7.5倍にまであげたら、微細な振動が見つかった。
その目玉の振動たるや本当にわずかで、並の獣医であったら見逃すほどだ。あらためてより強力な創薬を処方した。これがずいぶんと高価なので飼い主には何度も確認を取った上だ。そして2週間後、飼い主がチャビ助とともに来院し「粒餌10メートル投げ取り能力」の回復を嬉しそうに告げた。ウエストの詰め合わせまでお礼に下げてきたのはよほど嬉しかったからだ。
これでおわるのがフツーの獣医。佐々木先生はさらに考えた;
眼震は病気だが微細な眼震は病気ではない、では微細眼震とはいったい何だ!
1年ほどの研究でつい最近ようやく微細眼震なる実態を解明した。それは
人は(動物も)常に微細眼震を持つ。その原因は体熱、心拍、呼吸、それに瞼の開け閉じである。
微細眼震は運動能力、特に動体視力に関わる
もし微細眼振を限りなくゼロに近づければ、動体視力の超能力者(動物)が出来上がる。
チャビ助はお隣近所の犬愛玩者達を唸らせる餌取り能力を再び見せた。それでも今だにわずかであるが微細眼震が認められている。佐々木先生のご自慢の7.5倍の目玉レンズから逃がれるなどは不可能なのだ。
では体熱を持たず(熱エントロピーから解放)、心拍呼吸(運動の雑振動を排除)なども持たなければ、微細振動をゼロに出来るか。答えはイエスだ。
その時にはダルビッシュだろうとマークンだって、投げたタマをボコスカ打ちまくれる。イチロウ並の、いやそれ以上の超絶バッターが出現するのだ。
この話を先生から直接聞いた私(アジア部族民、トライブスマン)はハタと手で膝を叩いた。
「あの伝説の少年、ナナオのコタロウことバッティングセンター荒し、彼こそ超絶バッターだったのだ」
(写真は得意のいがみ顔のチャビ助です。ナナオのコタロウ2に続く)
1昨年の話。足もとあぶなく歩行ままならない重篤な雑種犬(名前はチャビ助)が連れてこられた。経験豊かな先生はすぐに「前庭機能障害による眼震」と見立て特効薬を処方した。
眼震とは人にもある病気で、目玉が小刻みに振動するやっかいな病気です。視線が定まらないので足がふらつくし、食欲不振、情緒障害などを引き起こす。
さてチャビ助は先生の見立て、処方のよさと飼い主の必死の看病の甲斐あって2週間で完治した。
そして1ヶ月後、飼い主が再びチャビ助を伴い来院した。浮かぬ顔の飼い主いわく、
「見た目は正常ですが、どうも以前の状態ではない。歩く食べる吠えるは回復したけれど、運動能力というか、動く物を見る能力が激減している」
と訴えた。チャビ助は近所でも評判の運動犬で、山に入ってはタヌキを追い、川で泳げば浅川の急流をすいすいと犬かき横断する。ご主人が投げて与えるおやつの掴み方も見事で、10メートル先から投げる粒餌を飛び上がって、ひねってパクリと咥えるのだそうだ。
それは眼震の発症以前。「直ったと言ってもそこまでの状態にほど遠い」が飼い主の不満だ。
佐々木先生は再度目玉検査を試みた。眼震もなく目玉はしっかり、正常に見えた。しかし念のためにと目玉レンズを最高倍率7.5倍にまであげたら、微細な振動が見つかった。
その目玉の振動たるや本当にわずかで、並の獣医であったら見逃すほどだ。あらためてより強力な創薬を処方した。これがずいぶんと高価なので飼い主には何度も確認を取った上だ。そして2週間後、飼い主がチャビ助とともに来院し「粒餌10メートル投げ取り能力」の回復を嬉しそうに告げた。ウエストの詰め合わせまでお礼に下げてきたのはよほど嬉しかったからだ。
これでおわるのがフツーの獣医。佐々木先生はさらに考えた;
眼震は病気だが微細な眼震は病気ではない、では微細眼震とはいったい何だ!
1年ほどの研究でつい最近ようやく微細眼震なる実態を解明した。それは
人は(動物も)常に微細眼震を持つ。その原因は体熱、心拍、呼吸、それに瞼の開け閉じである。
微細眼震は運動能力、特に動体視力に関わる
もし微細眼振を限りなくゼロに近づければ、動体視力の超能力者(動物)が出来上がる。
チャビ助はお隣近所の犬愛玩者達を唸らせる餌取り能力を再び見せた。それでも今だにわずかであるが微細眼震が認められている。佐々木先生のご自慢の7.5倍の目玉レンズから逃がれるなどは不可能なのだ。
では体熱を持たず(熱エントロピーから解放)、心拍呼吸(運動の雑振動を排除)なども持たなければ、微細振動をゼロに出来るか。答えはイエスだ。
その時にはダルビッシュだろうとマークンだって、投げたタマをボコスカ打ちまくれる。イチロウ並の、いやそれ以上の超絶バッターが出現するのだ。
この話を先生から直接聞いた私(アジア部族民、トライブスマン)はハタと手で膝を叩いた。
「あの伝説の少年、ナナオのコタロウことバッティングセンター荒し、彼こそ超絶バッターだったのだ」
(写真は得意のいがみ顔のチャビ助です。ナナオのコタロウ2に続く)