(11月16日)
bororo族のフィールド調査時期(1936年)のレヴィストロース
神話学第3巻は当然、第2巻(du miel aux cendre蜜から灰へ)の続きであるが、投稿子は第1巻(le cru et le cuit生と料理)の直接の後継と考えている。第一巻の第一神話M1「火の創造(ボロロ族)」では洪水で祖母とヒーローだけが助かったとしている。モンマネキの境遇とは洪水で彼と老母のみが助かった。そのうえ彼は世界で唯一の狩人である。この前提からしてM1の後日譚そのものである。
他にも理由は挙げられる。各巻の主題と比較すると1巻は文化(culture)の獲得=火の創造、3巻は周期性の獲得による文化の定着(月の創造、日夜の交代、魚の回帰、天文の周期と女のそれを同期させて規律を確立するなど)と1から(2をとばし)3が継続している。3巻個々の神話を読み比べても1巻につながる生活レベルの原初性が記述され、1でやり遂げられなかった「文化の仕上げ」をモンマネキおよびその周辺神話が受け持ったと理解したい。
モンマネキ神話とは全神話の基準となる「M1」であると読めば、本書第3巻の理解は易しい。
<<En verité depuit le debut de ce livre, nous n’avons discute qu’un seul mythe.
Tous ceux que nous avons successivement introduits l’ont ete dans l’intention avouee de mieux comprendre celui dont nous etions parti : le mythe tukuna M354, qui raconte les mesavantures conjugales du chasseur Monmaneki>>(本書163頁)
訳;実際のところ、本書でははじめからある一つの神話のみを語っていた。次々と続いて開示された神話とは、それを初めとして出発した神話をより正しく理解するためで、その意図の元に引用された。M354、tukana族の神話がそれで、物語るのはあの(最初の)狩人モンマネキと嫁問い失敗譚を伝えている。
投稿子がこれまで10回のブログで解説したのは「月と太陽のカヌー航行」まで、本書全体の半分に満たない。それに続く「お手本となる娘達」以降は取り上げていない。引用文はお手本…から始まる後半の冒頭に置かれている。そしてこの後半では北アメリカ先住民の神話を取り上げている。その冒頭にモンマネキを引用する意味は「北アメリカ神話もモンマネキ神話の、そしてM1火の創造神話の後継である」との意が込められている。
本投稿で第3巻「食事作法の起源」を終了とします。
3巻の第二部(文化創造をテーマとする北アメリカ神話の解析)投稿は来年を予定します。
レヴィストロース神話学第3巻「食事作法の起源」を読む11 最終回の了
bororo族のフィールド調査時期(1936年)のレヴィストロース
神話学第3巻は当然、第2巻(du miel aux cendre蜜から灰へ)の続きであるが、投稿子は第1巻(le cru et le cuit生と料理)の直接の後継と考えている。第一巻の第一神話M1「火の創造(ボロロ族)」では洪水で祖母とヒーローだけが助かったとしている。モンマネキの境遇とは洪水で彼と老母のみが助かった。そのうえ彼は世界で唯一の狩人である。この前提からしてM1の後日譚そのものである。
他にも理由は挙げられる。各巻の主題と比較すると1巻は文化(culture)の獲得=火の創造、3巻は周期性の獲得による文化の定着(月の創造、日夜の交代、魚の回帰、天文の周期と女のそれを同期させて規律を確立するなど)と1から(2をとばし)3が継続している。3巻個々の神話を読み比べても1巻につながる生活レベルの原初性が記述され、1でやり遂げられなかった「文化の仕上げ」をモンマネキおよびその周辺神話が受け持ったと理解したい。
モンマネキ神話とは全神話の基準となる「M1」であると読めば、本書第3巻の理解は易しい。
<<En verité depuit le debut de ce livre, nous n’avons discute qu’un seul mythe.
Tous ceux que nous avons successivement introduits l’ont ete dans l’intention avouee de mieux comprendre celui dont nous etions parti : le mythe tukuna M354, qui raconte les mesavantures conjugales du chasseur Monmaneki>>(本書163頁)
訳;実際のところ、本書でははじめからある一つの神話のみを語っていた。次々と続いて開示された神話とは、それを初めとして出発した神話をより正しく理解するためで、その意図の元に引用された。M354、tukana族の神話がそれで、物語るのはあの(最初の)狩人モンマネキと嫁問い失敗譚を伝えている。
投稿子がこれまで10回のブログで解説したのは「月と太陽のカヌー航行」まで、本書全体の半分に満たない。それに続く「お手本となる娘達」以降は取り上げていない。引用文はお手本…から始まる後半の冒頭に置かれている。そしてこの後半では北アメリカ先住民の神話を取り上げている。その冒頭にモンマネキを引用する意味は「北アメリカ神話もモンマネキ神話の、そしてM1火の創造神話の後継である」との意が込められている。
本投稿で第3巻「食事作法の起源」を終了とします。
3巻の第二部(文化創造をテーマとする北アメリカ神話の解析)投稿は来年を予定します。
レヴィストロース神話学第3巻「食事作法の起源」を読む11 最終回の了