星・宙・標石・之波太(しばた)

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ごろ寝する月のウサギ

2019-09-10 23:47:23 | 
(天声人語)9月7日

夜ごと月の輝きが増す季節である。月といえば「餅をつくウサギ」がすぐ浮かぶが、
海外では「大きなカニ」「ほえるライオン」「本を読む老女」などになぞらえる。
地域や民族によりまるで異なる絵柄を読み取ってきた▼同じウサギであっても緯度が
変われば、見え方も変わる。南極へ2度観測に赴いた名古屋市科学館の小塩哲朗
学芸員(50)は言う。「南極から観測すると、月のウサギは仰向けに寝そべって
いました。餅つき中には見えません」▼極地で撮った写真の中に、観測船「しらせ」
から見た月を収めた1枚がある。真っ白な氷山の向こうに、赤茶けた色の月が浮かぶ。
紫紺の空との対比が神秘的だ。蜃気楼の現象で、形は横にひしゃげている。日本で
見る月とはまるで違う▼遠く仰ぐばかりの存在だったが、近年、月は空前の探査
ブームのさなかにある。6年前に月面探査を成し遂げた中国に続き、インドも、
探査機をきょう月の南極に着陸させる予定だ。成功すれば、旧ソ連、米国と合わ
せて4カ国目の月面到着となる▼そのインドには「月のウサギ」の源流のような
昔話がある。修行僧に捧げる食べ物がないことを悲しんだウサギが、燃えさかる
火に飛び込み、わが身を捧げる。僧が実は神様で、ウサギの徳をたたえるため、
月の表面にその全身像を刻んだ▼時代を超え、文化を超え、文化を超え、多彩な
空想をかき立ててきた月の不思議な力を思う。資源はあるか、人が住めるのか。
これからの探査でどんなことがわかるのだろう。

★月の話題
・9月13日(金)

しばたの郷土館「中庭観月会」
18時から20時
大型双眼鏡で名月観望を行います。

・9月14日(土)
第7回しばた曼珠沙華まつり
リコリス坂・赤富士ライトアップ
星空鑑賞会・満月
船岡城址公園「さくらの里」前駐車場

・9月15日(日)
★★会・十六夜