こんにちは。
昨日の日曜日・・・
朝から
大量の雪に見舞われ、午前中はご来客はありませんでした。
お昼になって、ますます雪が激しくなってまいりました。
店の中から外を眺めて、あたしは思った。
こんなにひどい雪の中、お手伝いに来ていただいた
販売員さん(70歳超)が帰れなくなるのではないか?
(この方は、名古屋から来てくださっておりました。見れば和服姿に草履。お年柄、骨粗相症の気配もあり、滑って転んで怪我でもされたら大変です)
そこであたしは、その方に急遽帰っていただくことにいたしました。
一日分の日当はそれはそれとして、この吹雪の中、お客様もよほどでなければお越しいただくこともなかろう。
そして、一度に何組ものご来客でなければ、あたし一人でどうとでもなるであろう。
そんな算段をいたしたのでありました。
販売員さん(70歳超)は、
「申し訳ありませんねぇ・・・」
と言いながら、お越しいただいて3時間も経たぬうちに雪の中を帰ってゆかれました。
そしてその後・・・
3時ごろになると雪がおさまって、
ご来客。
積もった雪道の悪い中を、ようこそお越しいただいたなぁ・・・と思っていましたら、あにはからんや、その後重ねて
最大4組のご来客。
4組のお客様を、あたし一人でどうする?
販売員さん、カムバァ~ックッ!
が、時すでに遅し。
ここは何とか、あたし一人でしのがなければなりませぬ。
・・・
あたしは、腹を決めたのよ。
「お客様、誠に申し訳ありませんが、本日はあたし一人です。ご迷惑は承知の上で、どうぞご自由にご覧くださいませ。着てみたいというものがありましたら、お時間の許す限り、何枚でもお召しください。あたしが全力でお着せします。」
と告げて、声のかかるところはすべて、着装をして回ったのでありますね。
たぶん、お客様は面食らったことと思います。
でもね、あたしにできる最大のことは、それだったのだ。
それから、あたしの孤軍奮闘は続いたのであります。
ところが、なぜかどなたも嫌なお顔をされませんでした。(と、あたしには思えた)
そして、そんな無茶な状況にもかかわらず、皆様ご成約をいただきました。
・・・
これは一体、何なのだろう?・・・
その後も、閉店間際までご来客は途絶えず、最後にお越しの方は閉店直前にお嬢様がお友達二人連れで来てくださいました。
「ここ、何時までですか?」
とおっしゃるお二人に、
「住まいと一緒ですから、好きなだけいてくださって大丈夫ですよ。」
と言いながら、
「すみませんが、
ビールを飲んでもいいですか?」
と、いつもながらのあたしが発現。
(この時点で、ものすごくのどが渇いていたのだよ)
初めて豊坂屋に来てくださったそのお嬢様たちは、ケタケタと笑いながら、
「いいですよ」
と答えてくださいました。
本当に正直にありのままを伝えて、ビールをグビグビ。
・・・あぁ・・・うまいんだなぁ・・・
定時を過ぎましたのでシャッターを半開きにして、あたしはビールを飲みながら、若いお二人のお相手を心行くまでさせていただきました。
「どれがいいのかわからないのです」とおっしゃるお嬢様方には、あたしが思う「これが良い」という豊坂屋にあるありったけの振袖をお召しいただきました。そして、
「お母さんと、また来ます」
とおっしゃって、やがてお二人は帰っていかれました。
脱ぎ散らかされた店内を改めて振り返り、
「あたしらしい、そして、豊坂屋らしい本日であった」
と、思ったのでありました。
どちらさまにも、心をこめて、
ありがとうございます!